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『図説 般若心経』(講談社)

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『図説 般若心経』(講談社)
金岡秀友/著 初版1982年 1200円

※2002.5~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト2」カテゴリーに追加しました。

(本書も、『歎異抄』同様、とてもためになった1冊
 関連本は無数にあるが、初心者には分かり易いと思う 2016


【内容抜粋メモ】


<タイトル>

「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」

仏説:仏の説いた
摩訶:大きい、立派
般若:仏の智慧
波羅蜜多:彼岸(仏の国)に着く
心経:中心となるお経

意味:
仏の優れた智慧によって、仏の国に着くお経である



<訳者>

唐三蔵法師玄奘訳

唐:中国
三蔵法師:経・律(仏教徒の生活の規律を書いた書)・論(お経の注釈)の3つが入った蔵
→仏教の文献の総称が「三蔵」+それに通じた者を「三蔵法師」、その代表が「玄奘」

意味:
翻訳者の名

経:仏の教え
律:僧の戒律
論:経の研究

インド→中国→日本 高楠順次郎『大正新修大蔵経』


<本文>

「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時」

観自在菩薩:漢音様・般若心経を説いた教主
行:行う、修行する

意味:
観音様がすぐ実行に移る深い仏の智慧によって、仏の国へ行くことを一心不乱に修行していた時に


如来(釈迦如来ほか

菩薩(観音菩薩ほか

明王(不動明王ほか

天(帝釈天ほか



「照見五蘊皆空度一切苦厄」

照見:見極める
五蘊:人間世界を構成する5つの力の集まり
度:乗り越える、渡る


<人の精神の基本>

①色蘊:目に見える色や形の世界
②受蘊:見た時に受ける働き
③想蘊:受けたものを頭に伝える、想う作用
④行蘊:実行にうつす
⑤識蘊:自分は今こうしているという認識作用


意味:
人は生きているうちは五蘊があるが、死ねばなくなる(形あるものは必ず滅する)
すべて移ろい変わると見極めたため、観音様は物に執着することから生じる苦しみや災厄から乗り越えることができた



<エッセンス>

「舎利子色不異空空不異色」

舎利子:仏十大弟子の1人 智慧第一 この経の聞き手
空:こだわらないこと、こだわると自由でなくなる

意味:
舎利子よ、目に見えるもの(色)は、見えない「空」と同じで、
逆に実態のない「空」という世界は、目に見えている世界と同じなのだよ


「二我」
「人我」自分にとらわれること
「法我」教えにこだわること

この「二我」があるかぎり、般若の境地は得られない



<仏教の発展>





「色即是空、空即是色 受想行識亦復如是」
亦復:~もまた

「空」こだわりのない智慧で真実を見ること

意味:
色は空そのものであり、空は色そのものである
受想行識も、色・空である
目の前にあるものが仏の世界
空は目に見えているものだ



「舎利子 是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減」

意味:
舎利子よ、世の中のもろもろのものは空の婆で、すべてのものは、今は目に見えていても
その真実を仏の目で見れば、すべては空なのが、本当の姿だ

神が生んだものでも、誰かが滅すものでも
本来穢れたり、清らかでもなく、
宇宙は増えたものでも、滅ってゆくものでもない

この世の真実は「因縁」によって物が生じ、滅する
固定した性質はなく移り変わるもの
世界は「無始無終」という考えで見なければならない


「因縁」
フシギな原因が働き、熟成する条件



「是故空中、無色、無受想行識」

空中:“空”という大真実の中

意味:
こういったわけで、空の中には色も受想行識もないのだよ
一瞬一瞬に働きがある

観音様は、生きている今日ただいま「五蘊」を働かせて、大勢の人を救おうと努力している
空の世界では、大きな仏の力の中で生かされている

「代受苦」
すべての人の苦しみを代わって受けている


『十牛図』(ウィキ参照
1.尋牛(じんぎゅう)
2.見跡(けんせき)
3.見牛(けんぎゅう)
4.得牛(とくぎゅう)
5.牧牛(ぼくぎゅう)
6.騎牛帰家(きぎゅうきか)
7.忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん)
8.人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう)
9.返本還源(へんぽんげんげん) :もともと自然とは無為
10.入鄽垂手(にってんすいしゅ):人も自分のあるがままに生きるのがよい



「無眼・耳・鼻・舌・身・意、無色・声・香・味・触・法」

眼・耳・鼻・舌・身・意:「六根」体の器官+心
色:目
声:耳
香:鼻
味:舌
触:身
法:精神 「法界=六堺」

意味:
大きな仏の働きの中では、1つ1つの感覚器官にこだわってはいけない
感覚だけでは、仏の世界の中に入れない
心眼で見ること



「無眼界、乃至、無意識界」

乃至:中略

意味:
六根の世界がない、体の6つの器官、5つの働きだけでなく、仏の世界に入ってものの真実を見よ





「無無明亦無無明尽、乃至、無老死、亦無老死尽」

無明:人は生まれつき知恵を持たず、磨いて出てくる 生まれながらに持っているというのは「人間過信」
無無明尽:無知から抜け出せない

意味:
人は明と無明の中間で努力するもので、明や無明にこだわるべきではない
老死も同じく、若い時は若さに感謝し、老人をいたわる

二重否定により人生の肯定的な態度を教える
「無明」に始まり、「老死」に終わる
仏の眼では固定事実ではない



「無苦集滅道無智亦無得」

苦集滅道:「四諦」(4つの真実)

