■知ってほしい! 子どもの「こころの病気」4 気になっちゃう(岩崎書店)
佐々木正美/監修
●知ってほしい! 子どもの「こころの病気」1「こころの病気」ってなんだろう?
●知ってほしい!子どもの「こころの病気」2 自閉症とLD 仲良くできない
●知ってほしい!子どもの「こころの病気」3 心身症 元気が出ない
私の抱えているパニック障害も登場。
派遣先のOさん、旧相方さんなども、こうしたココロの問題を抱えていたのかもしれないな、と思った。
特別に診断されなくても、身近な人でも、日常でよくあることでもある。
【内容抜粋メモ】
(前文)
神経症は、ココロの疲れです。体と同様、疲れやすい人と、そうでない人、
また、だれもがストレスを感じやすいことと、そうでないことがあります。
そして、ストレスを感じるのも人間関係、解消するのも人間関係。
ですから休息も必要ですが、ストレスをやわらげてくれるような人との関係を築くことが大切です。
しかし悲しいことに、家族同士の人間関係がストレスのもとになっていることも少なくありません。
************************社会不安障害
●特徴
人前で極端に緊張する。脳の中の不安や怖さを感じる部分が働きすぎている状態。
・面と向かって、自分の意見がいえない。会話が続かない。
・嫌われるのが怖い。
・人前に出ると赤面したり、手足が震える、ひどく汗をかくので避ける。
例1:私はエコを研究したい→みんなは嫌がるかもしれない→嫌われたくないから黙っていよう。
【対応例(以下同)】
×無口だと決めつける。
○周りからそのコの意見を聞く。まず、話しかける。意外な一面が分かるかもしれません。
「書けい」
人前で字を書こうとすると、手が震えてうまく書けない症状。
例2:みんなが私を見てる→ちゃんと喋らなきゃ→緊張で手も口もうまく動かせない。
×発表から外す。
○研究内容を指ししめす役をやってもらうなど、できることで協力してもらう。
頑張りを認める→少しずつレベルを上げるのがコツ。
************************不登校・ひきこもり
●特徴
「不登校」理由をとわず、半年以上学校に行かない状態
「ひきこもり」家から出られない状態。
・昼夜逆転した生活になる
・家庭内暴力をふるう場合もある。
・集団に、どうしても入り込めない感じがする。友だちに合わせるのが苦手。
・いじめがあったわけでもなく、欠席しつづける
・「自分だけ浮いている」と苦痛に感じている。
例:誰とも仲良くなれない→学校に行くのは気が重い→何日も休んだら、ますます行きにくくなった。
×学校での出来事を教えない。
○ときどき会う。自己中心的でも最初は大目に見る→徐々に注意して直してもらう。
「それはちょっと言いすぎかもしれないね」
************************パニック障害(出ました
●特徴
体に異常はないのに、息切れ、眩暈が起きる。その発作への不安で、行動範囲が狭くなる。
・乗り物に乗ると気持ちが悪くなる。
・人混みで倒れる。
・汗をかき、震えだす。
・吐き気を訴える。
例1:前にも電車で気分が悪くなった→また倒れたりしたらどうしよう→本当に気持ち悪くなってきた。
×大騒ぎする。
○乗り物から降りる。その場を離れて休む。しばらく一緒にいる。
症状が激しいのは、発作が始まって10分くらい。
ストレスが強くて、脳内の不安を感じる部分が強く働きすぎてしまう。
この発作で死ぬことはない。大体30分ほどでおさまる。
「予期不安」
発作への強い不安が頭から離れないこと。パニック障害の典型的な症状の1つ。
(これも、なかなか理解してもらえないんだよね/涙
・発作が起きた場所、状況を怖がる。
・話を聞くだけで不安になる(悲しいニュースとかね。みんなそうだろうけど、不安が強く続くんだ
・みんなにまた迷惑をかけると感じて緊張し、不安になる。
・いつ発作が起きるか分からないため、家から出るのも怖くてたまらない。
例2:バスに乗らなきゃいけない→また発作が起きるような気がする→行きたくない。
×「心配しすぎだ」と軽く考える(同じパニ障の母に言われたな、つい最近
○苦しんでいることを理解する。
パニック障害、その他の不安障害の人は、クスリで不安な気持ちをコントロールしている。
同時に、怖がらず行動できるよう、少しずつ練習もしている。「認知行動療法」
それを理解して、無理をさせないようにしてください。
************************分離不安
●特徴
