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『テディベアとどうぶつたち』 ミヒャエル・エンデ(岩波書店)

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『テディベアとどうぶつたち』(岩波書店)
ミヒャエル・エンデ/文 ベルンハルト・オーバーディーク/イラスト

「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。

作者とイラストレーターの紹介文にもハエにたかられてるイラストが添えられてて可笑しいw
 

ミヒャエル・エンデ:
演劇活動のかたわら、戯曲、詩、小説などを試作していたが
『ジム・ボタンの機関車大旅行』で作家としての道を歩みはじめた



▼あらすじ(ネタバレ注意

あるところに、年をとったテディベアがいました

「洗えるクマ」とタグがついていたので、子どもが「あーえるクマ」と言ってから「アエル」と呼ばれるが
今はもう子どもが学校に行って、アエルとは遊ばない

ひとりの時だけ退屈して飛び跳ねることがあります テディベアは恥ずかしがりやですからね


そこにハエが来て、
「君はなんの為に生きてるの? 僕は飛び回ってなんでも舐めるために生きてる」

アエルがそんなことはしないと言うと
「やれやれ、そういうのをおばかさんっていうんだよ ブーンブーン、意味がなーい」と歌って飛んでいった

「僕がなんのために生きてるのか、みんなに聞いてみることにしよう」


地下室でネズミに会って聞くと
「大事なことは、捕まらないようにチーズやベーコンを探して、家族を養うことだよ」


家の前の庭にいる忙しそうに飛び回るミツバチに聞くと
「忙しく働くため 蜜を集めて、巣を作って、私たちの国のために尽くすのよ そんなことが分からないの?」





道にいるアトリ(鳥)に聞くと
「いいことを教えてやるよ 僕みたいに、馬鹿げたことに頭を使うのはやめるんだ
 周りの言うことなど気にせず、図々しくやるのさ」


公園にいる白鳥に聞くと
「生きていくのに一番大切なのは、美しいことだけだよ 他になにかあるかい?」

白鳥はアエルを笑って「君は余計者かもしれないな」



森のカッコウに「何をしてるの?」と聞くと
「数をかぞえてるんだ 木の葉や、日にち、そのほかなんでも 邪魔しないでおくれ 68、69、70・・・」

「それには意味があるの?」

「もちろんさ 数が一番大事なんだ
 数えられるものにだけ意味があるのさ 71,72,73・・・」

(ちょっと『星の王子さま』に似てるね



森の奥のジャングルにいるサルのボスにも聞いた



「一番大事なのは仲間をつくることだ 組合とか、団体とか
 誰かが命令して、他の者がきく そうでないとメチャメチャになってしまう

 めいめいが自分の場所を知っていれば、自分の値打ちもハッキリするだろう
 君は命令ができるかい それとも命令をきけるかい?」

「どっちもできないや」

「それじゃ、うちの団体には入れないぞ」



草原にいたゾウの群れにも聞いた



「奥の深い問題は、よく考えなければならない
 君もほかの生き物と同じように魂を持っているんだろ?」

「まだ見たことはないけど、パンヤとかウレタンとかだと思うな」

「それじゃ、君は本当の生き物じゃない 魂を持たない、ただのモノ
 君がもう何の役にも立たないとすれば、捨てるほかはないね」

アエルは、たとえ体の中にパンヤかウレタンしか入っていないにしても
やっぱりとても悲しくなり、誰かに尋ねるのはもうよそうと思いました



砂漠にはヘビがいて
「ほんとに美味しそうだよ、ふとっちょさん」

ヘビにも聞くと
「わたしみたいなものに食べられるためさ」
「食べられないと思うよ 中はパンヤかウレタンみたいなものだもん」

「なんだ じゃあ、お前さんは何の役にも立たないねえ」



野原にはサナギから蝶が現れ、アエルはすっかり感心する

「どうやってやるんだい?」

「よりよいものへと変わっていくのよ あなたは、よりよいものに変われないの?」


その時、道のむこうから貧しい小さな女の子がやって来ました

「クマさんでしょう 私のところへ来ない?」
「よろこんで」



アエルの体の中は、パンヤかウレタンのはずなのに
胸のあたりがとってもあったかくなりました

それから2人とも、とても幸せになりました


何日か経って、あのうるさいハエがまたやってきて
「一体、何の為に生きてるんだい ほんとのおばかさーん」

でも、今度はアエルは、どうしたらよいか、答えをちゃんと知っていました




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