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知ってほしい!子どもの「こころの病気」2 自閉症とLD 仲良くできない(岩崎書店)

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知ってほしい!子どもの「こころの病気」2 自閉症とLD 仲良くできない(岩崎書店)
佐々木正美/監修

『知ってほしい! 子どもの「こころの病気」1』のシリーズ2冊目。

読んでて、なんだか『幼獣マメシバ』シリーズの二郎ちゃんを思い出してしまった。
あのお母さんも1つずつ課題を与えて、根気強く成長を見守って、支えていたもんね

でも、問題なのは、むしろ今の教育のやり方だ
みんな同じ制服を着て、同じ道具を持って、同じに始めて、
結果の速さ、正確さで、人間自体を評価して○×をつけてしまう。

子どもの自由な時間を奪い、素晴らしい発想や能力をすべて摘み取ってしまってる
目標は、有名校に入れること、有名な会社で高給取りの役職につけること、
親を安心させて、ゆくゆくは、その見返りとして老後の面倒もみてもらうこと。

世間体を気にして、周囲と比べて一喜一憂する親たち。
ヒトにはそれぞれ他と違った個性があるから素晴らしいのに

とはいえ、実際の子育てはまったなしの戦場なんだろうなぁ
共働きの夫婦は、時間もお金も余裕がないし、1人のニンゲンを育てるってのは想像以上に難しいんだろう。

それに、今はこうして「多動性」とか「○○症候群」とかって1つ1つに病名や理屈をつけてくれるけど、
ちょっと前までは「トロい子」「勉強ができないバカな子」「イジワルな子」「おとなしい子」とかで片付けられていたんだろう。

そこいらでちょっとしたことで大騒ぎしてヒステリックに叱りつけている母親や、
「〜しなきゃダメでしょ?」としつこく大人の勝手な都合を強要している母親を見かけると、
この子たちが大きくなったらどうなるんだろう? 他のヒト、自分の子どもにもまた同じように言うんだろうか?
と今から心配になってしまう。プラス、子育てに関する父親の不在も同じく

子どもに「こうしなさい!」て言うヒトは、いやいや、こうゆう本を読んで、
まず、大人の考え方、偏った見方を変えてください、と思った1冊。


【内容抜粋メモ】

(前文)
発達障害は病気、発達の単純な遅れではありません。
発達の要素や領域が整っていないため、様子が異なって見えると考えるのがよいと思います。
それどころか、平均よりも優れているところもあります
みんなと同じような子どもにしようと、弱いところを治療で治そうとするのではなく、
生来持っている優れたところを伸ばすよう心がけることが大切なのです。

連続体
発達障害は、脳に機能不全があり、発達に偏りが出ること。
AD/HD、LD、ことばのおくれ、知的障害、自閉症、アスペルガー症候群などが、互いに関連しあっていて、区別が難しい。



************************AD/HD

脳の発達に問題があり、落ち着きがない。注意欠陥、多動性障害とも言う。
問題児とレッテルを貼って叱ったり、押さえつけたりすると、反発してますますイライラが強くなる。
周りが特性を受け入れ、穏やかな生活を心がけていると、認めてくれたことで自信が芽生え、徐々に変わります。

●特徴

「多動性」
AD/HDの子は、物事を落ち着いて考えたり、まとまりのある行動をするのが苦手。
例:じっとしてるとイライラする→怒られると辛くなる→キレやすくケンカをする。


