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『マンガ世界の文学1 赤と黒』(世界文化社)

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『マンガ世界の文学1 赤と黒』(世界文化社)
スタンダール/原作 里中満智子/画
初版1995年 1300円

※2001.8~のノートよりメモを抜粋しました。
「マンガ感想メモリスト2」カテゴリーに追加しました。

里中さんが脚色しているとはいえ、かなり素晴らしいプロット(当然か)
原作、映画化された映像も気になる

あとがきも興味深いし、共感
私も理解した気になって中学、高校時代に名作にふけっていたことがあるが
今読み直したら、全然、解釈が違うだろうか?

なんといっても、主人公のジュリアンは、死んだ年が23歳と若いゆえに
志も高く、強く、激しく燃えて散るピークの潔さ、美しさが光る

今回、心理描写をセリフにしてある駆け引きがもっとも面白い部分

“プライド”にこだわり、一個人としてより、この場合どう対処すべきか、
すべては頂点に上り詰めるための一歩であるはずが、愛し愛されることで
「知らなくても存在するであろう神、愛」を見出すまでを
里中流に熱く、直球で、分かりやすく、しかも深い哲学をのぞかせて読みごたえあり

シリーズ他の作品も気になる
久々、新しい書籍との出会いで秋が充実しそうな嬉しい期待感v


▼あらすじ(ネタバレ注意

貧しい家に生まれたジュリアンは、地位も名誉も財産もなく
軍人として名声と貴婦人の愛を得たナポレオンを崇拝し、猛勉強して
軍より権力をもつ黒(僧侶)の世界を目指す

町長レナール家の家庭教師につき、3人の子持ちで、夫に従う妻、母でしかなかった夫人と愛し合い
女、1人の人間として目覚める夫人

だが、子どもの病が神罰と考えて、関係を終わらせる夫人
評判もたち、神学校に入るジュリアンは、校長と副校長の闘争に巻き込まれ、パリの侯爵の秘書となる


そこの娘マチルダは、上流階級の退屈さから、先祖を愛した妃が処刑された恋人の首を葬った話から
道ならぬ恋こそ本物とジュリアンに近づく
(愛による激情から殺そうとするジュリアンにときめくような変な女性

子どももできて、評判から、財産、公爵の位、そして軍人の未来を与えられたジュリアンは
闘争の企てとして、夫人の書いた告訴文によって失墜する

裏切りへの復讐心から夫人を撃ち、命はとりとめたものの、
裁判でマチルダのコネで集められた陪審員の無罪の判決の前に
「裁けるのは神のみ 貴族社会に挑戦したかった」と自ら証言し、死刑を言い渡される

夫人から真実を聞き
「愛を得られれば、人生の意味は充分満たされた 今極上の瞬間で旅立ちたい」

ジュリアンは処刑、夫人は追うように死に、マチルダは望み通り、夫の首を抱く



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