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篠田桃紅~104歳のメッセージ~@あさイチ

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篠田桃紅~104歳のメッセージ~@あさイチ

ゲスト:勝村政信さん、光浦靖子さん


「あさイチ」まとめ見メモ


SWITCHインタビュー達人達 日野原重明(医師・104歳)×篠田桃紅(美術家・103歳)

篠田桃紅@アートシーン


日本は“長寿国”として有名でも、たくさん管をつけていたり、
認知症を患っていたりでは、長生きの意味を考えさせられる

篠田さんのように、いろいろ体に不具合があったとしても
自分の考えをしっかり力強く伝えることができる長生きは
やっぱり、それだけのなにか使命を負っているのではないかと思うなあ




篠田:
正装で階段を下りてくる芥川さんを見かけたことはある
そりゃあ素晴らしい キレイでした ステキな人だと思った
まだ若い、10代の私の目には


<スタジオに篠田さんの作品を借りてきた>

 

もとは書家から始まり、抽象化して、早くから海外に高く評価された
作品だけではなく、若者から言葉が注目されている
生涯、独身を貫くその生き方の言葉を有働アナが聞いてきた


<港区にあるアトリエ兼自宅を訪ねた>

 



篠田:
未来ってものが面倒よ ここまで生きると
100いくつも過ぎて、こうして人々にやっかいになって生きている
老いるって、そういう野暮なことですね 江戸っ子の感覚で言うと
少なくとも粋じゃあない ちょっと珍しい・・・珍種だ
珍種の一種として生きてるわよ、私



<経歴>

大正2年生まれ
翌年には第一次世界大戦が始まった

 

20代で書道家として歩み始めたが、第二次世界大戦が勃発(23歳)







父の「必ず結婚すること」という遺言を省みず独身を貫き、1956年 43歳で単身渡米
1ドル360円 日本人は自由に海外旅行できない時代





書の概念を超えた篠田さんのアートは海外で高く評価されてきた
100歳を超えても、一人暮らしをしながら旺盛な制作活動を続けている






<著書『一〇五歳、死ねないのも困るのよ』>

う:今、「死」をどう感じている?

篠田:
考えないの 死を考えたことがない
いずれ死ぬんだろうということは意識はしている
考えないようにもしてない

自然ですよね死ってのは
自然は人間の頭では到底考えきれない
自然っていうものには太刀打ちできませんよ 人の頭ぐらいじゃ


う:寂しいと思う瞬間はない?

篠田:
ない 人がいれば寂しくないなんてことはあり得ない
どんな人がいたって寂しいです人間は
心がすべて共感し合えるなんてないの

人間は絶対独りですよ
どんないい人と一緒にいても

私は結婚という形式を踏まなかったけれども
本当に大好きで長く一緒に暮した人もいる

だけど、その人と結婚しないでよかったとも思わないし
結婚すればよかったとも思わない


う:
私は今48で、結婚を逃して、たぶんこのまま独身だろうなと思っているが
「子どもを産んでおけばよかったな」「いたら寂しくないのにな」みたいなことは?

篠田:
ないです それはやせガマンでも何でもない

お友だちが普通に結婚してらっしゃる方もいっぱいいる
そういうのを見て、いいなあと思うこともある
だけど、あんまりよくないなと思うこともある

だから、人間は何が一番いいのか、いまだに分かりませんよ

ただ結婚はなかなか大変なことだから
よくサッサとみんな決めちゃうなあとは思う

女の人は一人で生きてたら可哀相だなんて、とんでもないわよねえ
日本の男の人って本当に自惚れてると思った

今でもそうよ 1人でいることを憐れなこととして見てますよ
私は憐れまれてます 自惚れてるんですよ日本の男の人って
自分たちは(女性を)幸福にする力があると思ってる

(これは日本の男性だけにかぎらない
 母系家族なのは、先進国が“未開人”て呼んでる先住民くらいか


う:
私のほうが引きずられてますね
「女性は弱くて、男性に幸せにしてもらって」と・・・

篠田:
でも、本当にそういう自信のある人いるかしら
私は、誠実な男性だったら、いないと思う

う:うわーそうかもしれない

篠田:
人が人を幸福にし得るなんて、男にしろ、どっちにしろムリですよ

う:ちょっと考え直します 家帰ってw





<日本の100年を見つめて思うこと>



篠田:
私たちの青春は恵まれていなかった 戦争は大きかったから 逃げて回ってだったから
本当に、若い良い時代、空襲を逃げ回ってたようなもんですよ 情けないことに
それで日本は大負けに負けたんだから 踏んだり蹴ったりですよね

一体、日本人てのは、心配性なのか、楽天性なのか どっちかも分かんない
心配してるのかしら 本当に日本の将来ってものを
楽天的に「なんとかなるさ」と思ってるのかしら
私はなんだか後者のような気がする


う:それは昔からですか?

篠田:
それは絶対なんとかなるわよね なんとか
そのなんとかの「何」になるのか
そういうことまでは考えないわよね、日本人てわりと
なんとかなるさでw その「何とか」に任せちゃってるみたい

徹底的なんてことはしないでしょ日本人は
どこか、ふわっと残してるわよ

西洋人は、やるとなったら徹底的
そういうところが日本人ていうのは曖昧模糊としたところを残してる

それが「人間が考え得ないものがある」という謙虚な美しい性格なのか
無責任極まるものなのか分からない 両方だとは思う 無責任でもあるし

(太平洋戦争などは、私の印象としては、日本人の生真面目さが大きく働いた感じがするけどな
 モヤっとさせて、これまで平和を保ってきた部分もあるだろうし
 どちらか一方ではなく、すべていろんな要素が複雑に内包してるだろうけれども
 どちらかと言えば、西洋よりアジア的な考えのほうが、これからを救うのでは



<苦しみの器>



篠田:
人っていうのは苦しむ器 入れ物
人間は悩み、苦しむ器ってことを聞いた

そう言われるとほんとにそうね
みんな何かで苦しんで、何かで悩んでる

何かで「もう少しこうであればよかった」と思ってる
大満足ですっていう人はいないでしょう、恐らく


う:篠田さんは、苦しいことなどに当たった時はどう向き合う?

