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『インガルス家の物語1 大きな森の小さな家』(福音館書店)

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『インガルス家の物語1 大きな森の小さな家』(福音館書店)
原題 LITTLE HOUSE IN THE BIG WOODS by Loura Ingalls Wilder
ローラ・インガルス・ワイルダー/著 ガース・ウィリアムズ/絵 恩地三保子/訳
初版1972年(1996年54刷)

※1999.4~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。


ローラ・インガルス・ワイルダー:
1867年 北米ウィスコンシン州生まれ 1957年 90歳で死去
初作の本書は、64歳の時に書いて、翌年出版された

その他の著書:
1933 『農場の少年』
1935 『大草原の小さな家』
1937 『プラム・クリークの土手で』
1939 『シルバー・レイクの岸辺で』
1940 『長い冬』
1941 『大草原の小さな町』
1953 『この楽しき日々』

1954 優れた児童書に与えられる「ローラ・インガルス・ワイルダー賞」創設

1971 『はじめの4年間』は死後に出版
『わが家への道』娘ローズ・ワイルダーが母の日記をまとめた



NHK教育で何十回目かの再放送が始まり、懐かしさで見たら、
以前見た時と同じ感動で笑い、泣けた

GW中の友にと久々図書館で借りて、初めて原作を読んだが
100年前、北アメリカ開拓時代が
インガルス一家と1人の少女の人生とともに鮮やかによみがえる


今のように都市に人工の緑が申し訳程度にあるのではなく、
大きな自然の脅威と戦い、恵みを受け取って
まさに生きるために全力で働きぬいて、家族を守り、精一杯生きていたのが分かる

今じゃいつでも買えるもの~服、帽子、ケーキ、野菜、肉、くるみ、メイプルシロップ、パンなどなど
もとは自然の中にあって、人が加工して食料や生活用品にしていたんだと改めて分かる 新鮮な感動

銃に弾丸を詰める方法、麦わら帽子を作る方法、熊や鹿肉を余りなく利用する方法など
1人の人間がここまでいろんな事ができたなんて!

今の私たちはどうだろう?
電気に頼りすぎて、1人の手じゃ何も作り出せない、無力に近い気さえしてくる


昔のアメリカは、規律やしつけにも厳しく、キリスト教信仰に篤かった
女の子は慎み深く、裁縫、料理を手伝い、
音の子は、小さい頃から農業、放牧など、父親の仕事を手伝わされた

親の言う事は絶対で、良心を尊んだ
そうしなければ、本当に、明日の食料、冬の蓄えが持てなかったから


今、私たちにこの時代に戻れといっても到底ムリだが、
丸太の家、母の焼きたてのパンにスープ、
父親の弾くバイオリン、歌、お話が娯楽で

見るものすべてが新鮮で、強烈な感動となって、
年老いてもなお、昨日のように幸福な情景がよみがえる
そんな人生だったらどんなに貴重だろうか


▼あらすじ(ネタバレ注意

冬に備えて、鹿肉やブタ肉を、ハムやベーコンにしていく
屋根裏部屋には、野菜や、肉の貯蔵でいっぱい
それらは森に仕掛けた罠や、父が狩りで一発で仕留めたものだった

バターもチーズも手作り
夜には子守唄代わりに、父がバイオリンを弾いて歌うし、お話もしてくれる

父の父(祖父)が大きな黒ヒョウに追われた話や
夜遅くになった少年の頃の父が、フクロウに「WHO? WHO?(誰?)」と追われた話


クリスマスには、いとこらがきて一緒に遊ぶ 飴も作った
でも、ローラが一番嬉しかったのは、母の作った布人形がプレゼントだったこと
嬉しさに口もきけず、“シャーロッテ”と早速名前をつけた


日曜日には一切の仕事、遊びもせず、お湯で体を清め、子どもらはぐずる
「でも、昔はもっと厳しかった 今で良かったと思わなきゃ」


父の帰りが遅れた夜、母は牛のスーキイと間違えて大熊の背を叩いてから気づき
ローラと慌てて家に逃げ込むw
一方、暗い森で、父は木の株をクマと思い込んで、わめいたり、腕を振り回したりしていたw


砂糖雪が降る春の近い日
祖父の家に行って、メイプルシュガーをたくさんとる手伝いをした後、親戚じゅうのダンスパーティ
みんなとっておきのドレスアップをして、一晩中賑やかに踊り続けた


ローラたちが想像もできなかった、初めて町へ行った日
たくさんの家、店、湖、大きな空、見るものすべてが初めてで
キャンディをもらったローラは「ありがとう」と小声で言うのがやっと

湖で集めたキレイな小石は、ポケットが破れて散らかして泣いてしまう


叔父らと仕事を手伝い合う時は、いとこらと遊べる
キレイなブロンドの姉は、いつもしとやかで、賢く
ローラは茶色の髪が気に入らず、不公平だと思っていたところに
姉からそう言われてひっぱたき、父に怒られる

「父さんの髪も茶色だよ」と言われて初めて気づく


クマの見つけたハチミツを何樽にも持ち帰る父

刈り入れは、みんなで手伝い合うが、いとこのチャーリーは甘やかされたなまけ者で
必死に働く父らを騙して遊んだ挙句に、全身スズメバチに刺されて、包帯グルグル巻きになる
ローラらはバチが当たったとゾッとする

脱穀の機械であっという間に済んで
「たいした発明だ! 私は進歩派だよ 素晴らしい時代に生きてるんだ」


父さんは、冬の準備で忙しく、肉のために木の上で狙っていたのに
鹿の美しさ、クマの滑稽さ、鹿の母親が子どもを思うあまりに
無防備で自然な姿に心打たれて、何も殺さずに帰ってくる

そんな父に「撃たないでありがとう」「2人ともなんていい子だろう」


昔を偲ぶ、静かな歌をうたう父

そんな現在が「今」でよかった
何もかも忘れっこない「今」は、「ずっと昔」になんかなりはしない

とベッドでしみじみ思うローラ




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