母親など、いつも面倒をみてくれる人から離れるのが不安でたまらない状態。
・お母さんから片時も離れられない。
・「親が死んじゃうかもしれない」と心配でたまらない。
例:お母さんが出かけちゃう→帰ってこなかったらどうしよう→ついて行きたい。離れたくない。
×「弱虫だ」と言う。
○お母さんがいつ帰ってくるか伝える。いっしょに遊ぶ。
分離不安が強いと、不登校になることもある。焦って引き離そうとするのは逆効果。
たっぷり甘えられ、友だちと過ごすことで「親がいなくても楽しい」と思えるようになれば親離れできるようになる。
************************全般性不安障害
●特徴
原因不明の不安。集中力に欠け、頭痛、不眠などに悩まされる。
・落ち着きがない。
・いつもイライラしている
・世の中のあらゆる事件や問題が心配の種になる。
・心配ばかりして、結局何もしていないように見えるかもしれないが、不安が強くて身動きがとれない状態。
例:いろいろ心配でたまらない→自分でもなぜかよく分からない→そう思っているといろいろ失敗する。
×感情的に反発する。
○心配している内容よりも、苦しさに目を向ける。
ミスをした時に、友だちが手伝ってくれたりすると不安は少しやわらぐ。
ひどいようなら、“心配性”と片付けず、病院での治療を考える。
不安や恐怖は、危険から身を守るために備わった正常な感情。
経験を重ねれば、不安や恐怖は薄らぐが、経験をうまく受け入れられないまま、苦しくてたまらない状態が不安障害。
同じ経験をしても、平然と受け入れられるコと、不安を感じるコがいる。
病院でクスリを使って不安をやわらげたり、カウンセリングを受けたり、認知行動療法で物事の捉え方、行動の仕方を学ぶこともある。
周囲の協力があれば、悩みが解消していることもあるが、「しっかりしろ」と叱咤激励したりするのではなく、
子どものありのままの姿を愛してあげてください。それが安心感に結びつきます。
●Q&A
Q:気の持ちようでは?
A:強い不安や恐怖をどうすればよいか分からないからこそ苦しんでいます。大人が具体的な対応策を考えてあげましょう。
Q:育て方のせいでしょう?
A:そのコ自身の性質、家族やきょうだい、友だち関係、周囲の環境など、さまざまなものが影響しているので、ほかの要素も見直してみましょう。
Q:どうアドバイスしたらいい?
A:まず本人の不安な気持ちを受け止めて「大丈夫だよ」「一緒にがんばろう」と励ましてください。
************************強迫性障害
●特徴
手を洗う、鍵を閉めるなど、ひとつの行動に気を奪われ、それをしないと不安でたまらず、落ち着いて生活できない状態。
・何度も手を洗わないと、次の行動に移れない(亡叔父がそうだったらしい
・電柱を見ると、必ず周りを1回転する。
・ドアの鍵を閉めたか、何度も確認する
例:不安で眠れない→手を洗うと落ち着く→変なくせだからやめたいが、止められない。
×注意して止めさせようとする。
○緊張させない。ムリに止めず、自由にさせてあげる。
落ち着かない気持ちをしずめているので、ムリにやめさせると、不安でたまらず、もっと手を洗いたくなる。
よくないクセだと思い、隠れて手を洗うこともある。緊張させず、見て見ぬフリをしてあげる。
「強迫観念」自分の意思に反して、繰り返し頭に浮かぶこと。
「強迫行動」自分の意思に反して、繰り返してしまう行動。
・外出すると、自分は汚れたと思い込む。
・洗ってもバイキンが残っているのでは?と不安が湧き、2時間くらい洗わないと気が済まない。
・外出すると、車に轢かれそうな気がする→外出できなくなる。
・友だちを叩いてしまうような気がする。
例:体中バイキンだらけになったようだ→そう考えたくないけど、考えてしまう→早く帰って洗い流したい。
×「そんなことはない」と否定する。
○しきたり、こだわりを認める。
クスリを使って治療する場合がある。環境を変える、行動パターンを変えることでよくなることもある。
注意:「妄想」の場合は、「強迫観念」と違って、自分の考えを変だとは思っていない(後述
************************恐怖症
●特徴
特定のものを極端に怖がる症状。高所、閉所など。
「広場恐怖症」人混み、電車など、逃げられない場所を怖がる(パニ障とも関係あり
・エレベーター、高いところ、動物などを怖がる。
