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notes and movies(1999.1〜 part5)

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過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


■『エマ』(1996)

監督:ダグラス・マクグラス 出演:グウィネス・パルトロウ、ジェレミー・ノーザム ほか
きっと世界中の女の子が憧れる素敵な恋物語り。人気急上昇中のクール・ビューティ、パルトロウ
(なんて難しい名前だ)は今後もますます大注目。
そしてもう1人、相手役の男優は誰ぞや。今作を観たらみんな彼に恋してしまうこと間違いなし
始めからもう一度観たくなる1作。

英国の上流階級と平民の差ってかなり離れてたんだね。知性あるエマが当然のように
「身分ある上品な紳士とじゃなきゃ幸せにはなれない」と言い切ってるのは、環境と育てられ方によるものだろう。
そんな中でも平等な理性をもつSは、尊敬と愛情、友情を与え、求められる完璧なパートナーだ。
イギリスの美しい自然をバックに若い初々しさを強調した衣装もステキ。

これほどときめくラブロマンスは久々。2度、3度見返して、すっかりJ.ノーザン気に入っちゃった
でも他作品を探してやっとこさ観ても、最初の好印象より劣ることが往々にしてあるのよね。


■『静かなる決闘』(1949)

監督:黒澤明 出演:三船敏郎、三條美紀、志村喬、植村謙次郎、千石規子、中北千枝子 ほか
昔の梅毒って今のエイズみたいな病気だろうね。今じゃきっともっと治療法が進んでそれほど怖くないんだろう。あまり聞かないもの。
性病を堂々と扱うとは、この時代じゃかなりショッキングなことかも。
他の病と違って人間性を問われるから、体とともに心の問題でもある。倫理観に訴える社会派ドラマ。
三船が自らの欲望について赤裸々に語るセリフもショッキング。

「戦時中は帰れば幸せな結婚が待ってるとガマンし、今じゃ医者だからという理性と良心と闘っているんだ。
 時々、自由にするほうが人間的じゃないのか? オレの欲望なんて可哀相なもんさ」

「いや、息子は自分より不幸な人間の中に希望を見ようとしているだけ。
 幸せだったら案外、いやな奴になってたかも知れない」

人は不幸を味わったほうが、他人に優しくなれるってことか。
エイズもそうだけど、病気に対する無知が根本的な悲劇の源じゃないか?
ここまで感染者が増え、もう自分はなるはずがないとも言えなくなった。

タイトルは、この男の内なる闘いのことだ。自分との闘いに勝ってこそ、人間は成長する、という黒澤のメッセージが見えてくる。
しかし、これほどの色男に童貞みたいなセリフを吐かせるとどこかなんだか可笑しい。
ミサエの病気だってなんだって一緒にいたいっていう気持ちにもなるわな。


■『ザ・インターネット』(1995)

監督:アーウィン・ウィンクラー 出演:サンドラ・ブロック、ジェレミー・ノーザン ほか
J.ノーザンつながりで1995の話題作に出てたのか、劇場で観てもよかったな。
すべてコンピュータでつながる世界。便利で可能性は無限、裏を返せば情報操作で、どんな悪用も可能という恐怖。
自分のデータが消えて別人とすりかわり、頼る者もいない独りの女性。
パソコンを自在に操る彼女はカッコいい。とにかく自力で逃げる、逃げる。
『スピード』以来の元気ハツラツなサンドラが観れる。悪役のジェレミーもまたヨダレが出るほどカッコいい!
♪A Whiter Shade Of Pale のカバーがイケてる。

消火器で階段から殴り落とすってすっばらしいお手並み。
さすがアメリカ女性は人に頼らず、自力で自分を守れる。ま、映画のヒロインだからね。
時代は変わったもんだな。母も自分も取り戻して、世界を救ったアンジェラ、ご立派

母さえ娘を思い出せずに、父は失踪中、とにかく自分を証明する人も物もなにもなくなるなんて恐怖そのもの。
気がつかないけど、日常生活するって常にアイデンティティを探し、確かめ、築いていくことなのかもしれない。
コンピュータ社会、進化と防衛のイタチごっこはどこまでいくものか???
このノンストップアクションの連続にドキドキハラハラは止まらない!!


