■哲学のおやつ 10代からの考えるレッスン『じぶんと他人』(汐文社)
ブリジット・ラベ、デュポン・ブリエ/著 西川葉澄/訳
ブリジット・ラベ:作家
デュポン・ブリエ:哲学アグレジェ教授
哲学のおやつ 10代からの考えるレッスン『いいとわるい』(汐文社)
【内容抜粋メモ】
ヒトは人間として生まれてくるのではない
人間から離れて育った子どもは、人間になることができない。
人間を作っているのは、考えていること
、感じている気持ち
、個性や知性、言葉を使えること。
他の人たちと一緒にいることで人間になれる。
自分はどんな性格?
自分の外見を説明する時、鏡をのぞいてみる。
自分の性格を説明する時は、他の人を通じて自分を見ている。
自分を知るには、他の人たちを通して見る必要がある。
アメリカ先住民は人間か!?
1550年、アメリカ大陸に来たヨーロッパ人たちは“鳥の羽を着けたこの生き物は人間なのか?”と思った(そんなに![]()
古代ギリシア人たちは、人間を2つのグループに分けた。
ギリシア語を話す人たちと、鳥のようにわめく人たち![]()
宗教の指導者は、女性は男性と同じ“人間”なのかと悩んだ。
とある大中央国では・・・
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ある男があまりに大中央国のみんなと違っていたため、人々は驚き
、嘲笑し
、無視した。
自分たちの暮らし方、考え方だけが正しいと信じているから。
「どうせ大北国から来たんだよ」
「野蛮人なんだね」
人間の“あり方”は無数にある。
それをランクづけすることを「差別」と呼ぶ。
「人類」とか「人間」という分け方は、人間の精神が作り出したものなんだ。
雨乞いの踊り
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雨乞いの踊りを見た人たちは微笑んだ。「野蛮人の風習だ」
そして、じっくり考えた。「なぜ、それで雨が降ると思っているんだろう。理由があるのかも」
“違い”と“似てる”こと
それぞれの“違い”は、すぐに目につく。
でも“似てる”ことを見つけるには努力が必要。
シルヴァンのひいおじいさんのジョルジュからの子育ての変化
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1870年、ジョルジュは、子どものおでこにキスをするだけだった。
子どもたちの世話は女の仕事と決まっていたから。
ジョルジュの子どものジャンも同じだった。
1955年、シルヴァンのパパは、釣竿をプレゼントしてくれ、一緒に釣りに行った。
ほかの女の子のきょうだいは、ママと家にいた。
1980年、シルヴァンに息子カンタンが生まれた。シルヴァンはお風呂
に入れてあげた。
今、カンタンは、会社に6ヶ月の「育児休暇」を申請した。家で赤ちゃんの世話をするために。
ずっと長い間、男は働いて、女は家で子どもを育てる、それが女の“生まれつきの性質”だと考えられてきた。
では、どうしてカンタンは、こうなったんだろう?
それは、生まれつきの性格なんてないから。
黒人、白人、アラブ人、アジア人の生まれつきの性質もない。
その代わり、さまざまな「文化」がある。
人間は、それぞの「文化」の中で生まれ、育ち、年をとり、死んでいく。
「みんな」という縛り
生まれた瞬間から、1つの国、都市、地区、通り、家族などのグループの中に生まれ、囚われている。
「みんな」から逃げ出すことは難しい。
「自分」として生きることは“闘い”で、これは長くて辛く、一生続く。
「タイプ」にあてはめる
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マリネットは、家族から「ふてくされ屋」と呼ばれている。
学校では「真面目な子」と言われ、スポーツクラブでは「意志が強い」と思われている。
周りの人は、なにかのタイプにはめて私たちを見ている。
それを気に入ることもあれば、気に入らない時もある。どちらにせよ、とても「窮屈」な感じがする。
それは、自分の一部の面でしかないから。
だれも分かってくれない!