例:人が多いなあ→火事や地震が起きたら、すぐ逃げられない→人混みには行きたくない。
×ガマンさせて連れ回す。
○不安が薄れるまで待つ。「楽しいよ」と決めつけず、ムリそうなら休みながら、そのコの気持ちを聞く。
怖くて仕方ないという不安な気持ちを、まずはしっかり受け止めてあげましょう。
自分の気持ちを分かってくれる人がそばにいると思えば、不安も少しずつ減っていきます。
家族と近所に出てみる、次はもっと遠くに行ってみる、というように少しずつやってみる。「認知行動療法」
************************思春期妄想症
●特徴
自分の目つき、顔、ニオイが人を不快にさせていると思い込む症状。思春期に多い。
・ブスだから人に嫌われると思う。
・人が自分をジロジロ見ていると思う
・本当に怖いのは、友だちに嫌われること。
例:私の鼻の形はみっともない→みんなもそう思っているに違いない→人前に出るのが怖い。
×「考えすぎだよ」と悩みにとりあわない(そう言った覚えがあるな/謝
○「気にならないよ」「私はそうは思わないよ」と何度も伝える。ジロジロ見ない。内緒話をしない。
整形手術をしても、また他に気になるところが出てきます。
ありのままの自分を受け入れ、友だちと素直に付き合うことが大切。
Q:「ひきこもり」や「ニート」(通学、仕事もせず、ふらふらしていること)もココロの病気?
A:その背景には、ココロの病気が関係していることがある。不安障害もそのひとつ。
●回復には時間がかかることも多い
ひきこもりが長くなると、一気に回復することは期待できない。
ココロの病気が背景にあるなら、病院に行くことも考えて、焦らず、諦めず、長い目で見守る姿勢が大切。
************************うつ病
●特徴
感情を調節する「セロトニン」という脳内物質が少なくなる病気。
気分がふさいで、気力がなくなる。
苦手なことだけでなく、大好きな趣味にもヤル気を持てなくなる。気分障害のひとつ。
ココロが疲れてしまった人の病気。なにかしようとしても体が動かない状態が長く続く。
なにより大切なのは、頑張るのを止めて、ゆっくり休むこと。
休養しながら、ココロの疲れを招くストレスはないか考えていく。
人によっては、クスリを飲んで、脳のはたらきを調整する必要がある。
・何事にも興味が湧かない。
・いつも疲れて、集中力がない。
・帰宅するとすぐに寝てしまう。
×本人の責任だと放っておく。
○励ましすぎない。
●子どものうつ病
気分の変調に気づかず、体のさまざまな症状が出てから初めて気づく。
・食欲が湧かない。気持ち悪くて吐きそうな感じがする。
・なんとなく頭が痛い。
・便秘、下痢がつづく。
×プレッシャーをかける。
○そのコのペースに合わせる。食事の量を少なめにしたり、食べる時間をのばしたりする。不調が続くなら病院に行く。
真面目、几帳面、責任感が強い、そんな「いい子」ほど、心身がヘトヘトになり、うつになりやすい。
うつ病は、頑張れないからこそ苦しんでいる。むやみに励ますのは追い詰める。
自分の気持ちを安心して話せる相手が必要。じっくり話を聞くことを心がける。
カンペキを目指すのを止めて、いろんなやり方を試すのをすすめてみる。
************************そううつ病
●特徴
気分が良い時と、暗くふさぎこむ時が、交互に極端に現れる病気。
気分が安定しないために付き合いにくい。
・ある日は喋り続け、ある日は話しかけても聞いていない。
例:なにもかも楽しくて幸せ!→なにもかもうまくいかない、私はダメな子だ。
×「この前は、こう言った」と責める。「いいかげんにして!」と怒ると傷つけてしまう。
○「明日また考えよう」と、ひとまず保留する。そのコの気分に振り回されず、感情的にならないよう注意する。
************************うつ病の二次症状
●特徴
イライラ、無力感、自殺願望、ひきこもりなど、うつ病の影響で生活がうまくいかなくなる二次的な症状。
うつ病というと、気分が落ち込んで暗くなるというイメージがあるけれども、
同じ「うつ病」でも、イライラ感、焦り、体調不良を訴えるなど、人によって違う。
・人生に絶望してしまう。
・食べすぎ、眠り過ぎる、体を動かさない。
×「Aくんは変わった」と言って付き合いを止める。
○普段通りに接する。ゆっくり休ませることが必要。
「自殺願望」
自殺したいという気持ち。自分の体を傷つけることもある。
