■『地球環境をまもるアクション 野生生物をまもる』(ほるぷ出版)
ルーファス・ベラミー/著
さまざまな野生動物の生育域を侵してきたヒト。
では、それらをどう回復したらいいか、すでに活動しているヒトもいる。
【内容抜粋メモ】
ヒトが活動すれば、かならず、まわりの動植物に影響を与える。
旅行、買い物、仕事などで、習慣になっている行動を見直し、
企業も工場や製品による野生生物への影響を減らすことが重要。
「種」
“1年間に4万種、1日に50種が失われている”という研究者もいる。
1つの種が絶滅すれば、「食物連鎖」によって、ほかの種も壊滅的な打撃を受ける。
食物連鎖の頂点に立つのはヒト。
種が絶滅する最大の原因のひとつは、木材や耕地を手に入れるために「熱帯雨林」が破壊されていること。
失われた種は、二度と復活しない。
「生息地」
野生生物にとって、最大の脅威は、生息地が破壊されること。
建設、伐採、汚染、大規模な農業開発・漁業、密猟、不法な植物の採取などが原因。
生息地の多くは、ヒトにとっても「生活しやすい居住地」。
ヒトは野生生物の生息地を開発し、農地・市街地に変えてきた。
現代の農業は、野草が生える草原などを破壊する
**********************自然を壊すヒトの活動
●水資源の乱獲
第二次世界大戦後、漁業技術はものすごい勢いで進歩した。
世界の魚種の約70%が減っているといわれる。
EUほかが漁船の数を減らす、網のサイズや種類、漁獲量を規制している。
漁網にかかってしまったイルカ
●道路、住宅の建設など
カエルが道路を横断するので、車のスピードを落とすようにうながす標識
●原油流出
1989年、「エクソン・バルディーズ号」がアラスカ州で座礁し、約4万リットルもの原油を海上に流出した。
**********************絶滅危機にある動物たち
●トラ
トラの骨からとれる薬が高く売れるため、密猟が絶えない。
現在、野生のトラは、6000頭くらい。これは1990年代に生存していた5〜10%。
●ゴリラ
ゴリラは、世界でもっとも絶滅が心配されている種のひとつ。
●バンドウイルカ
モーターボート、ゴミ、水質汚染などが彼らの生活を脅かしている。
「サンクチュアリー」という保護区が設けられているが、それだけでは十分ではない。
オーストラリアの「クジラ・イルカ保護協会」は「イルカの里親」事業を展開している。
●サイ、クジラ、ゾウ
これらの動物は関心を呼び、寄付が集まりやすいので、集まった資金を使って、ほかの種も助けることになる。
●オジロワシ
1970年代、人工的な化学汚染物質(農業・製造業から排出)により魚が汚染され、
それを食べたワシも汚染され、うまく繁殖できなくなった。
●ジャイアントパンダ
食料となる竹林が半分以上も失われ、密猟も原因で生存が脅かされ、
今では1平方kmほどの狭い竹林にほとんどが生息している
「竹林の通り道」をつくって生息域同士をつなげる計画もある。
●サイ
角を粉末にすると薬になるという理由で狩猟されている。
●クジラ
シロナガスクジラなど多くのクジラが絶滅の危機にある。
灯油、ロウソクの原料となる油、工芸用品に使われるヒゲなどで、古くより「商業捕鯨」が行われてきた。
商業捕鯨は禁止され、南極周辺に保護区が設けられている。
国際捕鯨委員会(IWC)により、国内の商業捕鯨は壊滅した。
●ツキノワグマ
中国では胆汁が薬として利用されている。
「アジア動物基金」(AAF)がこれまでに数百頭のクマを救出している。
**********************さまざまな活動
「タンボパタ保護区」@ペルー
150万haあり、何万もの種が生息している。
「クルーガー国立公園」@南アフリカ
ゾウの繁殖がうまくいきすぎ、増えすぎたため、「間引き」をしなければならなくなった
「エコツーリズム」
傷つけない範囲で自然観察、文化を学ぶ観光方法は長期的な解決法。
しかし、観光客による自然破壊が新たな問題になっている。
「エコワーキング・ホリデー」
観光客も保護活動に参加できる。
多くの保護区には、野生生物を見学する観光客が訪れる。
「ツリー・フォー・ライフ」@スコットランド
ボランティアグループが何十万本ものヨーロッパアカマツを植林している。
「アグロフォレストリー」
ブラジルのアマゾン熱帯雨林では、樹木を伐採せずに、ナッツ、カカオ、薬用油を栽培・採取・販売している。
「メダカが住める環境でつくられた米」@三重県勢和村
メダカ、タガメ、ゲンゴロウが住める水田環境を再生している。
**********************わたしたちができること
●狩猟をやめる
肉、皮革、毛皮などのために多くの動物が狩猟の対象となっている。
