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『バスター・キートン自伝 わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界』(1960)(筑摩書房)

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『バスター・キートン自伝 わが素晴らしきドタバタ喜劇の世界』(1960)(筑摩書房)
原題:MY WONDERFUL WORLD OF SLAPSTICK Buster Keaton & Charles Samuels
バスター・キートン/著 藤原敏史/訳 1997.6初版 3200円

※1997.10~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。


【内容抜粋メモ】

以前読んだトム・ターディス著『バスター・キートン』では、客観的視点からか、
家庭不和、結婚や仕事の失敗、そしてアル中と、悲劇的なイメージが濃かったが、
いざ本人の口から語られた本書を読むと、印象がまったく違ってくる。

「グレイト・ストーン・フェイス」は営業用で、その中のユーモア好きで、元気なバスターじいちゃんの
茶目っ気たっぷりな1本の映画を観ているような、この本自体が笑いのオチをもつエンターテイメントだ。

中には、半分を裂いて、親子で演っていたヴォードヴィル時代の奇想天外な楽しい思い出、
ロスコー・アーバックルとの出会いで映画界入りした、厚く、深い友情、
成功と失敗(仕事と結婚)も経験したが、
「終わりよければすべてよし」という最終章のタイトル通り、

三大サイレント時代のスター、チャーリーとロイドみたいな億万長者にはなれなくても、
生前に再評価され、俳優として生涯「演じる喜び」を持てた幸せ、
バスターは自分の笑いと体力に確固とした自信を持っていたこと、
そして、なにより観客を笑わせ、楽しませることを人生最大の喜び、
それに満足していたことが分かり、ファンとして安心し、嬉しかった。

いつかきっと本書をマイライブラリーの1つに加えると誓って、
多々のエピソード、格言的名ゼリフの数々を逐一メモるのは割愛。

ただラストの美しい締め文句のみにとどめよう。


「大勢の人が、何十年も昔のこと、自分たちにささやかな笑いをくれたfrozen faceの小男のことを
 いつまでも感謝と愛情をもって憶えていてくれる。
 そんな世界にいて100歳まで生きたいと願わない人間がどこにいるだろうか?」


巻末にはバスターの出演、関与した映画、テレビ番組が多彩にあるのを知ってビックリ。
代表作は幸運にも観ることができるが、チャーリーの作品がNHKで今も放送されているみたく
ぜひキートン作品も放送してほしい。


(この頃は自伝、伝記ものにハマっていて、常にバッグの中にぶ厚い本を持ち歩き、
 電車の移動時間、ランチの待ち時間などを利用して読んでいた。

 本書も誓いを守って、ジャニスの伝記らとともに私の書棚を長く飾っていたけれども、
 他の本同様、引っ越すたびに荷物を減らして、本もほとんど売り払ってしまった。

 今では図書館が私の本棚。
 どんなに良書でも、2度、3度読む時間はなく、今となっては概略だけでもメモっておけばよかったと後悔している


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