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notes and movies(1999.1〜 part3)

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過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


■『続 姿三四郎』(1945)

原作:富田常雄 監督・脚本:黒澤明
出演:大河内傳次郎、藤田進、河野秋武、志村喬、月形龍之介、轟夕起子、清川荘司、森雅之 ほか
前回のつづき。こうなると毎回強豪と戦って、ロマンスもありのシリーズ化もできそう。
森が弟子の1人としてちょこっと顔を出している。

決闘シーンは本物の雪山、それも吹雪の中でさぞかし寒かったろうね。
最後の三四郎の晴れ晴れしい笑顔があふれんばかりですがすがしい。
ボサボサ髪の弟のキャラが怖い。女のような顔立ちでフシギな雰囲気。
明治には人力車に外国人が乗ってる光景も見られたんだ。
それにしても前回もフシギに思ったけど柔道ってスポーツでもあり、格闘の武術でもあるのね。
投げられただけでノックアウト状態になるものかしら? 空手と柔道の違いも微妙。
空手はカンフーと違うのか? 難しい・・・異種格闘技で戦ったら本当は何が一番強いのかな?


■『隠し砦の三悪人』(1958)

監督・脚本:黒澤明 出演:三船敏郎、千秋実、藤原釜足、藤田進、志村喬、上原美佐 ほか
これはおもしろい ストーリーは前回の『虎の尾を踏む男達』と同じく関所越えで、
なんといっても『スターウォーズ』のロボットのモデルにもなったという千秋と藤原のやじきたコンビは、
貧しい出ゆえの強欲根性はあっぱれで、ユーモアとアクション、笑い、涙、活劇が盛りだくさんの満足いく1本。

「それを生かすも殺すも本人次第。私は立派に死のう。この数日間、城では味わえぬ人の喜び、苦しみ、ズルさを見れた。祭りはよかった」

迫力ある祭りの踊りのシーンは圧巻。心が歪むのも貧しさゆえ。
千秋実さんは、渋い刑事役とかの老いた演技しか印象がなかったけど、
こうして黒澤映画で所狭しと動き回る姿を見ると驚くばかり。
しかし藤田進はどこに出てたか分からなかったな。


■『小公女』(1995)

監督:アルフォンソ・キュアロン 出演:リーセル・マシューズ、リアム・カニンガム、エレノア・ブロン ほか
あの名作を美しい映像で映画化した感動の1本。やっぱり女の子はこういう話好きなんだよね。
可愛い少女の子役たちだけでも絵になる。ラストは原作と多少違っていたように思うけど。
子どもの自由な想像力と、創造することの大切さ、苦しい時、どれほど人間の心を支え、生き抜く力を与えるか、
親の愛が子にとってどれほど大きいか改めて知った。
セーラが語り、女の子が夢中になるラマ王子が魔法に捕われながらも怪獣と戦って姫を助けるという話のほうも
女の子が夢見がちな話ながら異国情緒漂う感じでいい。
ミンチン先生が煙突掃除屋になるってオチはちょっといきすぎてる気がするけどね。


■『醜聞』(1950)

監督・脚本:黒澤明 出演:三船敏郎、山口淑子、志村喬、桂木洋子、北林谷栄、千秋実 ほか
なんだか後がスッキリとしない。これはスキャンダルでっちあげ記事による人権問題より負け犬弁護士の涙物語り。
ここまでマイナス思考だと悪霊でもついてるんじゃないかな。
「自分はダメだ」っていう人は、誰より周りの人をダメにする人なのよね。
結局パパラッチはいたちごっこ。タレントは書かれて話題になってなんぼって職業だしね。こういうでっち上げも多いだろう。
最後は当事者が「迷惑かけてすいません」って謝ったりして、二束三文の記事を買って読む人間がいる限り、
パパラッチも、訴訟に飛びつく弁護士も減らないってワケ。

でもこの裁判には勝利がない。人権を傷つけられた傷は残り、金で片づくものじゃない。
「言論の自由」はスキャンダルと、それで儲ける連中のために獲得したワケじゃないのにね。
今作に出た編集者はまったく鬼のような悪者に描かれている。

「写真と活字さえあれば人は信じるさ。裁判になれば、またそれを記事にするさ」
とまるで真実など意味がないと軽々しく扱っている。でもこれが現実だから恐ろしい。
そして時々釈明することはあっても営業停止ほどの厳罰が下されたことはあっただろうか?


■『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)

監督:K.S.ラヴィクマール 出演:ラジニカーント、ミーナ ほか
意外なロングヒットを続け、口コミ評判で話題を呼んだインド映画がついにビデオ化。
友だちがススメてくれた時は、どれほど荒唐無稽なんだろうと思ったけど、話は『男はつらいよ』系。
親子の人情、男女の愛情物語り、豪華ダンサー、セット、衣装の三拍子そろって、
歌と踊りを要所にちりばめ、なかなかよくできた長編ミュージカルドラマ。

タクシー運転手だったとは思えないラジニカーンの芸達者ぶりと、誰にも負けない濃いキャラ。
今や世界スターの仲間入り。その後の活躍はいかに?
'98春公開したっていう『マハラジャ2』を予告で初めて知ったけど、こっちは全然話題にのぼらなかったな。
とにかく、インドが世界有数の映画多産国って事実にビックリ。
ヒットしたのは不思議なインドパワーと、カルチャーショックのせいかも。

