■『アニマルアイズ1 動物の目で環境を見る ごちそう砦』(偕成社)
宮崎学/著
宮崎学さんと言えば、昔、鷲の写真集でファンになった写真家さん。
全5巻あるシリーズの1巻目の本書は2002年発行だが、
巻末にある本人の写真があまりに若いのでビックリした。
しかも、同じ長野県出身なんだ/嬉
写真家として、動物たちを撮っていて気づいたのは、都市のゴミと野生動物たちの関係。
1枚1枚写真を見ていくと、驚愕するとともに、
「なにかが、おかしい」と首をかしげてしまうが、
一体どこがどうおかしいのか説明しようとするとあやふやになってしまう。
1回の食事もままならない国がある一方で、
こんなに大量の食糧を捨てている国がある。それも無意識に。
飽食の影にこんな現実があるということに気づくことからはじめたい。
【内容抜粋メモ】
「環境」ってなんだろう?
「環」は、つながりをあらわし、
「境」は、世界をあらわすことに気がついた。
みんながつながっている世界、それが「環境」。
今、そのつながりを、あらためて見つめなおす必要がありそうです。
日本中、いろんなところで撮影しているうちに、ボクは、妙なことに気がついた。
生きものたちは、人の暮らしのそばに、どんどん、どんどん、近づいてきている。
●北国のトビたち
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シベリアから渡ってきたトビたちは、ゴミから飛び出す肉や魚をねらって舞う
トビは、ワシ、タカと同じ仲間で、ネズミ
や小鳥など捕らえて食べる。
●カモメたちの大パーティー
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市場で売れ残った毛ガニ、ホタテの貝殻も山積みになっている。
北国の広大なゴミ捨て場では、毎日、ごちそうを囲んだ盛大なパーティーが繰り広げられていた。
キタキツネ、エゾシカもゴミ捨て場にやってくる。
冬の間、木の皮ばかり食べているより、ゴミの中の野菜くずのほうが美味しいにきまっている。
いま、このゴミ捨て場は埋め立てられて、公園になっている。
ごちそう三昧だった鳥や獣たちは、どこへ行ってしまったのだろう。
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ごみ焼却場の煙突から出る煙のまわりを飛ぶトビたち
清潔好きのトビは、羽についたダニを煙でいぶして殺虫している。
焼却炉の煙の中に「ダイオキシン」など有害物質がたくさん含まれていることが分かったのは、最近のこと。
もちろん、トビたちは知るはずもない。
●こんがり焼きたてレストラン
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ごみ焼却場の燃えカスの中から御馳走をさがすカラスたち
焼け残った生ゴミから香ばしい匂いが漂ってくる。
匂いに誘われてトビや鳩も群れでやってくる。
この燃えカスの中にも有害物質が含まれていたことを鳥たちは知らない。
水溜りには、ボウフラがたっぷりとわき、それを食べるためにハクセキレイも飛んでくる。
新しく建てられた焼却場では、大量のゴミが燃やされても、もう燃えカスの御馳走は出ない。
●甘いフルーツ・プール
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果樹園の人たちは、目立たない山の中に大きな穴を掘って、共同のリンゴ捨て場にしている
売り物にならないリンゴ
がトラックで運ばれ次々捨てられていた。
ニホンザル
、タヌキ、テン、甘いものが大好きなハクビシン、スズメバチ、ハエ、
腐ったリンゴにわいた虫を食べようと小鳥もやってくる。
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ウメの実の中のかたい種をもとめてやってきたアカネズミ
梅農家の人が傷んだ梅の実を捨てる、ウメ捨て場だ。
●スイカを食べるうり坊たち
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傷があったり、形が少しゆがんだりしているだけで、
果物や野菜は売れなくなってしまう。
だから、日本中に、ごちそう砦が広がっている。
●ハエたちの南の島@奄美大島
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南の島のゴミ捨て場には、鳥の姿は見られない
肉も魚も野菜くずも、南の島ではすぐに腐ってしまうため、鳥が来ても間に合わない。
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南の島のハエは、卵ではなく幼虫(ウジ)をじかに産みつけるものが多い。
干からびる前に食べ尽くしてしまうためだ。
●大都会のごちそう砦
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東京には1200万人が暮らしている。
街から集められるゴミは、1万3000t。
●鳥たちの東京湾キッチン
カモメ、カラス、鳩が毎日飛んでくる。なぜ鳥ばかりなんだろう?