目先の利益にとらわれた狩猟を制限・禁止する法律を制定しているが密猟があとをたたない。
●密輸をなくす
アフリカで押収された象牙/お土産で売られる象牙製品
●教育活動と監視が大切
貧困のために密猟しないよう教える。
●習慣を変える
動物の特定部位が伝統的な薬として使われていることがある。東南アジアに多い。別の方法があると教育する。
●野生動物と記念写真を撮るなどの商売に手を貸さない
クマ、チンパンジーなど野生だったものを不法に捕らえたもの。
●巣箱の設置
鳥、コウモリ、昆虫などのために巣箱を設置する。
●汚染をなくす
川、湖沼、海はいまや「化学薬品のスープ」。
魚、ワニ、シロクマなどが、化学汚染物質が原因で、ガンなどの健康障害をおこしていた。
「残留性有機汚染物質」(POPs)が問題となっている。
●プラスチックゴミ
飲み込んだり、ゴミに絡まったりして、毎年、100万羽以上の鳥が犠牲になっている。
●有機農家
テントウムシは、一生のうちに害虫になるアブラムシを5000匹も食べてくれる。
クサカゲロウの幼虫も害虫に対して天敵になってくれる。
●動物を救出する
インドネシアなどで「森林火災」が大きな問題となっている
「ワナリセット・オランウータン・リハビリセンター」「西表野生生物保護センター」などでは傷や病気の手当てもしている。
●動物園で飼育しながら希少動物を繁殖させる
「ジャージー動物園」@チャンネル諸島が世界でもっともすすんでいる。
ゴールデンライオンタマリンは、最近140頭が野生に戻された(ヘアスタイルきまってるね
ジェラルド・ダレル:イギリスの児童文学作家。動物学者としてもたくさんの著書を書いて活動した。
**********************法律・規制
日本は、アメリカに次ぐ、世界第2の「野生動植物の消費国」。
「ワシントン条約」
クジラ、サイ、希少なランなど、絶滅の危機にある動植物800種以上の貿易を禁止している。
なにも知らずに日本に持ちこんでも「国際法違反」になる。
「商業的捕鯨の一時的な禁止」1972年採択
「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」1992年
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」2001年
「京都議定書」2005年発効
ルーファス・ベラミー/著
さまざまな野生動物の生育域を侵してきたヒト。
では、それらをどう回復したらいいか、すでに活動しているヒトもいる。
【内容抜粋メモ】
ヒトが活動すれば、かならず、まわりの動植物に影響を与える。
旅行、買い物、仕事などで、習慣になっている行動を見直し、
企業も工場や製品による野生生物への影響を減らすことが重要。
「種」
“1年間に4万種、1日に50種が失われている”という研究者もいる。
1つの種が絶滅すれば、「食物連鎖」によって、ほかの種も壊滅的な打撃を受ける。
食物連鎖の頂点に立つのはヒト。
種が絶滅する最大の原因のひとつは、木材や耕地を手に入れるために「熱帯雨林」が破壊されていること。
失われた種は、二度と復活しない。
「生息地」
野生生物にとって、最大の脅威は、生息地が破壊されること。
建設、伐採、汚染、大規模な農業開発・漁業、密猟、不法な植物の採取などが原因。
生息地の多くは、ヒトにとっても「生活しやすい居住地」。
ヒトは野生生物の生息地を開発し、農地・市街地に変えてきた。
現代の農業は、野草が生える草原などを破壊する
**********************自然を壊すヒトの活動
●水資源の乱獲
第二次世界大戦後、漁業技術はものすごい勢いで進歩した。
世界の魚種の約70%が減っているといわれる。
EUほかが漁船の数を減らす、網のサイズや種類、漁獲量を規制している。
漁網にかかってしまったイルカ
●道路、住宅の建設など
カエルが道路を横断するので、車のスピードを落とすようにうながす標識
●原油流出
1989年、「エクソン・バルディーズ号」がアラスカ州で座礁し、約4万リットルもの原油を海上に流出した。
**********************絶滅危機にある動物たち
●トラ
トラの骨からとれる薬が高く売れるため、密猟が絶えない。
現在、野生のトラは、6000頭くらい。これは1990年代に生存していた5〜10%。
●ゴリラ
ゴリラは、世界でもっとも絶滅が心配されている種のひとつ。
●バンドウイルカ
モーターボート、ゴミ、水質汚染などが彼らの生活を脅かしている。
「サンクチュアリー」という保護区が設けられているが、それだけでは十分ではない。
オーストラリアの「クジラ・イルカ保護協会」は「イルカの里親」事業を展開している。