ココロが疲れきっている状態では、毎日生きていくだけでも大変で、この先の人生に希望が持てなくなる。
・「死にたい」と言って、周りを振り回す。
・自分の手や首をカッターなどで傷つける。「リストカット」
例:自分はなんてダメな人間なんだ→この先も良いことなど何もない→死んでしまいたい。
×言葉を本気にせず放っておく。
○話を真剣に聞く。どうしてそう思うか聞いてあげる。
助言をしようとせず、何が辛いのか、気持ちをじっくり聞くだけでも、冷静さを取り戻すことができる。
相談されたら、「Aくんがいないと悲しいよ」など、メール1通でもいいから返事をしてあげる。
励ますより、見守る姿勢で
子どものうつ病は、気分の変化ではなく、行動の変化や体の症状として現れる。
とくに小さな子どもは、憂鬱な状態を言葉で伝えるのは難しい。
口数が減る、登校を嫌がる、食事量が減る、イライラする、不眠に悩むなどの変化がサイン
普通の落ち込み
・じきに軽くなる。
・趣味で気が紛れる。
・キッカケがはっきりしている。
・自殺しようとは思わない。
うつ病かどうかは医師にしか分からないので、専門家に相談しましょう。
自殺願望は、リストカットなどの「自傷行為」にもつながる深刻な事態にもなりえるため、早めの対応が必要。
●Q&A
Q:気の持ちようでは?
A:脳のトラブルで、自分ではどうにもできないから病気なのです。
ただ、考え方を変えて、物事の捉え方を直すことが治療法のひとつにはなります。
Q:なぜ、こんな弱い子になったの?
A:「弱い子」と責めるのは的外れ。うつ病は、真面目に頑張りすぎてストレスを抱え込んだ時に引き起こされることが多い。
Q:ココロの病気の治し方は、大人と子どもとで違う?
A:子どもは不調になっても「ココロの病気」だと自覚することはほとんどないため、周りの協力が必要。
************************統合失調症
うつ病と同様、脳機能に異常が起きる病気。原因は、体質、ストレスなどさまざま。
大人では、100人に1人はかかる。けっして稀ではない。
●特徴
「幻聴」
本人にしか聞こえない物音や声が症状のひとつ。周囲にはウソのように感じられても、本人にとっては現実。
・何も言っていないのに「悪口を言った」と怒る
・独り言をよく言う。
・自分の考えが、周りに漏れていると言い出す。
・どうしても人を信じられず、人間関係がうまくいかない。
例:みんなが僕の悪口を言っている気がする→みんな僕が嫌いなんだ→「何も言っていない」と言うけど、だまされないぞ。
×「考え方がおかしい」とバカにする。
○話の内容はひとまずおいて、不安や疑いを理解してみる。「僕には分からないけど、それじゃ怖くてしょうがないね」
「妄想」
本人だけが本当のことだと思っている、現実離れした思いつき。
自分の世界が変わって不安になった理由を探しているうちに、こじつけの考え方をしてしまう。
例:周囲の世界が今までと違う気がする→変な声が聞こえる→そうか、僕は宇宙人だったんだ。だからみんなと話が合わないんだ。
(宇宙人説は、単純に否定はできないなぁ。未来になったら、現代のいろんな突飛な考えも科学的に証明できるかも
×いい加減に「そうだね」と、思い込みを強めることを言う。
○ひとまず話を聞く。肯定も否定もしなくてよい。
ストレス等で脳内物質の量が変わり、脳のはたらきが混乱している。治療は医師に任せる。
「意欲・関心の低下」
妄想、幻聴等の興奮状態の後に現れる症状。緊張が続いて、ココロがスタミナ切れの状態
・汚れた服を着たまま、フラフラしている。
・感情表現が減り、口数が少なくなり、家族、友人とも関わろうとしない。
・ぼんやりして、眠ってばかりいる。
例:変な声がしなくなってラクになった→今度は何もする気がしない→お風呂に入るのも面倒だ。早く寝たい。
×「勉強してるの?」などと焦らせる。注意はもちろん、心配されすぎるのも重荷。
○できる範囲でペースに合わせ、友だち付き合いしていく。会って話すのが難しいならメールでもよい。
「急性期」幻聴・妄想が目立つのは、発病直後の最初のうち。
「慢性期」疲れきって、無気力、無関心になり、よく眠る。
「生活への影響」まるで別人になったように見え、友だちが減ったり、不登校になったりする。
早く対処すれば、その後の回復もスムーズなことが多い。
とはいえ、完治までには、だいたい数年かかる。調子が良くなっても焦らない。体質はカンタンには変わりません。
●Q&A
Q:こういう子が事件を起こすのでは?