■『日蔭のふたり』(1996)
監督:マイケル・ウィンターボトム 出演:クリストファー・エクルストン、ケイト・ウィンスレット ほか
発禁になったワケが分かった。『タイタニック』後のケイトのオールヌードに、もろ出産シーン、
それよりショッキングな子どもの自殺シーン(なぜ映倫が急に許したのか?)
いとこ同士と神前で式をあげてないことは、キリスト教の田舎で暮らすにはあまりに厳しい条件なのか?
1880年代に望む自由としては過酷すぎた。哲学や夢だけでは拒まれてしまう現実社会。
あまりに現実的すぎて感動もショックも感じない。

前世の呪いかなにかか? 2人とも両親がいなくてお互いしか頼れる者がいなかったのか親密になったキッカケかも。
今じゃ同棲は珍しくないし、書類や格式、ルールにこだわらなくなった時代。
逆境にもまれながら最後は社会に負けても自由意志で闘った男と女。
その脚本に魅かれてケイトは体当たりで役をとったのかも知れない。やってくれるよな。
これほど物分りのいい男を見つけて恋愛で一緒になってもhappy ever after にならないなら本物の幸せって一体何だろう?
とにかくスーは飛び込んでトライし、幸せの絶頂だった時があった。そんな時間を持ったこと自体が幸せだ。


■『YUMI MATSUTOYA WINGS OF LIGHT "THE GATES OF HEAVEN TOUR"』(1991)
初めて動くユーミンを観た。フシギだ。中学の時から好きで聴いてたのに。
それだけマスコミの前に出ずに通してたってことか。
たぶん最初は弾き語りから、だんだんセットも衣装も大掛かりになって、今日の歌って踊るユーミンになったんだろうね。
長いソバージュに、太めの眉、'80の女子大生って感じ。

歌声はもっぱら例のストレートなもので特にアレンジはなし。みゆきよりハイパーセンスなライブ。
監督は外国人か? 曲のタイトルが出ないのが残念だが、♪守ってあげたい、♪ベルベット・イースター、
♪カンナ8号線、♪一緒に暮らそう の懐かしいのが聴けただけで満足。

観客もしっかり映ってて、カップルに、女性も多い。やっぱり20代が大半。
これだけリフトで高くまで登れる鉄骨組むのも大変。お金かかってる。
一体今までどれだけ稼いでるのか、印税だけでもスゴイよね、きっと。
これだけコンスタントにアルバム作って、あらゆるジャンルをとりこみながら、
日本のポップスを書き続ける枯れない泉は、この跳ね回る元気パワーからきているのかも。


■『CHAGE AND ASKA 15TH ANNIVERSARY ON YOUR MARK』
インタビューで「1年半を1タームとして考えたい」今までの活動歴のデータが長い。
どっちがチャゲでアスカなのかから、まだ分からない。高音を大事に歌ってる。
スーツ姿と、かぶりもの+ベストはお決まりなのか?

今年20周年、ソロを2年ほどやって、久々また2人でシングルを最近出した。
全然変わらぬスタイルでクールで渋い路線。サザン他のベテラン陣と比べても若々しくて、ファン層も厚いんだろうね。
日本のホール&オーツって感じか? 大ホールを埋め尽くす観客、シンプルなセット。

♪DO DO DA DO、♪僕はこの瞳で嘘をつく、♪SAY YES これは爆発的なヒットナンバーだよね、たしか。
全曲がラヴソング。このハーモニーは最高レベル高い。

一転して詩の朗読。なんでもありのお徳用てんこ盛りビデオなんだ。あくまで男臭さにこだわる。
ショートドラマまでやってるよ。演技もできる。ずっとスタンドマイクで2人並んで歌い続けるのか。
♪STAY ON、♪YEAH! YEAH! YEAH! これ聴きたくて借りたの。ライヴの締めにピッタリのインパクトある曲。
とゆーわけで15周年記念ビデオだったらしい。


■『SADA』(1998)
監督:大林宣彦 出演:黒木瞳、片岡鶴太郎、椎名桔平 ほか
『リング〜最終章』に出演中の黒木瞳のただならぬ色気を感じて、そういやこんな話題作にも出てたなあとチェック。
今はなき鎌倉シネマワールド内の昔の松竹劇場の再現セットが懐かしい。

知る人ぞ知る事件もスキャンダラスな記事が先行し、真相は不明。男女の究極の愛の形か?
定が生来情愛の強い女だったからか。逆に少女時代のレイプをキッカケに心が歪んだか? 復讐か?
本人も「分からない」と言うのだから、その心底を私たちが正確に推し量ることはできない。
♪サバダバダ〜ってテーマ曲には苦笑。