●サイ、クジラ、ゾウ
これらの動物は関心を呼び、寄付が集まりやすいので、集まった資金を使って、ほかの種も助けることになる。
●オジロワシ
1970年代、人工的な化学汚染物質(農業・製造業から排出)により魚が汚染され、
それを食べたワシも汚染され、うまく繁殖できなくなった。
●ジャイアントパンダ
食料となる竹林が半分以上も失われ、密猟も原因で生存が脅かされ、
今では1平方kmほどの狭い竹林にほとんどが生息している
「竹林の通り道」をつくって生息域同士をつなげる計画もある。
●サイ
角を粉末にすると薬になるという理由で狩猟されている。
●クジラ
シロナガスクジラなど多くのクジラが絶滅の危機にある。
灯油、ロウソクの原料となる油、工芸用品に使われるヒゲなどで、古くより「商業捕鯨」が行われてきた。
商業捕鯨は禁止され、南極周辺に保護区が設けられている。
国際捕鯨委員会(IWC)により、国内の商業捕鯨は壊滅した。
●ツキノワグマ
中国では胆汁が薬として利用されている。
「アジア動物基金」(AAF)がこれまでに数百頭のクマを救出している。
**********************さまざまな活動
「タンボパタ保護区」@ペルー
150万haあり、何万もの種が生息している。
「クルーガー国立公園」@南アフリカ
ゾウの繁殖がうまくいきすぎ、増えすぎたため、「間引き」をしなければならなくなった
「エコツーリズム」
傷つけない範囲で自然観察、文化を学ぶ観光方法は長期的な解決法。
しかし、観光客による自然破壊が新たな問題になっている。
「エコワーキング・ホリデー」
観光客も保護活動に参加できる。
多くの保護区には、野生生物を見学する観光客が訪れる。
「ツリー・フォー・ライフ」@スコットランド
ボランティアグループが何十万本ものヨーロッパアカマツを植林している。
「アグロフォレストリー」
ブラジルのアマゾン熱帯雨林では、樹木を伐採せずに、ナッツ、カカオ、薬用油を栽培・採取・販売している。
「メダカが住める環境でつくられた米」@三重県勢和村
メダカ、タガメ、ゲンゴロウが住める水田環境を再生している。
**********************わたしたちができること
●狩猟をやめる
肉、皮革、毛皮などのために多くの動物が狩猟の対象となっている。
目先の利益にとらわれた狩猟を制限・禁止する法律を制定しているが密猟があとをたたない。
●密輸をなくす
アフリカで押収された象牙/お土産で売られる象牙製品
●教育活動と監視が大切
貧困のために密猟しないよう教える。
●習慣を変える
動物の特定部位が伝統的な薬として使われていることがある。東南アジアに多い。別の方法があると教育する。
●野生動物と記念写真を撮るなどの商売に手を貸さない
クマ、チンパンジーなど野生だったものを不法に捕らえたもの。
●巣箱の設置
鳥、コウモリ、昆虫などのために巣箱を設置する。
●汚染をなくす
川、湖沼、海はいまや「化学薬品のスープ」。
魚、ワニ、シロクマなどが、化学汚染物質が原因で、ガンなどの健康障害をおこしていた。
「残留性有機汚染物質」(POPs)が問題となっている。
●プラスチックゴミ
飲み込んだり、ゴミに絡まったりして、毎年、100万羽以上の鳥が犠牲になっている。
●有機農家
テントウムシは、一生のうちに害虫になるアブラムシを5000匹も食べてくれる。
クサカゲロウの幼虫も害虫に対して天敵になってくれる。
●動物を救出する
インドネシアなどで「森林火災」が大きな問題となっている
「ワナリセット・オランウータン・リハビリセンター」「西表野生生物保護センター」などでは傷や病気の手当てもしている。
●動物園で飼育しながら希少動物を繁殖させる
「ジャージー動物園」@チャンネル諸島が世界でもっともすすんでいる。
ゴールデンライオンタマリンは、最近140頭が野生に戻された(ヘアスタイルきまってるね
ジェラルド・ダレル:イギリスの児童文学作家。動物学者としてもたくさんの著書を書いて活動した。
**********************法律・規制
日本は、アメリカに次ぐ、世界第2の「野生動植物の消費国」。
「ワシントン条約」
クジラ、サイ、希少なランなど、絶滅の危機にある動植物800種以上の貿易を禁止している。
なにも知らずに日本に持ちこんでも「国際法違反」になる。
「商業的捕鯨の一時的な禁止」1972年採択
「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」1992年
「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」2001年
「京都議定書」2005年発効