■『ムーミン谷の冬』(講談社)
原題:TROLLVINTER by Tove Jansson
トーベ・ヤンソン/著 山室静/訳
1957年作 初版1982年(1999年 27刷) 530円
※2000.1~ part6のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。
みんな長い冬眠に入って、春になったら目覚めるのに、なぜか起きてしまったムーミンは、
一族でたぶん唯一冬から春になるまでを体験したトロールになる。
未知の世界。知り合いはミイだけ。
不安、恐怖、新しいもの、見慣れぬ人たちを迎えながらももてなし、家を守り、
理解し、ついには冬を好きになり、春になる素晴らしさを手にし、
時には1人で苦しみに立ち向かうことも必要で、そこに前進があると学ぶムーミン。
冬から春になる自然の細やかな移り変わり、美しい変化が感動的に繊細に描かれている。
そして、また新たな魅力的で奇怪なキャラクターたちも登場。
どんな状況でもポジティヴで、独立心、冒険心あふれるミイにも元気がもらえる(一番好きなキャラクター
▼あらすじ(ネタバレ注意
冬の間に眠りから覚めてしまったムーミン。
冬の間、水浴び小屋に暮らすおしゃまさんと、姿の見えない8匹のトンガリねずみ。
おしゃまさんは、見ると凍りついてしまう氷姫のために雪で白い馬を作る。
同じ頃、忘れっぽくてフサフサしっぽが自慢のリスにミイも起こされて、
氷姫に凍らされて死んだリスのしっぽをマフにしたいと言う(
「死んだリスが土になって、木が生えて新しいリスがはね回っても悲しいことだと思う?」
葬式をしようとして、リスは白い馬に連れていかれる!
冬の祭りの夜、大かがり火がたかれ、たくさんの怪しい生き物を見る。
流しの下に住むブラシみたいな動物に話しかけると、意味不明な言葉を返して怒って行ってしまう
モランは温まろうと火に近づくと、なぜか火はみんな消えてしまう。
ちょっと日の光が戻ってはしゃいだムーミンは恥ずかしくなって、
怒って戸棚を開け、毛むくじゃらのご先祖様に会う。ストーブの隙間が好き。
山からたくさんの生き物が食べ物を探してフラフラになってムーミン谷に押し寄せ、
ママの手づくりジャムを分け与える。
ヘムルのヘムレンさんは、体が大きくスキーが得意で、みんなに冬の澄んだ空気を吸わせようとして嫌がられる。
小さな這い虫のサロメだけがラッパを聴きたくて尊敬する。
ムーミンもスキーをするがひどく転ぶ。
「生き物ってなんてさまざまなんだろう」
ムーミンはヘムレンさんをおさみし山へやっかい払いしようとして失敗。
雪が空から降る様に「これなら好きになれるぞ」と思った時、猛吹雪になり、
それを乗り越えて「やり方が分かってしまえばもう騙されないぞ」
心配して吹雪の中で迷ったサロメをヘムレンさんが助ける。
「やっぱりおさみし山へ行くよ」
いつもオオカミに憧れて、夜になると遠吠えをしていた犬のめそめそは、山でオオカミの群れに会う。
兄弟なんかじゃなく、食べられるだけと、自分の愚かさを知り、ヘムレンさんに助けられ、後をついていく。
犬好きのヘムレンさん
「自分のできる一番正しいことだ」とめそめそは思う。
部屋の中に冷たい空気を入れたところで終わりにするはずが、物語りは春の感動的な変化まで続いていく。
海の厚い氷が溶けはじめ、スケートをしていたミイを助けて海に落ち、風邪をひくムーミン。
「どんなことでも自分で見つけださなきゃいけないものよ。
そうして自分一人でそれを乗り越えるんだわ」とおしゃまさん。
ムーミンのクシャミで起きたママに介抱されて、元気になったムーミンは、冬の出来事をもらさず話す。
おしゃまさんは、みんなを眠りから覚ますオルガンを弾いて回る。
スノークのおじょうさんがクロッカスの芽を寒さから守ろうとすると、
「自分の力で伸びさせるのがいいんだよ。
少しは苦しい目に遭うほうがしっかりすると思う」
また一歩成長したムーミンは、1人冬の思い出に浸る。
*
死んだと思っていたリスも元気になって戻ってきているのがフシギ。
「ミイはいつでも1人で楽しむことを知っていました。
自分が何を考えようと、春がどんなに好きであろうと、
人に話す必要は少しも感じなかったのです」
ミイの自立心は、さすらいと孤独を好むスナフキンの自立心とはまったく正反対。
雪の上を歩いても、足跡も残らないようなちっぽけなミイには、
怪我をするから怖いとかいう恐怖心も、冬に1人残されたなんて孤独感もない。
「私は悲しむってことは出来ないの。喜ぶか、怒るだけ。
悲しんで何かの役に立つの? たちゃしないわ。
もし悲しいとしたって黒いリボンであらわす必要はないわ」
ミイの哲学的な反骨精神にはいつも感心する。
