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『イースト・オブ・ザ・ムーン』(パビリオンブックス社)

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『イースト・オブ・ザ・ムーン』(パビリオンブックス社)
原題 FAIRY TAILES by Terry Jones
テリー・ジョーンズ/著 マイケル・フォアマン/絵 さくまゆみこ/訳
初版1981年(パビリオンブックス社)1990年(リブリオ出版) 2060円

※1996.10~のノートよりメモを抜粋しました。

「読書感想メモリスト」カテゴリーに追加しました。

テリー・ジョーンズ:
「この物語は、1978年の夏、サリー・ジョーンズのために書かれました」


テレビ『East of the Moon』主題歌

♪不思議な場所があるのさ
 誰でもそこへ行けるのに

 ここではないし あすこでもない
 でも いつでもどこにでもあるのさ

 月の東
 太陽の西

 はるかかなたを見渡すと

 月の東
 太陽の西

 君と僕とが出会う場所

 月の東
 太陽の西

 なにが起きても不思議じゃない

 月の東
 太陽の西


主題歌があるってことはTVアニメにでもなって放送されたのかな?
あのテリーがこんな教訓ものの童話作家として、可愛い名前の賞までもらって活躍しているなんて!

モンティ・パイソンのコントじゃ「モラルなんてクソくらえ」のなんでもありの世界だけど、
その奥には、世の中を正そうとする姿勢がないこともなかった

映画も3作監督している
テリー・ギリアムが監督していると勘違いしてたのもある

中世劇が多かったのは、中世文学を専攻して、興味を持っていたジョーンズの嗜好だったのか
これで謎が解けた

全部なにかの教訓話だけど、その中にもナンセンスな笑いの部分もあり
愛娘を愛する親心あり、思わず感動する名文句あり、いろんなモンスターも出てくる
魔女、魔法使いが多いのも特徴

「むかしむかし・・・」で始まるオーソドックスな形式だけど、
1つ1つの短い話の中に独自のフシギ世界が広がっている

40歳を過ぎても、こんなにステキなイマジネーションの世界を描けるなんて
やっぱりフツーの人じゃない

そのフシギワールドをそのまま絵に描いているフォアマンさんも、
また、かなり名の通った、あらゆる挿絵や文も発表しているイラストレーターさんらしい



▼あらすじ(ネタバレ注意

<その1>

The Corn Dolly
お百姓さんに助けられた麦わら人形は、家の中の快適な場所に置いてもらっても不平ばかり
とうとう火のそばで燃えうつり、灰になる


The Silly King
ボケまくりの王さま
美しいお姫さまが王子さまと結婚したくて許してもらおうと作戦を練る
突然「はつか大根!」と叫んだりするところが笑える


The Wonderful Cake-House
ケーキでできたウマとネズミくんでも親友になれる


The Fly-by-Night
女の子が夜の飛行士についていって、森に置き去りにされちゃう
愛娘に悪い虫がつかないよう願う父親心が感じられる


Three Raindrops
3つの水玉が「僕が一番だ」と競ううちに泥の水たまりに落ちちゃう


Jack One-Step
ひと足の妖精を助けて、ひと足で妖精の王さまの城に着き、
大きいだけで威張っている彼に文句を言う
小さくても集まれば大きな力となる


The Ship of Bones
骸骨船なんて信じない船乗りが、実際乗って、犬のマネをして逃げのび、
自分で言ったように帽子を食べた


The Sea Tiger
大ウソつきのトラが魔法にかけられて、言うことがすべて本当になっちゃう


The Big Noses
みんな鼻の大きい村の村長さんが、賢者に鼻を小さくしてと頼む
悪い習慣を改め、ちょっとした工夫でみんな幸せになれて、村長ももとの大鼻に戻して帰る


The Witch and the Rainbow Cat
女の子が小さい小屋の鏡の中の未来の姿を見たため、未来の魔女の奴隷となる
虹色で話せる魔法のかかったネコが、3つの質問に答えると言い、
助けた小鳥に助かる質問を教えてもらう

「どうして私には、自分の未来が選べないの?」

ネコはニッコリ笑って「もちろん、選べるさ 鏡を壊せば君は自由だ!」

魔女をやっつけてもとに戻ったネコは、森に歩いていく
彼女のシンプルだけど、意味深いセリフが心に残る


Why Birds Sing in the Morning
光の王さまの娘が太陽で、魔女の弱い息子が月
求婚を迫る月が、太陽を追って昼と夜ができた
矢の当たった姫を起こすため、毎朝、鳥が一斉に鳴く、というほのぼの話


The Island of Purple Fruits
難破した水夫が、島の唯一の食べ物の紫色の果物を食べて
家族と幸せに暮らす夢ばかり見て、現実を忘れる
助けられて「夢の中の幸せなど意味がない」と悟る


Far-Away Castle
旅人が近くに見えてもたどり着けない城に挑んで諦めるとたどり着く
諦めるのもたまには必要ってこと


The Boat that went Nowhere
貧しい少年が、母のために金持ちになろうと旅に出て分かったのは

「金持ちはけして満足しない
 みんな親切で、気前がいいのは、どこにもない国だけだった」

母「パンはなくても希望がある」



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