【対応例(以下同)】
×ちょっかいをし返す。
○いっしょに騒がない。
○時計の絵を書いて、針がどこまで来たら休み時間になるか教えると、落ち着きやすくなる。


「衝動性」
悪口を言われたり、失敗したりすると、すぐにイライラして、興奮しやすい。
例:嫌なことを言われた→暴力はいけないと分かっている→でも叩いてしまう。

×大勢で注意する
○ケンカしている友だちと引き離す。
○ゆっくり話し合えば分かり合える。

「不注意」
持ち物、ルールを覚えるのが苦手。忘れ物が多い。注意されても直らない。集中できない。
例1:覚えたものを準備したつもり→だけど、なにか忘れてしまう。

×怒って責める。バカにする。
○絵や番号を入れて分かりやすいチェックリストをつくる。


例2:自分もいっしょに遊びたい→周りが目に入らず、ケガをしやすい

×放っておく。
○危ない道具を持たせない。

「運動の特性」
手足を細かくコントロールしたり、考えながら体を動かしたりするのが苦手。
例:自分もスポーツを楽しみたい→ルールが分からない→すぐ怒られる

×「お前のせいで負けた」と責める。
○ルールを簡単にする。やる前にイラストや写真を使って説明しておく。


「論理の特性」
頭を整理して、順序だてて話せない。言いたいことから話すから通じにくい。
例:面白いことを伝えたい→あれもこれも話したい→分からないと言われてガッカリ

×説明のミスを指摘すると口ごもってしまう。
○ひとまず話を聞いて、説明に助け舟を出す。共感を示す。紙に書きながら話す


●Q&A
Q:ビシっと叱ってはダメ?
A:自分を否定されたと傷つく→穏やかに注意する。根気よく訴え続ける。

Q:学級崩壊の原因になるのでは?
A:学級崩壊はだれか一人のせいでおきることではない。他の子の対応にも目を向けるべき。

Q:どうしたらキレなくなる?
A:何がその子のストレスになるか理解して、大人が環境を変えることが必要。

Q:クスリを飲んでも治らないの?
A:注意力、気分がふさぐことは減らすことができるが、特性がなくなるわけではない。

大切なのは、自分の苦手なことを知り、友だちに協力してもらって、生活を変えていくこと。
「こころの病気」から逃げるのではなく、理解して、自分に合った生き方をする努力をするのが大切。
(「こころの病気」でなくても、大事だよね


************************自閉症、アスペルガー症候群

●広汎性発達障害(さまざまな機能領域に障害がある
興味や関心の偏りを持つことで知られる→脳の働きに偏りがあるため生じる
強いこだわりを持っていて、人に合わせるのが苦手。
こだりの本質は、意味を理解する力の弱さにある。
人の表情や気持ちの変化に気づかないため、ケンカをしてしまう。
→1つずつ指示を出す、イラストや写真を使って具体的に説明することをこころがける。

●特徴

「コミュニケーションの特性」
友だちの髪型などが変だと思うと、口に出してしまう。怒られても気づかず、悪気なく何度も言ってしまう。
例:友だちの服が変だ→伝えよう→いいことをした気分


×ガマンして黙っている
○それは悪口だからやめてと言う。怒っているよと言葉で伝える。

「想像力の特性」
言われたことを言葉どおりに考える。冗談や例え話を信じてしまう。
例:「暑くて死にそうだ」と友だちが言った→助けなきゃ大変だ!

×曖昧なことを言ったまま放っておく。
○言い方を変える。
例:またあとで→30分になったらね。
  それじゃダメ→ゴミはゴミ箱に入れてね

「社会性の特性」
場面や、周りに合わせた行動ができない。社会のきまりを守れない。
例:朝礼は朝ごはんの話だ→カレーを食べた話をしよう!

×他の人に合わせることを強制する。
○いっしょにやってみせて教える。
○覚えたつもりでも忘れることがあるので、ひと言声をかけてきまりを思い出してもらう。

「時間の感覚」
予定が変わったり、自由時間になると何をするべきか判断することが苦手。ゴールの見えない作業を嫌う。
例:今日はマラソンの授業だ→雨で中止になった→どうしたらいいんだろう?

×仮の予定を伝える。
○イラスト入りの予定表をつくって見せる。朝のうちに予定が変わったことを伝えると心の準備ができる。


「作業面の特性」
2つのことを同時にするのが苦手。自分が気になることに強く意識が向く。縄跳びができない。
例:先生の話を聞こう→なるほど・・・→あ、ノートを書くのを忘れた!