「四諦」(ウィキ参照
苦諦:人生、苦しいことが多い(経験論的真実)
集諦:「縁起」(原因と条件で結果となる)それが集まって苦となる
滅諦:煩悩が消える(宗教的真実)
道諦:そのための方法(実践哲学的真実)

頭だけでなく、腹(全身)で学ぶ

意味:
ただ仏の教えを字の通り学ぶのから一歩進むと、“智”も“得”(得た・失くした)もなくなる
いつ修行が完成するか、煩悩はいつ消えるのか、という結果や期間もなく
仏道にひたる喜びのうちに覚りに至る



「以無所得故、菩提薩埵、依般若波羅蜜多故」

所得:人が手に入れる全てのもの
菩提薩埵:菩薩

意味:
何ものにもとらわれることがないから、観音様ら救済者はみな、仏の智慧で
仏国に行こうとしている人ばかりであるから

「覚りをひらきたい」もこだわりの1つ
利益にとらわれるとなくなり、得たいという思いを忘れる頃にふと利益はくる



<功徳>

「心無罣礙、無罣礙故、無有恐怖」

心無
罣:自然界のさしさわり
礙:人間界のさしさわり

意味:
無所得ゆえに、心の中に雲もないから、恐怖もない

誰かに何かしてもらいたい、何かになりたい、と想うと、みんなに気を遣う
求める人は、必ず怖れる人



「遠離一切顛倒夢想、究竟涅槃」

究竟:完成させる

「涅槃」=ニルヴァーナ 吹き消す
暑いインドで火が消えて涼しくなるように、
煩悩が消えて、覚りがひらけること

意味:
だから菩薩らは、すべての間違った考え方や、夢のような考え方を遠のけ、離す
言葉もこえて、背後にある世界を見極めることで、本当の仏の「空」に入れる



「三世諸仏、依般若波羅蜜多故」

三世諸仏:決して消えることのない仏たち
三世:現在・過去(現在が過ぎ去ったもの)・未来(未だ来ない現在)

意味:
三世諸仏は、仏の智慧で仏国へ行く修行をしているのだから
「悟後の修行」仏教では死ぬまでが修行



「得阿耨多羅三藐三菩提」

阿耨多羅:この上ない
三藐:同じ、正しい
三菩提:覚り

→無上・正等・覚

意味:
この上ない、いつでも正しい、変わることのない仏の覚りを得られる



「故知、般若波羅蜜多、是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪」

故知:~のために分かった
大神呪:偉大な心のはたらき
大明呪:私たちの無知を照らす
無上呪:この上ない
無等等呪:比類ない

「呪」言葉の背後にある真実の世界
「マントラ」呪、真言

意味:
仏の智慧で仏国に行く修行について、いろいろ説いたが
「般若波羅蜜多」が偉大で素晴らしい呪文であることが分かった

4つの呪:声聞・縁覚・大乗・秘蔵



<結論>

「能除一切苦、真実不虚」

意味:
『般若心経』は、素晴らしい呪文だから、本当に心から読む人は、心にある全ての苦しみを取り除く
教理・実践・功徳が具わっている



「故説、般若波羅蜜多呪即説呪曰」

意味:
「般若波羅蜜多」とは、どんな呪文か説いてみせましょう、つまり・・・



●「羯諦 羯諦、波羅羯諦、波羅 僧羯諦、菩提僧莎訶」
(ガテー ガテー パーラガテー パーラ サン ガテー ボードヒスヴァーハー)

羯諦 羯諦:往きて、往きて
波羅羯諦:彼岸に往って
波羅僧羯諦:よく着いて
菩提僧莎訶:覚りよ、栄えあれ

呪文のため梵語のまま訳さなかったが、弘法大師は上のごとく訳して
意味を知った上で、意味にとらわれないのをよしとした



「般若心経」

意味:
経題の繰り返し





法数(数のついた仏教用語)

「三界」(ウィキ参照
欲界:感覚的欲望の世界
色界:感覚的欲望は少なくても、まだ物質的
無色界:純粋精神の世界


「五戒」(ウィキ参照
人間完成のための戒め
殺生
偸盗
邪婬
妄語(ウソ)
飲酒


「六波羅蜜」(ウィキ参照
彼岸へ行く修行の徳目
1.布施
2.持戒
3.忍辱
4.精進
5.禅定
6.智慧


「十二縁起」(ウィキ参照
人の一生の因果
1.無明
2.行
3.識
4.名色
5.六処
6.触
7.受
8.愛
9.取
10.有
11.生
12.老死


「四万六千日」
7月10日 観音様の特別な功徳の日
この日に参詣すると46000日分の功徳がある



●写経
仏教経典を自分の手で書き写すこと 布施行
五感(六根)を使って書くことで大願成就

五種法師の功徳:
受持・読・誦・解説・書写

「十戒」(地獄から仏界にいたる10の世界)のあらゆる者の
慟哭・悲嘆・恐怖・苦悩・悦楽・歓喜等を
自在に駆使することが可能となる

主なのは『法華経』(『観音経』)と『般若心経』




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