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放送90年ドラマ 経世済民の男(3)「小林一三」(後編)

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放送90年ドラマ 経世済民の男(3)「小林一三」(後編)

つねに借金ダルマの悪夢にうなされる小林。
寂れた温泉しかなく、行楽電車の割に、休日の客足はイマイチ。

 

プールを作ったら「寒い!」と不評w 音楽隊の記事を読んでまたひらめく。


プールの跡地を使って、女の子だけのオペラを演る。「宝塚少女歌劇団」
それでも、経営はかつかつのまま。

 

神戸⇔奈良間をつなげないと乗客が伸びないが、岩下さんは乗り気じゃない。崩落事故の賠償費用で家を抵当に入れたため。

岩下「生駒山をぶちぬかねばならんのです」



大正3年。「宝塚少女歌劇団」の初公演は浦島太郎?
小林「台本はオレが書く」

 

岩下は新聞に叩かれる。


小林「景気が悪いから、こんな風に不満の捌け口が欲しいんだ」

新聞叩きが加熱し、銀行に預金の引き出しが押し寄せ、財界人も去る。
岩下は6月に頭取を辞任。8月倒産。46件も告訴される。

「電鉄も危うい。小林を助けてやってくれ。あいつの事業には人の息遣いがある。
 あいつが作り出す事業の先には豊かな生活が待っています」

と平賀に託す。

北浜銀行を清算するため、新しい重役陣がきて、電鉄の株全売却を命令される。
「いいでしょう。買うのは私ですから」
借金ダルマが2人に増えるw


その後、名目だけの「灘循環鉄道」を買収するという小林。底値で買い、神戸までの大動脈が出来る。
線路を直線にして、駅を少なくして、「スピード重視」で梅田から神戸まで30分。並走する阪神から訴訟。

歌劇の曲本の最初に




大正9年。「神戸線」開業。「阪神急行電車」

大阪→神戸まで、阪神なら60分、阪急なら40分が売り。空いてて涼しいと自分でも宣伝する。

この頃から車内広告があったのね/驚



劇場で岩下と再会する。

 

岩下「無益な争いを止めて、阪神は阪急に合併を考えて欲しいそうだ」
小林「阪急が阪神を買収する形ならいいですよ。なぜなら岩下清周が作った会社だからです」

 

♪スミレの花が咲く頃~





昭和9年「東京宝塚劇場」建設。
 

「阪急百貨店」駅とくっついたビルは世界初!


 


自ら店に入り、お客の生の声を聴く。


昭和12年。映画会社「東宝」設立。

その経営哲学を書いた本はベストセラーになり「今太閤」と呼ばれ全国区に知れ渡る。


新聞社の取材を受ける長男・冨佐雄。

冨佐雄「駅にずっと立って客の声を聞いてアイデアを思いついたり、父の発想は割とおばさんなんです。」




昭和15年。
「日中戦争」が長引き、すべてが軍需優先となる。

 

働いても給料が変わらない「賃金統制令」の案を聞き、

「統制なんてのは結局、法で化粧した泥棒だ。国がそんな発想しか出来んから困るんだ。
 わしに国をやらせてみろ。あんなもの一発で解決だ」

近衛から商工大臣になるよう言われる。冨佐雄は「父さんは政治に向いてない」と反対するが・・・。




「モノが潤沢にあれば、おのずと統制はなくなる」

当時、軍部の意向を受けて統制経済を進めていたのは、「企画院」の革新官僚と呼ばれる役人たち。

 
増産のアイデアをまとめた企画書を出そうとする小林に反対する



小林は総理に命じられてインドに行くが、日独伊三国同盟の余波で原油交渉は膠着し無駄足となる。

 

「経済新体制確立要綱」は小林の許可を取らずに通ってしまう。
企業は資本と経営を完全に分離し、資本は国家が管理し、経営は政府と軍の複合体の管轄下に置くという内容。

 


「こんなことをすれば、民間の活力が完全に死んでしまう」

人々の意見をレストランで聞いて、法案に修正を入れる。

「わが国はけっして共産主義国になるつもりではない。
 こんな体制は人間の本性に合ってないんだよ! 人間の本性は“我欲”だよ!
 働けば給料が上がる、ならば頑張って働く、息子を学校にあげてやりたい、ならば頑張って働く、
 世間に認められたい、ならば頑張って働く、そういうちっぽけな、切実な希望のもとにしか活力を出すことは出来ないんだよ!」