篠田:
どうすることも出来ません、私には
だって、人間なんて知れたものですよ 力は

(自我を捨てて、流れに身を任せることは、仏教にも通じるな

なにか出来るなら、みんな解決しちゃってますよ
解決出来ないから、みんなたーくさんの苦労がある

芸術も文学もみんなそうじゃない そういうものから生まれているんです
苦しみから逃れるために作品を描いたとも思えないのだけれど
でも制作をしている時は、いわゆる悩みや苦しみを忘れてはいますね 一瞬だけでも(三昧か


う:104年生きて、良かったことは何ですか?

篠田:
それはみんな良かった 私は我がままに生きてきた 自分の勝手に
だから否定するところはありませんよ 自分でやりたい風に生きてきた
やりたくないことを一生懸命やったわけじゃないんだから

(それこそ真の幸せだな

だからみんなに通用するようなことは何にもない 私だけにしか通用しない、私の生き方は
真似しようったって真似は出来ない また真似させようとも思わない
お手本になんかなれない、私は



光浦:
死ぬことに対して最近、ビビリ倒してたんで、人から「篠田さんを知れ」て言われてたから
今から勉強しようと思います

ウチは父方も母方もすごい長寿で、人間ドックに行ったら「あんた100まで生きるよ」って言われて
「え? 独りで100まで?」ってことが逆に怖くなっちゃって
独りで、子どもいないしどうしようって

う:
あの時代にずっと独身で、しかも自分で選んできたのは
また違う覚悟があるんじゃないかと思うんですけど


篠田さんは賞を受けることを辞退されているが、その理由を聞くと

「賞や評価は要らないというより、応じる気がない
 偉い人や審査員が決めた賞って私はとても耐えられない

 そういう世界に生きていかれない 賞での評価で作品を観てほしくない
 それぞれの人が、それぞれの目で観てもらいたい」

自分の価値観で生きてる姿を見て、ネットの評価で右往左往してる自分にとって身が引き締まる感じに聞こえた

(共感 アートは勝ち負けもなく、1等賞も、ビリ欠もなく、
 自分が観て、好きか嫌いかだけだから

 偉い人が評価したから、これはスゴイんだって目で観るものじゃない
 今、何億円もする絵が、描いた当時は見向きもされなかったことはたくさんあるし



<「二河白道」(2017)>



今も精力的に制作していて、赤と白の作品は今年制作した
白は氷の河、赤は火の河 この間を人間は通るという仏教の教えを表現した



<これからについて>

篠田さんは、体力・気力が衰えても、老いた今だからこそ描けるものがあると考えている

篠田:
私は1里も2里も、1本の線で続けたいくらいです 砂漠に行って
でも、そういう筆はないでしょう
でも、そういう欲求を抱くことはしょっちゅうあります
(ドットにこだわる弥生ちゃんに対して、線なのね



ゴビの砂漠へ行って、ずーーーーーーーっと線を引きながら
ある行き着くところまで行きたいなと思うことがある
どういう線が引けるんでしょうねえ

そういう線ってものの持つ魅力に駆られるとそうなる
永遠に続く線ってものを描けたら、どんなにいいでしょうね

死んじゃってもまだ引いてる
そういうような線ってものがこの世にあったらどうでしょう

(素晴らしいインスタレーションになりそう ステキな笑顔で言っている
 確固とした夢があるから、いつまでも若くいられるんだな




1時間ほどのインタビューの後、お茶をいただきながら、さらに話は続き
有働アナは改めて強烈なメッセージを投げかけられた

篠田:
一体どうなってるのテレビって
人間生活にものすごく影響が大きいんでしょ

人の心に植えつけられた影響力ってのは相当強いでしょうね
信じるから人は テレビを信じてる 信仰心があるわね あれは強いわよ
テレビがそう言ったから、本当だと思っちゃう そうでもないのにねえ(爆

そうすると、すごい責任重いわよね
あなた方はほんとに影響力が強いんだから、身を引き締めてやってくださいw

(こうしたユーモアも忘れないのもステキ

イノ:ほんとそうだと思う 影響力が強いから気をつけないといけない、テレビは

(「納豆がいい」てゆったら、スーパーから全部、納豆がなくなっちゃうとかね


う:
6時間ぐらい滞在させていただいて(!)ずーとお話をさせていただいて
断言ていうより、自分はこう思うけれども、正しいかどうか分からないわねって
必ずそういう風に意見をおっしゃる

さきほど光浦さんが言ってた「もし100歳まで生きるなら」には
「いい思い出になるように工夫する そうすれば、人生の終わりまで豊かにしてくれる
 あとはどうなるか分からないから、最後まで生きていられるんだ」と言っていた

(いい他力本願だな

ご本人も常にずっとずっと考え続けていらっしゃって、これはこうっていうのではなく
ご自分でも考え続けていらっしゃるんだなと感じました
私も104歳まで生きたら、篠田さんみたいになりたいなって




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