原題:TROLLVINTER by Tove Jansson
トーベ・ヤンソン/著 山室静/訳
1957年作 初版1982年(1999年 27刷) 530円
※2000.1~ part6のノートよりメモを抜粋しました。
※「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。
みんな長い冬眠に入って、春になったら目覚めるのに、なぜか起きてしまったムーミンは、
一族でたぶん唯一冬から春になるまでを体験したトロールになる。
未知の世界。知り合いはミイだけ。
不安、恐怖、新しいもの、見慣れぬ人たちを迎えながらももてなし、家を守り、
理解し、ついには冬を好きになり、春になる素晴らしさを手にし、
時には1人で苦しみに立ち向かうことも必要で、そこに前進があると学ぶムーミン。
冬から春になる自然の細やかな移り変わり、美しい変化が感動的に繊細に描かれている。
そして、また新たな魅力的で奇怪なキャラクターたちも登場。
どんな状況でもポジティヴで、独立心、冒険心あふれるミイにも元気がもらえる(一番好きなキャラクター
▼あらすじ(ネタバレ注意
冬の間に眠りから覚めてしまったムーミン。
冬の間、水浴び小屋に暮らすおしゃまさんと、姿の見えない8匹のトンガリねずみ。
おしゃまさんは、見ると凍りついてしまう氷姫のために雪で白い馬を作る。
同じ頃、忘れっぽくてフサフサしっぽが自慢のリスにミイも起こされて、
氷姫に凍らされて死んだリスのしっぽをマフにしたいと言う(
「死んだリスが土になって、木が生えて新しいリスがはね回っても悲しいことだと思う?」
葬式をしようとして、リスは白い馬に連れていかれる!
冬の祭りの夜、大かがり火がたかれ、たくさんの怪しい生き物を見る。
流しの下に住むブラシみたいな動物に話しかけると、意味不明な言葉を返して怒って行ってしまう
モランは温まろうと火に近づくと、なぜか火はみんな消えてしまう。
ちょっと日の光が戻ってはしゃいだムーミンは恥ずかしくなって、
怒って戸棚を開け、毛むくじゃらのご先祖様に会う。ストーブの隙間が好き。
山からたくさんの生き物が食べ物を探してフラフラになってムーミン谷に押し寄せ、
ママの手づくりジャムを分け与える。
ヘムルのヘムレンさんは、体が大きくスキーが得意で、みんなに冬の澄んだ空気を吸わせようとして嫌がられる。
小さな這い虫のサロメだけがラッパを聴きたくて尊敬する。
ムーミンもスキーをするがひどく転ぶ。
「生き物ってなんてさまざまなんだろう」
ムーミンはヘムレンさんをおさみし山へやっかい払いしようとして失敗。
雪が空から降る様に「これなら好きになれるぞ」と思った時、猛吹雪になり、
それを乗り越えて「やり方が分かってしまえばもう騙されないぞ」
心配して吹雪の中で迷ったサロメをヘムレンさんが助ける。
「やっぱりおさみし山へ行くよ」
いつもオオカミに憧れて、夜になると遠吠えをしていた犬のめそめそは、山でオオカミの群れに会う。
兄弟なんかじゃなく、食べられるだけと、自分の愚かさを知り、ヘムレンさんに助けられ、後をついていく。
犬好きのヘムレンさん
「自分のできる一番正しいことだ」とめそめそは思う。
部屋の中に冷たい空気を入れたところで終わりにするはずが、物語りは春の感動的な変化まで続いていく。
海の厚い氷が溶けはじめ、スケートをしていたミイを助けて海に落ち、風邪をひくムーミン。
「どんなことでも自分で見つけださなきゃいけないものよ。
そうして自分一人でそれを乗り越えるんだわ」とおしゃまさん。
ムーミンのクシャミで起きたママに介抱されて、元気になったムーミンは、冬の出来事をもらさず話す。
おしゃまさんは、みんなを眠りから覚ますオルガンを弾いて回る。
スノークのおじょうさんがクロッカスの芽を寒さから守ろうとすると、
「自分の力で伸びさせるのがいいんだよ。
少しは苦しい目に遭うほうがしっかりすると思う」
また一歩成長したムーミンは、1人冬の思い出に浸る。
*
死んだと思っていたリスも元気になって戻ってきているのがフシギ。
「ミイはいつでも1人で楽しむことを知っていました。
自分が何を考えようと、春がどんなに好きであろうと、
人に話す必要は少しも感じなかったのです」
ミイの自立心は、さすらいと孤独を好むスナフキンの自立心とはまったく正反対。
雪の上を歩いても、足跡も残らないようなちっぽけなミイには、
怪我をするから怖いとかいう恐怖心も、冬に1人残されたなんて孤独感もない。
「私は悲しむってことは出来ないの。喜ぶか、怒るだけ。
悲しんで何かの役に立つの? たちゃしないわ。
もし悲しいとしたって黒いリボンであらわす必要はないわ」
ミイの哲学的な反骨精神にはいつも感心する。