A:幻聴・妄想がひどい時は、自分を守ろうとして暴力をふるうことがありますが、
統合失調症だから事件を起こしやすいというのは、まったくの誤解です
Q:話が全然通じないの?
A:妄想にとらわれている時期は、通じない時もありますが、一時的で、知能が低下したわけではない。
Q:ウチの子もよくウソをつくのですが?
A:妄想とウソは違います。本人は心底信じて、不安を感じています。そうでなければ統合失調症の可能性は低いでしょう。
************************境界性パーソナリティ障害
●特徴
友だちに見捨てられるのではないかと不安を感じて、気分が激しく変わる病気。
「パーソナリティ」
クセ、自分らしさのこと。経験の積み重ねでできあがってゆく。
クセが極端で生活が辛くなる場合をパーソナリティ障害という。
高校生くらいにならないと、障害かどうか分からない。
・人を頼るか、嫌うか、極端な付き合い方をする。
・言うことがコロコロ変わる。
・日によって性格が違う。
・友だちの仲を引き裂こうとする。
・友だちが離れるのを怖がって、他の子の悪口を言って、気を引こうとする。
例:友だちに絶対見捨てられたくない→私を大切に思ってくれてるなら、いつでも相談に乗ってくれるはず→話を聞かないなんて裏切り者!
×そのコの言うことを信じて、他のコを疑う。
○何を言われても冷静に自分の考えを伝える。大切に思っていることを伝える。ほどよい距離で付き合うのがポイント。
************************自己愛性パーソナリティ障害
●特徴
理想の自分のイメージにとらわれて、周りとうまく付き合えない障害。小さな失敗を気にする。
・自分は特別だと思っている。一番になりたがる。
・失敗するとキレる
・人にバカにされないよう、すごく気にする。
・「自分は人とは違う」と、みんなを見下している。
・良い点をとっても、理想通りじゃないと落ち込む。
例:僕は特別に頭がいい→必死に勉強するなんてバカみたい→僕は勉強なんかしなくてもいい。
×おだてる。失敗した時に笑う。腹をたててケンカをする。
○良いところに目を向ける。
失敗を絶対許さない家族だったら、子どもも失敗を恐れるようになる。
考え方を変えるためには、家族もいっしょに変わる必要がある。
ありのままの自分を受け入れることが必要。
************************回避性パーソナリティ障害
●特徴
失敗を強く恐れて、行動したり、考えを言うのを避ける障害。
・失敗が怖くて何もしない。そんな自分が嫌い。
・自分で決められない。
・小さいミスでひどく落ち込む。
・バカにされると思い、いつもできるだけ目立たないようにしている。
・やりたいことがあっても、最初から諦めて、挑戦しない。
例:僕の考えなんてバカにされる→黙っていれば、恥をかかずに済む。
×代わりにあれこれ決めてしまう。発言をすぐに否定する。
○話したくなるまで待つ。何か発言したら、話をじっくり聞いて、受け止める。
親、先生、友だちの言う通りにすることに慣れているコは、自信がなく、こうした問題になりがち。
************************妄想性パーソナリティ障害
●特徴
人の発言、行動に裏があると疑い、警戒心が強く、人付き合いがうまくいかない障害。
・人をすぐに疑う。信用していない。騙そうとしている、利用しようとしていると感じる。
・恨みを抱きやすい。
・普通の会話を悪口と感じる。
例:なんで家に呼んだんだろう→部屋をみせびらかして、私をバカにしたいんだ→その手にはのらない!