その後は、埼玉で再婚したとか、自分の劇を作って各地を回ったとか、
当時は男女の究極の愛だと好意的に受け入れられたそうだが、今では忘れられ消息も分からない。

「忘れられることが死なら、私は死んだも同じ」

体に名前を刻んだことからも偏執的なほどの所有欲はシリアル・キラーの病的な感覚に似てなくもないが、
「そこまで愛してたのか?」との質問に「自分の心すら分からない」と答えている。
女という性の対象でしか見られず、人生を自由に生きられなかった抑圧からの発作的犯行ともとれる。
とにかく被害者は死人に口なしなのだから。
「肩の荷がすっかりおりた」本人と一緒にほがらかに笑う警官らの写真は確かに謎だ。


■『失楽園』(1997)
監督:森田芳光 出演:役所広司、黒木瞳 ほか
話題沸騰当時は全く興味がなかったけど、こうして観ると男女の不倫騒動をこえた、さらに奥深く先まで、
周囲の人間模様も含めてじっくり描いた作品で、広く人々の心をとらえ、揺るがしたワケも分かった。

人生がベターハーフを求める旅なら、見つけた2人は、なぜ死を選び、生きてやり直せなかったか?
再び働いて時間をつぶす必要もなく、エネルギーも残っていなかったか。
黒木は濡れ場を演じても清楚な美しさで純愛に見せるイイ女優さんだな。

ラスト、幻の中だろうか、雪の中を歩きながら、それぞれの生い立ちを打ち明け合い
「これからもずっと一緒、永遠に」というセリフがなんともいえず悲しい気がして胸が締めつけられた。

娘が「大人になったな」と言われて「世界はどんどん進歩してるのよ」
リストラ、不景気、日本に訳の分からぬ暗雲が垂れ込め、人の心も蝕まれてゆく。
中年離婚、妊娠も調節でき、自由恋愛、恋愛の形も質も選択肢が増えたといっても中身は人間同士のこと。
もっと複雑でドロドロしたもの。

「恋もしたいが、仕事や家庭、大事なものを失ってしまう」
それぞれ“大事にとっておきたいもの”はある。それによって生きる意味、生き甲斐も違ってくるのだろうと思う。


■『生きる』(1952)

監督:黒澤明 出演:志村喬、日守新一、千秋実、小田切みき、田中春男、藤原釜足、左卜全、宮口精二、伊藤雄之助、菅井きん ほか
♪命短かし恋せよ乙女 か、耳が痛いな。
乙女に限らず「人生は短い、生きてる時間を大事にして、もっと楽しく有意義にしろ」ってことでしょ。
日常の煩雑さに忙殺されて、あるいは紛れ込んで、死期でも告げられない限り生きる意味を考えすらせずに無駄に流してる。
がんを告知され、あがきぬいた末に、あとに残る人のためとなる行動を起こした男の話。
テンポがトロいが、その分考えさせられる。がん=死の宣告。早く治療法が見つからないものか。
でも寿命が延びたらムダにする時間を増やすのかも知れない。

「人生の楽しみ方を教えてくれ」

「立派だ。私たちも後に続け!」と意気込んだのは酒の勢いで、結局、翌日は仕事を死んだようにこなし、
責任のなすり合い、理想通りにはいかないもの。とにかく働いて食べて生きるだけでも大変なのだから。
それを超えて生を噛み締めるという状況は、特別なきっかけが必要だ。


■『アルテミシア』(1997)
監督:アニエス・メルレ 出演:ヴァレンティナ・チェルヴィ ほか
絵画史上に現れた初めての女流画家と言われるアルテミシア。それまでにも絵の上手い女性はいただろうに、
彼女ほど環境に恵まれず、絵で生計を立てていくなんて夢にも思わなかったのだろう。
それにしても若く美しい一人娘を女好きの画家に預けて何も起こらないと思うほうが不自然。
結局、性の対象として歪められることからは避けられなかった。

娘を愛するがゆえに結果、苦しめ、離れざるを得なかった父が憐れ。
どのみち自立しなきゃならなかったのに気づくべきだった。
鏡を見ながら描いた自身の肖像画や、剣で襲いかかる女から身を守ろうとする師をモデルにしたという絵も
男性の画家に劣らない色の重厚さと力強さ、明暗のコントラストがクラシック。


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