×置いてきぼりにして作業を進める。
○ノートの代わりにプリントを配る。

「身体感覚」
頭や背中に触られると激しく怒る。肩を叩かれて呼ばれたり、後ろから大声で話しかけられるのも苦手。
例:髪の毛を触られた→気持ち悪い。怖い!→絶対に許せない!

×面白がって何度もやる。
○ふつうの声で話しかければ問題ない。
 体育の授業などで触れることがあれば、事前にひと言伝えておくと、あまり嫌な思いをせずに参加できる。

「こだわり」
人と遊ぶより、ひとりを好む。毎日、同じ道順で帰るなど、独特の興味の偏りやこだわりがある。
例:水のしずくってフシギだな→水道をずっと見ていたい。


×「そんなのはつまらない」と否定する。
○無理に遊びに誘わない。

何度も誘われたり、注意されるとイライラして、自分の頭や体を叩くことがある。
そういう時は、保健室など落ち着ける場所に連れて行く。

「二次障害」
自信がなくなり、友だちができなくて、登校を嫌がる。
例:友だちと仲良くしたいがケンカしてしまう→嫌われて辛い→学校に行きたくない。

×悪口を言ったら無視する。
○みんな、自分にも欠点があることを思い出す。

やる気をなくしてしまうのは、周りのサポートが足りないからです。
よい面に目を向けて評価をすれば、状況は変わります。


●Q&A
Q:おとなしいだけじゃないの?
A:周りの子に興味を持てないのは、自閉症の特性の1つ。はたらきかけを止めないで、接していこう。

Q:進学できるの? 将来が心配。
A:自分の興味や特性に合った学校や進路を探し、夢や希望をもつことが大切。


「こだわり」は欠点ではなく、子どもの個性。大人のほうから寄り添うこと。


************************LD、ことばのおくれ、知的障害

【LD】
とくに学習面に問題が目立つ。読み書き、計算が極端に苦手な子には、より丁寧な教え方が必要。
LDの子は、国語と算数という、学校教育の中心になる教科を苦手とする。

●特徴

「デシスクレシア」
会話には問題がないが、読み書きの障害があること。
例:文章を音読できない。漢字、カタカナ、ひらがなが読めない。文章の意味が分からない。

×間違いをいちいち注意する
○苦手なだけで、上達しないわけではない。時間はかかっても練習すれば、少しずつうまくなる。


「書字障害」
書くことが極端に苦手 一部を間違って書いたり、字の形が歪んだりする→本人も強いストレスになっている。

×漢字が分からないのはバカだと言う。
○書くための時間をゆっくりとる。友だちと話して確かめながら書けば、長い文章も諦めずに書くことができる。

「計算障害」
簡単な計算ができない。cmとmの違いが理解できない。数自体がよく分からない。

×早く計算するよう求める。
○色のついたカード、絵などで数や量がひと目で分かるように書く。
 やり方を工夫して、時間制限をなくして、ゆっくり時間をかければできる。
(どこの学校も塾も、会社でもスピード狂のような雰囲気だもんなぁ


●Q&A
Q:頭が悪いのとどこがちがうの?
A:頭が悪いのではなく、がんばっても結果に結びつきにくい。それはみんなにも言えること。

Q:ほかの子の勉強も遅れるのでは?(こうゆうことになるよね、今の学校・PTAだと
A:勉強に遅れが出るかもしれないが、人のペースに合わせる、悩みに目を向けるという大切なことを学ぶ機会です。

Q:がんばって教えてもムダでは?
A:ほかの人と比べずに、本人の成長をゆっくり見守る姿勢がポイント。

Q:親の遺伝?
A:LDの原因は分からない。原因よりも、どう学べば伸びるか考えるのを優先させよう。


勉強不足ではなく、学び方がほかの子とちがう。学習障害は乗り越えられない壁ではない。
得意・苦手を、本人・周りも理解しよう。得意分野をどんどん伸ばして、苦手なことはサポートするのが理想。
欠点のない子に育てようと考えるのはやめてください。


