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『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)

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『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)
原題:FARLIG MIDSOMMAR by Tove Jansson
トーベ・ヤンソン/著 下村隆一/訳
1954年作 初版1981年(1999年 34刷) 580円

※1999.10~ part3のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。


▼あらすじ(ネタバレ注意
火山が活動しはじめ、ママは大好きなムーミンに小船を作ってあげる。

宝物をぜんぶ井戸の水の中にしまう。
地面に割れ目ができて、ハブラシが落ちる。

たちまち洪水がきて、流れてきた劇場にみんな移る。
小道具や、衣装やら、“劇場”を知らないみんなはいちいちビックリ。

悲観的なミーサは、スノークのおじょうさんみたいにわた毛がないと言われ、カツラ部屋でいろいろ試し、
スノークのおじょうさんは、服を着ていないと言われて、衣装部屋に入るが、いっぱいありすぎて悲しくなる。

劇場主のエンマばあさんが現れる。
ムーミンとスノークのおじょうさんは、木の上で寝る時、口笛を吹いて(劇がつまらないという悪いしるし)取り残される。

裁縫カゴに乗ったチビのミイは、ムーミン谷に戻る途中のスナフキンに会う。

「するべからず」と書かれた立て札をすべてひっこ抜いて(このシーン大好き!
夏祭りのイヴに種をまくと生えるニョロニョロ(植物だったのか!納得)で公園番を感電させ、
森の24人の子どもを介抱するがなついてしまう。
「親の気持ち」を噛み締めるスナフキンw

エンマの親類フィリフヨンカは、毎年客が来なくて寂しく泣いていたが、今年はムーミンらが一緒。

立て札をキャンプファイアにして、結婚相手を占っている最中、公園番に捕まって、何も喋れず牢屋行きに!

ムーミンパパは、芝居を書いてチラシを配れば、子どもらも戻ってこれると決心する。
チラシは牢屋番ヘルムのところにも届き、いとこで気の弱いヘルムに任せて出かける。
編み物が好きな彼女に「足が冷える人に靴下を編めば・・・」と教えて、出してもらう。

スナフキンも子どもらを連れて劇を見に行く。
入場料は、“食べられるものならなんでも”

「ライオンと花嫁たち」は、劇を知らない客が混入して「水に流されたが家族に会えた人たち」に変わり大成功。

ムーミン一家は追ってくるヘルムから逃げてムーミン谷に着いたのに、
待ち受けていたいとこに、小さなヘルムは「するべからず」を5000回書いた手紙を渡して許しをもらう。

ミーサは悲劇のプリマドンナになり、ホムサと劇場に残り、
子どもらも役者になりたい子は残って、ほかは一人ぼっちのフィリフヨンカのもとへ。

ママ「自分の友だちがそれぞれその人にピッタリしたことができるようになるのは、嬉しいものでしょ?」

家もママのくれたボートもそのままで、平和な日々が戻ったムーミン谷。



今度は、火山、地震、津波、洪水と、ムーミン谷は本当に平和な半面、恐ろしい自然災害も頻発する。

でも、それぞれ慌てず騒がず、家族を基本に、客のもてなし等も変わらず、お茶を飲んで、食事をして、
変わったことは、冒険として、悲劇になりえないところがのびやかでホッとする。

不幸なミーサが、素晴らしいプリマドンナになったり、ほのぼのしたキャラクターの個性は
そのまま人間社会にも通じるものがあって、チビのミイですら、言ってるセリフは哲学者並!
その背後にはヤンソンさんの深い想いと、洞察力がうかがえる。

スナフキンはじめ、いつまでも人々の心に残る、どれも深く愛されるキャラクターばかりだ。


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