×ヒソヒソ話はしない。説得や反論しようとすると、余計疑いを深めるおそれがある。
○約束を必ず守る。誤解をとく(それが一番難しいんだよね
本人は病気・問題があるとは思っていない
うつ病のような脳のはたらきの病気ではなく、あくまでも本人の感じ方の偏り。
本人も受け入れてもらえない淋しさ、何をやってもうまくいかない無力感に苦しんでいる。
まず本人と周囲が考え方を変える
周囲に受け入れてもらうことで、自信がもて、人を疑うのが減る。
●Q&A
Q:性格の問題では?
A:パーソナリティは、生まれ持った気質+成長する中での経験の両方でつくられる。
Q:人格障害って怖い病気でしょう?
A:パーソナリティ障害は、「人格障害」とも呼ばれていた。人間性の否定のように感じるが、そうではない
Q:こういう子が事件を起こすのでは?
A:違います。考えや行動に偏りがあるため、トラブルが多いのは事実ですが、
周囲がきちんと対応すれば、犯罪に結びつくようなことにはなりません。
【パーソナリティ障害のタイプ】
「妄想タイプ」思い込みが激しい。妄想性パーソナリティ障害など。
「演技タイプ」大げさな行動で人を戸惑わせる。境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害など。
「不安タイプ」不安が強すぎて、変わった考え方・行動をする。回避性パーソナリティ障害など。
佐々木正美/監修
●知ってほしい! 子どもの「こころの病気」1「こころの病気」ってなんだろう?
●知ってほしい!子どもの「こころの病気」2 自閉症とLD 仲良くできない
●知ってほしい!子どもの「こころの病気」3 心身症 元気が出ない
私の抱えているパニック障害も登場。
派遣先のOさん、旧相方さんなども、こうしたココロの問題を抱えていたのかもしれないな、と思った。
特別に診断されなくても、身近な人でも、日常でよくあることでもある。
【内容抜粋メモ】
(前文)
神経症は、ココロの疲れです。体と同様、疲れやすい人と、そうでない人、
また、だれもがストレスを感じやすいことと、そうでないことがあります。
そして、ストレスを感じるのも人間関係、解消するのも人間関係。
ですから休息も必要ですが、ストレスをやわらげてくれるような人との関係を築くことが大切です。
しかし悲しいことに、家族同士の人間関係がストレスのもとになっていることも少なくありません。
************************社会不安障害
●特徴
人前で極端に緊張する。脳の中の不安や怖さを感じる部分が働きすぎている状態。
・面と向かって、自分の意見がいえない。会話が続かない。
・嫌われるのが怖い。
・人前に出ると赤面したり、手足が震える、ひどく汗をかくので避ける。
例1:私はエコを研究したい→みんなは嫌がるかもしれない→嫌われたくないから黙っていよう。
【対応例(以下同)】
×無口だと決めつける。
○周りからそのコの意見を聞く。まず、話しかける。意外な一面が分かるかもしれません。
「書けい」
人前で字を書こうとすると、手が震えてうまく書けない症状。
例2:みんなが私を見てる→ちゃんと喋らなきゃ→緊張で手も口もうまく動かせない。
×発表から外す。
○研究内容を指ししめす役をやってもらうなど、できることで協力してもらう。
頑張りを認める→少しずつレベルを上げるのがコツ。
************************不登校・ひきこもり
●特徴
「不登校」理由をとわず、半年以上学校に行かない状態
「ひきこもり」家から出られない状態。
・昼夜逆転した生活になる
・家庭内暴力をふるう場合もある。
・集団に、どうしても入り込めない感じがする。友だちに合わせるのが苦手。
・いじめがあったわけでもなく、欠席しつづける
・「自分だけ浮いている」と苦痛に感じている。
例:誰とも仲良くなれない→学校に行くのは気が重い→何日も休んだら、ますます行きにくくなった。
×学校での出来事を教えない。
○ときどき会う。自己中心的でも最初は大目に見る→徐々に注意して直してもらう。
「それはちょっと言いすぎかもしれないね」
