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哲学のおやつ 10代からの考えるレッスン『いいとわるい』(汐文社)

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哲学のおやつ 10代からの考えるレッスン『いいとわるい』(汐文社)
ブリジット・ラベ,ミシェル・ピュエシュ/著 西川葉澄/訳

ブリジット・ラベ:作家
ミシェル・ピュエシュ:ソルボンヌ大学で哲学を教えている

『ヘンとふつう』(汐文社)


【内容抜粋メモ】

もし「透明人間」になれたら?
クラスには「透明人間の日」があって、パン屋さんでお菓子を盗んだり、
兄が彼女からもらった手紙を読んでゲラゲラ笑ったり・・・。

透明人間になれたら、普段しないこともできちゃう。
普段私たちが悪いことをできないのは、他の人がいるからなんだろう。
悪いことをしているのを見られたら、罰を与えられたり、禁止されたりするから。


生きるために子羊を食べるオオカミは悪い? 弱い子羊はいい?
ある民族の文化では、大人が子どもに盗みを教える。
いい、わるいは、みんなにとって同じではないんだ。


どちらかを選ばなければならないの?
オオカミ「ほかの人たちのために自分を犠牲にするのはいいことだよ」
子羊「強いことは悪いことだよ」

人間は、強いものを「悪い」、弱いものを「いい」と考えることが多い。


ステファニーは、レストランのテーブルの下に10ユーロをみつけた
なにが正しいんだろう?
お金を自分のものにすること?
お店の人に渡すこと?
お店の人がお金を自分のものにしてしまうかもしれないのに?
「だれか落とした人はいませんか?」と言うこと?


お前の皮ジャン、ダサいよ!
ユゴーは僕がずっと欲しかった皮ジャンを着ている。僕は言った。
「でもさ、背中のでかいロゴはいまどきダサいよ」

そう思うことで、少しだけ辛く感じなくて済む。辛さをガマンできたんだ。

でも、本当の意味は「羨ましいな」って思っても、そう出来なかった時。
「それは悪い」というのは便利。その人を少し恥ずかしく思わせることができるから。


痛いよ、傷つくよ、悲しいよ!
「いつもの時間に帰らないと、お母さんが心配するよ」
その気持ちはすぐに想像できる。
そう言うと少し勝ったと思ったり、言われたら「悪いことをしたな」と反省したりする。


「あなたのためなんだから!」


これは誰かが人に何かをさせようとする時に、よく使われる。
楽しいことを止めなければならない時、この言葉を理解するのはカンタンじゃない。

そう言った人は、ほんとは自分に都合のいいデタラメをさせようとしているのかもしれない。
人を操るために利用されることを、自分で見極めるのが大切なんだ。


「いい・わるい事典」があったなら
自分で考える必要はない。すべての答えが出ているんだから。


責任をとらなくてもい
偉い人たちによって昔から決められたことを守っていれば、頭を使わなくても済む。
それに、何の責任もとらなくていい。

リーダーのロナルドは、「ケヴィンとエクトールのマウンテンバイクのタイヤをパンクさせよう」と言った。
オルガは他のメンバーを見た。誰もとやかく言う奴はいない。
メンバーは考えるのをやめた。疑問に思うなんてムダなこと。
もし捕まったらこう言えばいい。「だってリーダーがそうしろって言ったんだもん!」

考えるのをやめたヒトは、人間として生きるのを止めてしまったみたいだ。


機械から話しかけられたら!?
突然、フェリックスのパソコンが話し出してビックリしてしまった!

「このサイトが君の年齢にふさわしいかどうか分からない。
 それに、何日か前から僕、凹んじゃって
 この家族の中で、自分がなんの役に立っているのか分からなくなってしまったんだ」

人間が人間らしいのは、自分で自分に問いかけるから。疑問に思う、それが人間なんだ。


やる? やらない?
なにかをする前に、自分の心に聞く。すぐに答えが出るとは限らない。
私たちは、ほとんど意識せずに「いい」「わるい」の整頓をしている。まるで方位磁針でもあるみたいだ。

でも、本当の問題は、「それからどうするか」のほうなんだ。
もし、悪いことをしたくなったら? いいことをしたくない時は?


知らなかった、わざとじゃないんだ
デュフォン一家は、森でバーベキューをした。後片付けをちゃんとしたのに、
炭火が1個残っていたせいで、森が火事になって、だれか放火したのでは?とニュースになった。

一家はすぐに警察に事情を話すと、「ここは乾燥しているからバーベキュー禁止区域なんです
「ああ、なんてことだ。ほんとうに知らなかったんです

知らずにやったこと、あまりものを考えない人たちもいるし、悪いと分かっててやってしまうこともある。


誰も見てなかったから、カリムのパンを盗み食いしたアナイス
アナイスは自分を止められなかった。誰だってそんな経験があるだろう。


なんで、わるいの?
悪いことは、自分が人にされたらとっても嫌なことなんだと言える。
そして、いいことは、自分が人にされたら嬉しいことなんだ。


泥棒のジョー一味
泥棒のジョーは、仲間のチャーリーが財布を落としたのを拾って気をつけろと言った。
「この世にゃ正直者ばかりじゃないんだぜ」

彼らはけっして仲間うちでは盗みをしないと決めている。盗みは悪いと知っているから。
ジョーたちには、自分たちにとってだけいいことしか関係ない。
でも、本当にいいことは、みんなにとってもいいことであるべきだ。


ファビアンのやり方
ファビアンは、渋滞で割り込まれたちした時、こう思うようにしている。

「あの人たちが、自分の友だちだって想像するんだ。バカみたいだけど、うまくいくよ!
 だって、友だちには、ムカついた時に言うようなことは絶対に言わないからね!」

敵なんて一人もいないと思う、地球上の全員が自分の仲間だったら、
ジョーだって穏やかになって、悪いこともしなくなるだろう。
誰も泥棒なんてならないだろう。


「こんな世界に住みたいなあ」


「世界がこうなったらいい」と思うようなことを考えてみる、それがどうすればいいかを知る方法だ。
自分に正直になれば、うまくいく。
でも、自分に正直になることは、他の人に正直になるよりずっとずっと難しい。



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