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『介助犬ターシャ』(小学館)

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『介助犬ターシャ』(小学館)
大塚敦子/写真・文

こないだ読んだ『ありがとうシンシア 介助犬シンちゃんのおはなし』の著者である木村さんもあとがきに書いている。

【内容抜粋メモ】
介助犬は、体の不自由な人と暮らして、床に落とした物を拾ってくれたり、
必要な物を取ってきてくれたり、電気をつけたり消したりするなどの仕事をします。

 
ステファニーは赤ちゃんの時に事故に遭い、脊髄に大怪我をして右足が不自由になり、
大量出血だったために脳にも影響があり、知的発達が遅れている。
両親も失って、今は新しい父母に引き取られた。



転んでしまうと1人ではなかなか立ち上がれないステファニーを支えてくれるターシャ
バックパックは介助犬として働く時の制服みたいなもの。


  
リフトつきのスクールバスにはターシャも一緒に乗る。
勉強中、ターシャは机の下で静かに待っているが、ステファニーが鉛筆を落とすと拾ってくれる。
アメリカの学校は、車イスでも楽に通れるように通路はスロープになっている。


 
学校から帰って、バックパックを外し、庭で一緒に遊ぶとターシャは大喜び。
バックパックを外してもターシャはいつでもステファニーのそばを離れない。
ターシャの世話は、ステファニーの大事な役目。ブラッシングしたり、ゴハンをあげたり。


 
手紙を届けてくれたり、出かける時にはバッグを持ってきてくれる。
買い物では、お財布をレジの人に渡してくれる。
ステファニーは信号で止まることができなかったが、ターシャが来てからは轢かれたら大変と思って止まれるようになった。


 
ステファニーが家に一人でいる時に床に倒れたら電話を持って来てもらう練習をする。


ターシャは昔、野良犬だった。動物管理施設に保護され、雑種だったが、
大きくて頑丈な体と優しい性格を見込まれて介助犬になる訓練を受けた。


 
訓練してくれたのは、女子刑務所の受刑者・メアリー。
彼女は出所後、ターシャを訪ね、立派に働いている姿を見て誇らしく思った。



ステファニーはターシャのおかげでいろいろな所に行って、いろいろな人に出会い、自信がついた。


【大塚敦子さんによるあとがき抜粋メモ】
女子刑務所の「介助犬育成プログラム」は、1982年に設立されてから今日までに約500頭もの介助犬を育てた。
介助犬になれるのは15〜20頭に1頭ほど。基礎訓練には、6〜8ヶ月かかる。
無条件に信頼してくれる犬と向き合うことは、受刑者のリハビリテーションにもなる

ステファニーは体が成長しても筋肉が発達しないため、障害が重くなりつつあり、
将来の車イス生活に備えて、両親は介助犬を希望し、2年後、待ちに待った連絡が入る。

子どもが介助犬を扱うことには、犬をきちんと制御できるかどうかという難しさもある。
最初、大人の男性を受け取り手に選んだがうまくいかず、刑務所に戻ってきた。
でも、ステファニーと引き合わせると、指示に喜んで従った。
こうして、利用者と介助犬の相性がピッタリ合わないと、うまくいかないことがある。

いろいろなことを人に頼まずできるようになり、自立の範囲が広がった。
これまでステファニーの障害を意識して遠巻きにしていた人も、ターシャを介して声をかけてくれるようになった。

介助犬はほかの犬とケンカしてはいけないと教えられているから、
ある時、近所の大きな犬がステファニーに飛びかかろうとして、
ターシャが間に入って、ステファニーの代わりに噛まれれたこともあった/涙

ステファニーにとって初めて自分が世話をする対象を持ったことは、大きな自信と誇りとなった。
2人の関係は、まさに対等のパートナーシップといえる。
介助犬の存在は、個人の生活の質を向上させるだけでなく、社会そのものをもっと優しくすることにも役立っている。


【高柳友子さんによるあとがき抜粋メモ】
介助犬の歴史は1970年代アメリカで始まり、現在、アメリカでは約1000頭以上が活躍している。
アメリカから介助犬をつれてきて生活する障害者が現れたのが1992年。
日本で介助犬として働いている犬はまだ10頭に満たない。
日本には、肢体不自由者が約155万人いる(1998年)
介助犬育成には公的援助がないので、ほとんどが寄付に頼っている。

介助犬と一緒に電車や飛行機に乗ったり、デパート、レストラン、ホテルに自由に出入りできないのが現状。
介助犬は、法律で認められていないため、一緒に交通機関や店舗を利用する時には、
何か月前から申請しなければならないこともある。

街で介助犬を見かけたら、食べ物をあげたり、急に触ったりしないで、仕事中は静かに見守ってあげてください。


日本介助犬アカデミー

シンシア日記


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