企画院官僚:
その欲望を管理するしかない。勝つためには。私たちに絶望を抱かせるのは、あなた方、俗悪な資本家だ。

「つまらないんだよ、お前らの案は、戦争するのに足りないなら、
 法律を作って全部自分たちのものにすれば、なんとかなるだろうって、子どもでもできる発想だ。
 君たちがブレインなら、あ~この手があったか!という体制でも作り上げろと言ってんだ」

大東「仕方ないでしょう。軍が言うんだから」

小林は、修正案を可決させたが、機密漏えいの疑いをかけられ、あっけなく辞任に追い込まれた。

「まったく記憶にございません」

(たとえ、千人に一人でも「良い政治屋」という人がいたとしても、
 保守派が叩けば、誰からもなにかしらのホコリが出て、退陣させられるシステムになってるんだ。



冨佐雄「通るか通らないかの世界なんですよ、政治の世界は」

小林「どうしてそんなに冷静なんだ?」

冨佐雄「どのみち負けるからですよ。留学したので米英の生活を知っていますから。
    統制をかけようが、かけまいが、米英と戦えば負けます」

小林「まあな」

冨佐雄「知ってて、なんで首を突っ込むんです?」

小林「岩下さんとの約束だからな」



昭和20年 終戦

 

 

「電車走らせてくる。出発進行だ!」


焼け野原にあずき色の電車が、敗戦直後に駆け抜けた

空襲を逃れた劇場では、宝塚を再開する。

「こんな時だからこそ、観たいんだ!」

百貨店も再建。そのために再び大きな借金を抱えた。




昭和31年

 
ダルマも年寄りになってるw

冨佐雄は、上あごにがんを患う。
 

小林「出世したって何もいいことがない。いくら出世したからって、死ぬ時はどうせ身ひとつだ。
   後を託そうと思ったって、あいつがいなくなるんじゃ・・・」

年越しを一緒にしようという妻。

「会いに行っても、行かんでも、死ぬ時は死ぬんですよ!
 お父さんも、私も、冨佐雄も、死ぬ時は死にます。せやから会いに行きましょう」


「約束って何ですか?」と筆談で聞く冨佐雄。

岩下「つまり真の一等国とは、この国に産まれて良かったと思える国」

小林「そういう社会にしたいもんだって。だから、わしはそのために働かなきゃいかんと思ったんだ」



「よし、じゃお前が治るまで、わしが代わりにやってやる。何かできることはないか?」

「東宝の忘年会に僕の代わりに話してくれませんか?」



 

小林:
私はね、これからのニッポンについていろいろ考えておるわけです。
専門家の話も聞き、研究もし、この国は素晴らしい国になるという結論を持っています。
ただ、そうなるには1つ条件があるんです。

それはね、みなさんが全員、働くことです。

働くというのはね、本来、とても楽しいことなんです。
夢を描いてね、知恵を絞る、努力をする、その果てに笑ってくれる人がいる。
そして、その対価として、報酬がついてくる、これがねえ、実に楽しい!
自分の人生がここにあると感じることができる。

(“我欲”がなくなり、みんなが平等になっても、ヒトは働くだろうな。
 楽しく、自分の好きなことをして、自分と誰かを喜ばせるために。
 それは、今の“働かされている”“生活のために働く”という意味とは全然違うんだ。


岩下「お前は真の一等国に必要なものは何だと思う?」
小林「努力が報われるということじゃないでしょうか」



小林:
努力は絶対に報われなきゃなりません。報われると嬉しいでしょ?
立場が代わったら、今度は報いようとするでしょ?
そういう循環をもつ社会は、頼もしいことになると思うんです。

みなさんは知らないでしょうね。働いても、働いても報われない、
そんな時代が長く続いてしまいましたからね。

ですが、みなさんはとにもかくにも生き抜いてここにいる。
生き抜いて、今ここにいることができる。
ここまで、今日までこられたのだから。

きっと遠くない未来、この国は頼りがいのある国になります。
この国で働くことが誇りであり、徳であり、物心両面に報われることがもっとも多い国になると思います。
みなさんなら必ずできる。そう期待しています。



享年84。これが最後のスピーチだった。


ラストは、阿部ちゃんが歌劇団と一緒に踊って、「ありがとう!」というシーンでジ・エンド。








日本人は、これからアジアをまとめて、世界を平等にするくらいの民族だと、私も思うな。
そうなるには、さまざまな困難を経験して、過去の過ちを繰り返さず、そこから学び、研究し、力を合わせて、
1人1人が「変わりたい」と思った時がその時なんだ。



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