失恋したジュスタンは、みんなが慰めても泣くばかり![]()
自分の気持ちを説明しても、ちっとも上手くいかない。
自分の考えていることを、全部同じように分かってもらうことはできないんだ。
だって、他の人たちは、「自分」じゃないから。
自分の経験を通して見ている
他の人を見る時、私たちは、自分の「ものさし」を使って知ろうとする。
自分に似ているところが一番よく分かるから。
それは、時に間違ってしまうことがある。
他の国に旅行に行っても
、知っているものを見るとホッとする。
自分と似ている点にこだわるあまり、違う点は見ようとしないと「誤解」してしまうことがある。
ジュスタンは、友人オスカーに自分と同じ気持ちになって欲しかった。
そんなことはムリ。でも、ちょっと自分の気持ちから離れてみようとするこはできる。
友だちって、自分を切り離して、世界を見たり、感じたりしようとしてくれる人なんだ。
「ありのまま」を見てくれる人との出会い
その人の前では、なにかの役を演じなくてもいいような人。
そばにいてくれるけど、私の場所は全部そのままにしておいてくれる人。
2人で「私たち」にもなれるような友だち。
相手との壁
リスは、クレマンスが自分と違っているとすぐ分かって、間に壁を作った。
離れようとしたり、怖がったり、嫌ったりする。
私たちはとっても簡単なことをよく忘れてしまう。
それは、出会わなければ、知り合うことは出来ないってこと。
ブリジット・ラベ、デュポン・ブリエ/著 西川葉澄/訳
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【内容抜粋メモ】
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人間から離れて育った子どもは、人間になることができない。
人間を作っているのは、考えていること
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他の人たちと一緒にいることで人間になれる。
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自分の外見を説明する時、鏡をのぞいてみる。
自分の性格を説明する時は、他の人を通じて自分を見ている。
自分を知るには、他の人たちを通して見る必要がある。
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1550年、アメリカ大陸に来たヨーロッパ人たちは“鳥の羽を着けたこの生き物は人間なのか?”と思った(そんなに
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古代ギリシア人たちは、人間を2つのグループに分けた。
ギリシア語を話す人たちと、鳥のようにわめく人たち
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宗教の指導者は、女性は男性と同じ“人間”なのかと悩んだ。
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ある男があまりに大中央国のみんなと違っていたため、人々は驚き
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自分たちの暮らし方、考え方だけが正しいと信じているから。
「どうせ大北国から来たんだよ」
「野蛮人なんだね」
人間の“あり方”は無数にある。
それをランクづけすることを「差別」と呼ぶ。
「人類」とか「人間」という分け方は、人間の精神が作り出したものなんだ。
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雨乞いの踊りを見た人たちは微笑んだ。「野蛮人の風習だ」
そして、じっくり考えた。「なぜ、それで雨が降ると思っているんだろう。理由があるのかも」
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それぞれの“違い”は、すぐに目につく。
でも“似てる”ことを見つけるには努力が必要。
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1870年、ジョルジュは、子どものおでこにキスをするだけだった。
子どもたちの世話は女の仕事と決まっていたから。
ジョルジュの子どものジャンも同じだった。
1955年、シルヴァンのパパは、釣竿をプレゼントしてくれ、一緒に釣りに行った。
ほかの女の子のきょうだいは、ママと家にいた。
1980年、シルヴァンに息子カンタンが生まれた。シルヴァンはお風呂
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今、カンタンは、会社に6ヶ月の「育児休暇」を申請した。家で赤ちゃんの世話をするために。
ずっと長い間、男は働いて、女は家で子どもを育てる、それが女の“生まれつきの性質”だと考えられてきた。
では、どうしてカンタンは、こうなったんだろう?
それは、生まれつきの性格なんてないから。
黒人、白人、アラブ人、アジア人の生まれつきの性質もない。
その代わり、さまざまな「文化」がある。
人間は、それぞの「文化」の中で生まれ、育ち、年をとり、死んでいく。
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生まれた瞬間から、1つの国、都市、地区、通り、家族などのグループの中に生まれ、囚われている。
「みんな」から逃げ出すことは難しい。
「自分」として生きることは“闘い”で、これは長くて辛く、一生続く。
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マリネットは、家族から「ふてくされ屋」と呼ばれている。
学校では「真面目な子」と言われ、スポーツクラブでは「意志が強い」と思われている。
周りの人は、なにかのタイプにはめて私たちを見ている。
それを気に入ることもあれば、気に入らない時もある。どちらにせよ、とても「窮屈」な感じがする。
それは、自分の一部の面でしかないから。
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自分の気持ちを説明しても、ちっとも上手くいかない。
自分の考えていることを、全部同じように分かってもらうことはできないんだ。
だって、他の人たちは、「自分」じゃないから。
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他の人を見る時、私たちは、自分の「ものさし」を使って知ろうとする。
自分に似ているところが一番よく分かるから。
それは、時に間違ってしまうことがある。
他の国に旅行に行っても
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自分と似ている点にこだわるあまり、違う点は見ようとしないと「誤解」してしまうことがある。
ジュスタンは、友人オスカーに自分と同じ気持ちになって欲しかった。
そんなことはムリ。でも、ちょっと自分の気持ちから離れてみようとするこはできる。
友だちって、自分を切り離して、世界を見たり、感じたりしようとしてくれる人なんだ。
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その人の前では、なにかの役を演じなくてもいいような人。
そばにいてくれるけど、私の場所は全部そのままにしておいてくれる人。
2人で「私たち」にもなれるような友だち。
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リスは、クレマンスが自分と違っているとすぐ分かって、間に壁を作った。
離れようとしたり、怖がったり、嫌ったりする。
私たちはとっても簡単なことをよく忘れてしまう。
それは、出会わなければ、知り合うことは出来ないってこと。