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『くまのアーネストおじさん ふたりでしゃしんを』(ブック・ローン出版)

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『くまのアーネストおじさん ふたりでしゃしんを』(ブック・ローン出版)
ガブリエル・バンサン/作 もりひさし/訳

「作家別」カテゴリーに追加しました。

ガブリエル・バンサン:


もりひさし


昭和58年の初版で、また「貸出期限日票」がついている/嬉

大体、昭和63年で止まってるんだよね


“バンサンは、この作品で愛の深さ、他人に尽くす喜び、気取らない素朴な生活などを表現したかったという。”


<あとがき もりひさし 1983>

セレスティーヌが聞く話から、初めてアーネストの前歴というか
子どものキャンプで働いていたことが分かる

ほかの巻で、バイオリンを弾いたり、テントを張ったりする特技を持っているわけもここで納得できる
この巻では、いかにも少女らしいジェラシーが感じられるではありませんか


▼あらすじ(ネタバレ注意

買い物に行くアーネスト
セレスティーヌは、いつもアーネストがカギをかける引き出しの中身が気になる
ポットの中のカギを取り出して、中を覗いてしまうセレスティーヌ




子どもが、自分のしていることがなにか悪いことだと分かっていながらしちゃう時の表情がイイ


写真の入った袋が2つも見つかり、アーネストが戻る前に見ちゃえと部屋に行く



この部屋はすこし片付けたほうがいいかもねw


袋の中には、アーネストの子どもの頃の写真がいっぱい!



セレスティーヌ自身が可愛い少女なのに、「かわいい!」と夢中になって見る姿がなんともいえない



アーネストが買い物から戻り、部屋に来るが、片付ける前にもう1袋の写真を見ると・・・



見知らぬ子どもたちと、可愛い白ネズミの少女
そして、「わたしの写真は1枚もない!」

すっかりしょげて写真を戻す、この顔ったら



「なに すねてるの?」


このチラっと見ている目線に子どもらしさと、少女ながらも嫉妬心が感じられる

写真を見て、私のが1枚もないとワケを話してしまうところは子どもらしい正直さ

「あれはね、ぼくがホリデーキャンプで働いていた時の写真さ」

(アーネストはいろんな所で働いているんだなあ
 以前は家で絵を描いていたようだったし
 いろんな才能があるって素晴らしい

「そうだ、写真屋へ行こうよ、すぐにさ
 いちばんいいドレスに着替えてね」


写真館では、いろんなポーズでたくさんの写真を撮る2人

 

写真が出来上がって、大喜び!






これがバンサンの記念すべき処女作!

最初はひとり身だったせいか、作業場のような殺風景な部屋だったけど、今作ではまるでお屋敷みたい
アーネストは、昔から子どもが大好きなんだな

水彩絵の具で描かれた、ともするとフツーに見える1冊だけれども、
その後の『アンジュール』の素晴らしいデッサン力、
また、最初に『セレスティーヌ アーネストとの出会い』から読んだことで
何百倍も味わい深く読めて、理想的な順番でこのシリーズに出会えたことに感謝!

これほど可愛がっているのに、セレスティーヌの写真が1枚もないのはフシギ
って思ったけど、壁にたくさん飾ってあるのは、もしや・・・?

クマとネズミの世界がごく自然にはじまっているのも絵本ならでは
絵本の中では、どんな動物も融合して暮らしている
だから大好きなんだ

小さい心を痛めていると知って、なによりすぐに写真館に急ぐアーネストの優しさ
セレスティーヌをお姫様のように愛しているのが分かる


バンサンもバーバラ・クーニーも、近所の図書館にたくさん置いてあることに気づいて驚いた
たくさん並んでいる本の中から、こうした出会いは本当に貴重

そんな素晴らしい今作が、今では保存の意味からか「閉架」となって、
子どもたちの目線から、またさらに遠ざかっていると思うと残念

子どもたちの無限の感性があるうちに、こうした絵本に出会うことが
その後の人生をどれほど豊かにしてくることか!

バンサンもそれを充分に意識して描いているのは間違いない




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