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『国際紛争や災害の被害者を救う 国際赤十字』 (ほるぷ出版)

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調べてみよう世界のために働く国際機関『国際紛争や災害の被害者を救う 国際赤十字』 (ほるぷ出版)
ラルフ・パーキンス/著

「調べてみよう世界のために働く国際機関」はこれで全6巻すべて読んだことになる。


【内容抜粋メモ】

********************************赤十字とは?


1989年、エル・サルヴァドルの内戦で旗をふる赤十字職員

赤十字は、人道的活動にたずさわる独立機関。
国籍、人種、宗教、政治的信条に関わらず、助けを求める人を助ける。


創設者はアンリ・デュナン
デュナンの誕生日5月8日は毎年、世界赤十字・赤新月デーとして祝われる。


●ジュネーブ条約
1864年に結ばれた世界で最初の国際人道法で次の4条からなる。戦争にもルールがあることを大勢に知ってもらう活動も行う。

・降服した敵を殺したり傷つけてはならない。
・ケガをした人や病気の人を捕らえた場合は、手当てをしなくてはならない。
・捕虜となった兵士や民間人は、敬意をもって扱われなければならない。彼らは家族と連絡をとることを許される。
・民間人やその財産をわざと攻撃することを禁じる。

 
赤十字と赤新月の標章

スイスの国旗の色を逆にしたデザイン。
十字はキリスト教のシンボルでもあることから、1876年のイスラム教のトルコとキリスト教のロシアの戦いでは、
トルコ赤十字社は赤い新月のマークをつけた。その後、この2種類が世界中で使われている。
戦争中であっても、このマークをかかげる病院や施設などは絶対に攻撃してはいけないことが国際的な約束になっているが、
2001年の9.11の際、アメリカがアフガニスタンの赤十字国際委員会倉庫を爆撃し、委員会はアメリカに強く抗議した。


●組織
・赤十字国際委員会(ICRC)
・国際赤十字・赤新月社連盟
・178の各国赤十字・赤新月社(正式に承認されるためには条件がある)


ジュネーブにある赤十字国際委員会本部

●赤十字の7つの基本原則
人道、公平、中立、独立、奉仕、単一、世界性

●資金
各国政府や欧州連合のような国際団体、個人、民間企業などからの寄付。
一般の寄付には赤十字のバッジが送られる。

すべての部門には、給料で雇われた職員がいる。
国際部門には各国からの派遣要員がいて、保健コーディネーターや技師といった専門技術者が救援のため世界中に派遣される。


********************************赤十字のさまざまな活動

活動内容は、国によって異なる。


赤十字のトラックに乗るルワンダの幼い難民

●戦場での救護
例:
・巻き込まれた民間人を助けることに大きな比重がかけられている。傷の手当、基本的な医薬品、食糧、水の供給など。
・捕虜が適切な食事や手当てが与えられているかチェックする。
・兵士と家に残された家族との連絡をとる。
・戦後、病院や学校の再建、農業を始められるよう作物の種、肥料、道具の用意。
・戦争にもルールがあることを教育する。
・地雷の犠牲者が必要とする義手、義足、松葉杖、車イスを作る。

→赤十字がある政府を批判・非難することはめったにない。
→1990年シエラ・レオーネでの内戦の際、赤十字社の支部で略奪があったり、ボランティアが殺される事件があった。


●非人間的武器使用の禁止
「テクノロジーの発達からもたらされる最悪の事態から人類を救ううえで、国際人道法は非常に重要な任務を負っている」

・人間に当たると粉々になる弾丸
・化学兵器
・生物兵器
・対人地雷(1時間に3人が地雷で亡くなったり、不自由な体になっている)
・相手を失明させるように設計されたレーザー兵器

「クラスター爆弾」
ソーダ飲料の缶に似ていて、パラシュートがついているため、オモチャと間違えて、命を落とした子どもがコソボに何人もいる。


●自然災害

1996年、カイロで崩れ落ちた建物から生存者を探す赤十字社の救助隊員

洪水、嵐などが起きた時、被災者に救援物資を運ぶ。
もっとも必要とされる場所から救援にあたる。被災者に安全な飲み水を与えるなど。
毎年発行される『世界災害報告』では、緊急時の活動の改善法について助言している。

緊急事態に対処できる人材を育てる。
なるべく現地の企業や労働者に協力を求める。そのほうが現地の経済を助け、長い目で見た復興に役立つ。
→ヘリコプターによる救出に代わり、洪水の恐れのある地域に小型のボートを備え付ける、
 嵐がおさまるまで避難できるような待避所や人工の丘を作るなど。


1999年、トルコ地震で家を失った人々のために用意したテント村

2000年モザンビークを襲った洪水では、54万人以上が家を失った。
世界各国から援助チームが到着し、現場は援助だらけになって混乱した。
政府は赤十字社の助言に従い、毎日説明会を開くことで対処した。


●沈黙の災害
貧困、病気という解決に長い時間のかかる問題は、注目を集めやすい災害より対策費用がなかなか集まらない。

例:
2000年、マニラのゴミ捨て場の小屋が、大雨で崩れたゴミの下敷きになり、そこに住む150人以上が亡くなった。

「エイズ」
各国の赤十字・赤新月社にエイズ教育のできる若いボランティアを養成するよう働きかけている。


●救急法

標章の不法な使用がなくなるよう努めている

医者や救急車が到着するまでの間に、ケガをした人にほどこす手当て。
出血を止めたり、火傷を冷やしたり、素早い救急法は生死を分ける可能性がある。


●献血
「血液銀行(血液センター)」では、献血を呼びかけ、輸血に使っている。

●医学研究
1998年、アメリカ赤十字とアメリカ陸軍は、出血をすぐ止めるため、血液を固める作用のある特別な薬をしみこませた包帯を開発した。


「青年赤十字奉仕団(レッド・クロス・ユース」
若い人にボランティア参加を呼びかけている。
活動例:
・人種差別の反対運動
・ロックコンサート
・アフリカでの植林 など

「ボランティア国際年」
2001年をボランティア国際年として、ボランティアの存在を広く知ってもらう活動を進めている。


********************************日本赤十字社

日本赤十字社をつくったのは、佐野常民。
明治政府に「博愛社」設立を願い出たが「敵の負傷者も救う」という考え方が認められなかった。

1886年、ジュネーブ条約に加盟し、博愛社は「日本赤十字社」と改名。
当初は「天皇がお国のために戦って傷ついた兵士を助ける」という意味合いだった。

「青少年赤十字(JRC)」
・生命と健康を大切にする。
・人間として社会のためにつくす責任を自覚し、実行する。
・広く世界の青少年を知り、仲良く助け合う精神を育てる。
という3つを目標に活動している。

活動例:
「1円玉募金」でネパールにキレイな水を送る、など。


********************************赤十字関連のサイト

「日本赤十字社」


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