インドでは隣り町でも全然言葉が違うってことと、いまだに天と地の差がある身分制度で成り立ってるお国事情が見えてくる。
赤、青、緑、黄色で統一されて、次々と変わる衣装、テクノやブラジル系、マドンナのボーグや、マイケルのスリラーばりの
さまざまなリズムをとりまぜた意外に新しいセンスのダンスが見事。
途中2度ほどCMはさめそうな、次回また見てねって終わりそうな区切りがあったり、
それからどうした!?っていう象のパオ〜〜〜てひと鳴きの間がイイ。

タオルを首へバババッて回す、いかにも編集したって感じや、ちゃんとセット作って別撮りしたミュージカルシーン、
劇場は日本らしくなく爆笑の渦だったっていうけど、そこに参加したかったな。
インドの女優はキレイね。歳しても肌のハリが違う。フェロモン大売出しの愛の舞踏。人生楽しまなきゃ損ってこと。


■『野良犬』(1949)

監督:黒澤明 出演:三船敏郎、志村喬、淡路恵子、千石規子、三好栄子、本間文子 ほか
罪を犯す者と、正す者、追われるほうも追うほうも同じ人間であり、本作には型破りでマッチョなヒーローなど存在しない。
人が道を外れるのがどれほどたやすいか、また犯罪者1人を探すのがどれほど大変か、
新人とベテラン刑事の捜査をじっくり描いて、敗戦まもない倫理の歪んだ日本を写し出す。
確か黒澤が三船を初めて主演にした作品。この時すでに志村はベテランだったのか。
初主演と思えない体当たり演技、クライマックスの命懸けの追跡は息が詰まる。

「世の中が悪いといって悪事を働く奴はもっと悪い」
「窓の外の屋根の下では、今でも犯罪が起き、善良な市民が奴みたいな人間のために苦しむんだ」
「自分は戦争で普通の人が簡単に狂犬になるのを見たし、自分もその分かれ道に立った」
冒頭は野犬がハアハアいってるアップ。

「人を殺した犬は狂犬になり、真直ぐ進むしかない」
脚本は黒澤と菊島隆三。セリフの1つ1つに深くて重い輝きが感じられる。


■『オースティン・パワーズ』(1997)
監督:ジェイ・ローチ 出演:マイク・マイヤーズ ほか
おバカでキッチュな『007』パロディ。『ウェインズ・ワールド』以来のマイク主演は、
ぶっちぎり'60ハイテンションでツボを押さえた作り。ファッション、セットにも注目。
悪者が高笑いした後、場面が変わらず、笑いが冷めるまでの気まづい「その後」も笑うw
途中、途中、休憩or場面変えバンドが出現。ラストは彼らと歌って踊る。

「支配するような“世界”はもうない。今は企業があるばかりだっ!」て眼帯男のセリフは効いてる。

この30年間、アメリカは特に激変したからね。同じ国でも時代が変わればこんなカルチャーショックが起きちゃう。
コメディの中に鋭い風刺がある。バート・バカラックが現役って驚いたな!!


■『大いなる遺産』(1997)

監督:アルフォンソ・キュアロン 出演:イーサン・ホーク、グウィネス・パルトロウ、ロバート・デ・ニーロ ほか
『クリスマス・キャロル』のディケンズか・・・素晴らしい作家だな。
画家にせよ、小説家にせよ、本当の芸術家の才能は“神の贈り物”というにふさわしい。
“貧しい画家とリッチな美女とのかなわぬ恋”てロマンスは、女性にはたまらない魅力なんだな。
フロリダの叙情あふれる海の風景と、洗練されたNYの都会の風景をバックに、
人と人とのつながりの不思議を考えさせる壮大なドラマ。
これほどスリルと感動、ハッピーエンディングに恵まれた人生を送ってみたかったね。

「記憶はたくさんの色と結びつき、心によって変わっていく」
「怯えて育った少女にどうしてそうするのかと責めてもムダ。人は変われないのよ」

こんなソウルメイトに出会えたらハッピーエンドじゃなくても構わないから。
イーサンの純粋な少年のような魅力全開。原作も読んでみたい。


■『ガタカ』(1997)

監督:アンドリュー・ニコル 出演:イーサン・ホーク、ユマ・サーマン ほか
妙に現実味のある近未来映画。
遺伝子操作で神の領域まで手を伸ばした人の科学技術を盲目的に信じる灰色の世界。
もう一度人生やり直してほしかった。障害があってもできるという証明に。
遺伝子がすべてではない。そこに無限の可能性があるのは、達成したいと願う気持ちがあるから。

「地球を去るんじゃない。故郷へ帰っていくんだ」

イーサンってほんといい役者だな。ワルでセクシーな俳優が多い中、純粋さと正直さをアピールできる貴重な存在。
今作は夫婦共演の話題作。


■『押繪と旅する男』(1993)
原作:江戸川乱歩 監督:川島透 出演:浜村純 ほか
乱歩生誕百年記念で撮られた1作か。人形愛というのが彼らしい。本当にいるのかしら? 造り物に恋するなんて。
今だったらアニメキャラにマジになるみたいなものか。
人形のような鷲尾が、若くして蕾のまま枯れる哀しい運命を背負った娘を演じる。
年老いた自分と子ども時代の自分が夢うつつの中で出会う現象が薄ら怖ろしいが興味深い。

「見てはならん。そこに人生の幻影を見たら病みつきになる」

「兄のように」とはどんなことを言うのか。兄嫁に愛されたかったということか。
乱歩自身もこの十二階から地上を見て、人間関係を眺めるのが大好きだったという。


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