【ことばのおくれ】
病気ではなく、言葉を覚えるのは人よりも遅いこと。赤ちゃんことばになってしまう。言い間違いが多い。
・脳の「話す力」のつくりがほかの子とちがっていて、発達していない。
「構音障害」で口のつくりがちがい、うまく発音できない。
例:話すのが苦手→間違えて笑われた→また間違えちゃった

×間違えるたび笑う。
○間違って覚えていることばを、「そうそう、○○だよね」と、否定せず正しい発音を教える。
間違った発音で覚えて「自分語」のように話す子もいる。頭ごなしに否定すると反発する。成長するにつれて直るので長い目で見る。

「言語発達障害」
言葉の発達は一人ひとりちがう。ことばの遅れが明らかで、なにかの障害があると考えられる場合のこと。
自閉症、知的障害等が関係している。
例:質問に答えよう→ことばが出てこない→自分ではどうすることもできない

×話が通じないと避ける。
○身ぶり手ぶりで理解しやすい方法でコミュニケーションをとる。答えやすい質問をする。

「選択性かんもく」
ことばの発達には問題がないのに、特定の場面でだけ喋れなくなってしまう。
発言を笑われたことがショックになっている等、こころの問題が隠れている場合がある。
例:お母さんと話すのは楽しい→先生は自分を分かってくれないからイヤだ→先生とは話したくない(無言でうなづく

×喋ることを無理強いする。
○悩み事を聞いてみる。つながりを持ち続ける。話したくなるまで待つ。
→親身に聞いてくれると分かれば、また話す喜びを感じて、少しずつ話せるようになります。


【知的障害】

「知的な能力」
勉強だけでなく、頭を使うことすべてに関わる。一生懸命学んだことをすぐに忘れてしまう。ことばで表現できない。
LDがあり、教わったことを頭で整理できない。
例:お腹が空いた→早く給食が食べたい→並んでいる列に横入りしてしまう

×「何度言っても分からない」と諦める。
○イラストや写真を使って説明する。何度も丁寧に教える。根気よく伝えることでだんだん分かってくる。

「適応能力」
周りを見たり、人の気持ちを想像するのが苦手。いつもマイペース。
例:図工の授業で説明中に早く始めたい→組み立ててみよう→周りは気にならない。

×ルールを守らないと言って、力ずくで止めさせる。
○みんなに合わせて行動することを強制しない。

みんなを怒らせようとして勝手なことをしているわけではなく、のびのびと行動しているだけ。
その子のペースを認めてあげる。表情を見て、作業に夢中になっている時は話しかけないほうがいい。


「通級教室、特別支援教室」
知的能力、ことばのおくれがある子に特別ていねいな教え方をすることで理解しやすくなる。
例:なぜボクだけちがう教室に行くんだろう→ボクだけダメなのかな?


×特別扱いしたり、よそよそしくする。なんでも区別する。
○なぜほかの教室に行くのか知ってほしい。みんなも協力する。

生活上のトラブルが減り、友だちともっと仲良くなれ、徐々に通う必要もなくなってゆく。
そのためには、先々のことも考えて、キチンと通うことが大切。


●Q&A
Q:養護学校のほうがいい?
A:通学先については、発達の様子、本人・家族の希望によって決める。
  通常学級で人との関わりを学びながら、特別支援教室などに通う子もいる。

Q:1人での行動は危険?
A:心配ではあるが、経験を積めば可能。本人の自主性を尊重することも大切。

Q:周りの子にどう説明する?
A:隠さずきちんと説明しましょう。理解して、協力してくれる友だちができれば成長の大きな助けになります。


能力に偏りがあるのは、悪いことではない。みんな得意・苦手はある。
ほかの子と比べると成長に遅れがあるが、諦めてはいけない。遅いだけで、できないわけじゃない。

一人ひとりをよく見て、その子の個性・長所を見つける。
よい面を生かすために必要なサポートはなにかと考えるのが、これからの障がい児教育です。



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