海に浮かんだ島だから、野良猫も渡ってこれない。
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夢の島と呼ばれた、東京湾の最初のゴミ捨て場の跡は、公園になっている。
ゴミ捨て場は、こうして、つぎつぎに広がっていく。
●ぼくらがつくる、ごちそうの山
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人間が一生懸命やっている「リサイクル」を、生きものたちは、ごく自然に、当たり前のこととしてやっているのではないか。
それも、ずっと、ずっと昔から。
ボクは、最近、生きものたちが食べる生ゴミは、ゴミと言ってはいけないんじゃないか、と気がついた。
プラスチックやビニールなどが、ほんとうのゴミだ。
そんなゴミと生ゴミをいっしょくたにして、
みんな無駄に捨ててしまっているのは、僕たち人間だ。
宮崎学/著
宮崎学さんと言えば、昔、鷲の写真集でファンになった写真家さん。
全5巻あるシリーズの1巻目の本書は2002年発行だが、
巻末にある本人の写真があまりに若いのでビックリした。
しかも、同じ長野県出身なんだ/嬉
写真家として、動物たちを撮っていて気づいたのは、都市のゴミと野生動物たちの関係。
1枚1枚写真を見ていくと、驚愕するとともに、
「なにかが、おかしい」と首をかしげてしまうが、
一体どこがどうおかしいのか説明しようとするとあやふやになってしまう。
1回の食事もままならない国がある一方で、
こんなに大量の食糧を捨てている国がある。それも無意識に。
飽食の影にこんな現実があるということに気づくことからはじめたい。
【内容抜粋メモ】
「環境」ってなんだろう?
「環」は、つながりをあらわし、
「境」は、世界をあらわすことに気がついた。
みんながつながっている世界、それが「環境」。
今、そのつながりを、あらためて見つめなおす必要がありそうです。
日本中、いろんなところで撮影しているうちに、ボクは、妙なことに気がついた。
生きものたちは、人の暮らしのそばに、どんどん、どんどん、近づいてきている。
●北国のトビたち
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シベリアから渡ってきたトビたちは、ゴミから飛び出す肉や魚をねらって舞う
トビは、ワシ、タカと同じ仲間で、ネズミ
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●カモメたちの大パーティー
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市場で売れ残った毛ガニ、ホタテの貝殻も山積みになっている。
北国の広大なゴミ捨て場では、毎日、ごちそうを囲んだ盛大なパーティーが繰り広げられていた。
キタキツネ、エゾシカもゴミ捨て場にやってくる。
冬の間、木の皮ばかり食べているより、ゴミの中の野菜くずのほうが美味しいにきまっている。
いま、このゴミ捨て場は埋め立てられて、公園になっている。
ごちそう三昧だった鳥や獣たちは、どこへ行ってしまったのだろう。
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ごみ焼却場の煙突から出る煙のまわりを飛ぶトビたち
清潔好きのトビは、羽についたダニを煙でいぶして殺虫している。
焼却炉の煙の中に「ダイオキシン」など有害物質がたくさん含まれていることが分かったのは、最近のこと。
もちろん、トビたちは知るはずもない。
●こんがり焼きたてレストラン
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ごみ焼却場の燃えカスの中から御馳走をさがすカラスたち
焼け残った生ゴミから香ばしい匂いが漂ってくる。
匂いに誘われてトビや鳩も群れでやってくる。
この燃えカスの中にも有害物質が含まれていたことを鳥たちは知らない。
水溜りには、ボウフラがたっぷりとわき、それを食べるためにハクセキレイも飛んでくる。
新しく建てられた焼却場では、大量のゴミが燃やされても、もう燃えカスの御馳走は出ない。
●甘いフルーツ・プール
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果樹園の人たちは、目立たない山の中に大きな穴を掘って、共同のリンゴ捨て場にしている
売り物にならないリンゴ
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ニホンザル
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腐ったリンゴにわいた虫を食べようと小鳥もやってくる。
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ウメの実の中のかたい種をもとめてやってきたアカネズミ
梅農家の人が傷んだ梅の実を捨てる、ウメ捨て場だ。
●スイカを食べるうり坊たち
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傷があったり、形が少しゆがんだりしているだけで、
果物や野菜は売れなくなってしまう。
だから、日本中に、ごちそう砦が広がっている。
●ハエたちの南の島@奄美大島
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南の島のゴミ捨て場には、鳥の姿は見られない
肉も魚も野菜くずも、南の島ではすぐに腐ってしまうため、鳥が来ても間に合わない。
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南の島のハエは、卵ではなく幼虫(ウジ)をじかに産みつけるものが多い。
干からびる前に食べ尽くしてしまうためだ。
●大都会のごちそう砦
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東京には1200万人が暮らしている。
街から集められるゴミは、1万3000t。
●鳥たちの東京湾キッチン
カモメ、カラス、鳩が毎日飛んでくる。なぜ鳥ばかりなんだろう?
海に浮かんだ島だから、野良猫も渡ってこれない。
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夢の島と呼ばれた、東京湾の最初のゴミ捨て場の跡は、公園になっている。
ゴミ捨て場は、こうして、つぎつぎに広がっていく。
●ぼくらがつくる、ごちそうの山
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人間が一生懸命やっている「リサイクル」を、生きものたちは、ごく自然に、当たり前のこととしてやっているのではないか。
それも、ずっと、ずっと昔から。
ボクは、最近、生きものたちが食べる生ゴミは、ゴミと言ってはいけないんじゃないか、と気がついた。
プラスチックやビニールなどが、ほんとうのゴミだ。
そんなゴミと生ゴミをいっしょくたにして、
みんな無駄に捨ててしまっているのは、僕たち人間だ。