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『すてきな子どもたち』 バーバラ クーニー(ほるぷ出版)

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『すてきな子どもたち』(ほるぷ出版)
アリス・マクレラン/文 バーバラ クーニー/イラスト 北村太郎/訳

「作家別」カテゴリーに追加しました。


<あとがき>

アリゾナ州ユマ町の丘に、かつて「ロクサボクセン」という名で知られた場所があります
この本に書かれている出来事は、アリス・マクラレンのお母さんが、実際に体験したことでした

彼女が私たちに見せてくれたのは

「豊かな想像力、ごくつまらないものからさえ新しいものを作りだす子どもたちの能力、
 いつまでも記憶に残るほどになまなましい、多次元的なファンタジーの世界」なのです。

クーニーは、ロクサボクセンの砂漠に2度旅行し、アリスの80歳になる叔母が同伴してくれたおかげで
そこで遊んだ子どもたちの心にひそんでいる魅惑をしっかり掴むことができたのでした


アリス・マクラレン:
世界の国々で人類学、科学、公衆衛生などを学び、カウンセラーセンターに勤めたりした

北村太郎:
詩人、評論、エッセイ集も出している 翻訳は『ふしぎの国のアリス』『わがままな大男』などがある


▼あらすじ(ネタバレ注意

砂、岩、古い木の箱、サボテン、トゲだらけのオコティーヨのほかにはなにもなかった
でも、ロクサボクセンこそ、みんなが特別気に入ってた場所




マリアンが黒くて丸い石をみつけて、お金にかわりにした

ロクサボクセンの町は、だんだん大きくなって、石で区分けをした
大通り、ひとつひとつの家も
みんな、すぐに部屋の数を増やしていった




しばらくして町役場ができて、町長はマリアン 誰も文句はなかった

みんな、お金持ちだったから、お店もたくさんできた




みんな、クルマを持っていた
ハンドルのかわりに丸いものがあればよかったから
スピード違反は刑務所行き

でも、馬さえあれば風みたいに速く走れる
馬ならスピード違反もないし、道で一時停止しなくてもいいし





ときどき戦争もあった
自分のお城に入れば、もう敵はかかってこられないことになっていた


こんな具合に季節は移り、年は過ぎたけど
ロクサボクセンは、いつものようにあそこにあった

仲間たちはみんな背が高くなって、別の家、別の町に引っ越していった
でも、ロクサボクセンを忘れた人はひとりもいなかった

50年経って、フランセスが行ってみたら、ロクサボクセンは、まだあの場所にありました
大通りを区切った石も残っていたし、陶器のかけらがまだぴかぴか光っていたんですって







子どもたちが作った町は、そのまま、大人たちの世界を反映している
まずは荒地を開墾して、領土を区別し、お金でモノを売り買いし、
ルールを作って、破った者は牢屋に入れられ、やがて戦争ごっこをしはじめる

親や教師から聞く戦争の歴史はそこまで染みついてしまうから
逆に「何も話さないほうがいいんだ」なんてホールデンがゆってたっけ

国や風習が違えば、まったく別の町が出来上がったかもしれないし



私にもこんな小さな頃の記憶がある
私の世代が最後じゃないかなと思うこともある

私のロクサボクセンは、親友の家の近所
家の前の道はまだ舗装されていなくて、クルマもほとんど通らないから
テニスをしたり、毎日、友だちの犬を散歩させてた

何もない公園まで行って、かけっこしたり、リンゴの木に登ったり
毎日、毎日、夕方暗くなるまで遊んだ


トタン板を集めて、小さな家もつくった
突然、嵐がきて、その中で雨宿りをした

春はオオイヌノフグリが土手一面に咲いて、その上に寝転んだり
泥団子をつくったり、古い雑誌を埋めたり・・・


そんななんでもない遊び場が、今、私の周りにはない
どこまでいってもアスファルトで、土は息ができない

子どもは少し走っただけで
「危ないよ!」「転ぶよ!」「服が汚れるよ!」
と止められる


大人になっても忘れられない場所や思い出があるってことは豊かなんだ
子どもの無から有を生み出す力はすごい

その頃のことを時々思い出すだけで、辛い時期を乗り越えたり
どうにかこうにか生きていられる気がする




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