************************パニック障害(出ました
●特徴
体に異常はないのに、息切れ、眩暈が起きる。その発作への不安で、行動範囲が狭くなる。
・乗り物に乗ると気持ちが悪くなる。
・人混みで倒れる。
・汗をかき、震えだす。
・吐き気を訴える。
例1:前にも電車で気分が悪くなった→また倒れたりしたらどうしよう→本当に気持ち悪くなってきた。
×大騒ぎする。
○乗り物から降りる。その場を離れて休む。しばらく一緒にいる。
症状が激しいのは、発作が始まって10分くらい。
ストレスが強くて、脳内の不安を感じる部分が強く働きすぎてしまう。
この発作で死ぬことはない。大体30分ほどでおさまる。
「予期不安」
発作への強い不安が頭から離れないこと。パニック障害の典型的な症状の1つ。
(これも、なかなか理解してもらえないんだよね/涙
・発作が起きた場所、状況を怖がる。
・話を聞くだけで不安になる(悲しいニュースとかね。みんなそうだろうけど、不安が強く続くんだ
・みんなにまた迷惑をかけると感じて緊張し、不安になる。
・いつ発作が起きるか分からないため、家から出るのも怖くてたまらない。
例2:バスに乗らなきゃいけない→また発作が起きるような気がする→行きたくない。
×「心配しすぎだ」と軽く考える(同じパニ障の母に言われたな、つい最近
○苦しんでいることを理解する。
パニック障害、その他の不安障害の人は、クスリで不安な気持ちをコントロールしている。
同時に、怖がらず行動できるよう、少しずつ練習もしている。「認知行動療法」
それを理解して、無理をさせないようにしてください。
************************分離不安
●特徴
母親など、いつも面倒をみてくれる人から離れるのが不安でたまらない状態。
・お母さんから片時も離れられない。
・「親が死んじゃうかもしれない」と心配でたまらない。
例:お母さんが出かけちゃう→帰ってこなかったらどうしよう→ついて行きたい。離れたくない。
×「弱虫だ」と言う。
○お母さんがいつ帰ってくるか伝える。いっしょに遊ぶ。
分離不安が強いと、不登校になることもある。焦って引き離そうとするのは逆効果。
たっぷり甘えられ、友だちと過ごすことで「親がいなくても楽しい」と思えるようになれば親離れできるようになる。
************************全般性不安障害
●特徴
原因不明の不安。集中力に欠け、頭痛、不眠などに悩まされる。
・落ち着きがない。
・いつもイライラしている
・世の中のあらゆる事件や問題が心配の種になる。
・心配ばかりして、結局何もしていないように見えるかもしれないが、不安が強くて身動きがとれない状態。
例:いろいろ心配でたまらない→自分でもなぜかよく分からない→そう思っているといろいろ失敗する。
×感情的に反発する。
○心配している内容よりも、苦しさに目を向ける。
ミスをした時に、友だちが手伝ってくれたりすると不安は少しやわらぐ。
ひどいようなら、“心配性”と片付けず、病院での治療を考える。
不安や恐怖は、危険から身を守るために備わった正常な感情。
経験を重ねれば、不安や恐怖は薄らぐが、経験をうまく受け入れられないまま、苦しくてたまらない状態が不安障害。
同じ経験をしても、平然と受け入れられるコと、不安を感じるコがいる。
病院でクスリを使って不安をやわらげたり、カウンセリングを受けたり、認知行動療法で物事の捉え方、行動の仕方を学ぶこともある。
周囲の協力があれば、悩みが解消していることもあるが、「しっかりしろ」と叱咤激励したりするのではなく、
子どものありのままの姿を愛してあげてください。それが安心感に結びつきます。
●Q&A
Q:気の持ちようでは?
A:強い不安や恐怖をどうすればよいか分からないからこそ苦しんでいます。大人が具体的な対応策を考えてあげましょう。
Q:育て方のせいでしょう?
A:そのコ自身の性質、家族やきょうだい、友だち関係、周囲の環境など、さまざまなものが影響しているので、ほかの要素も見直してみましょう。
Q:どうアドバイスしたらいい?
A:まず本人の不安な気持ちを受け止めて「大丈夫だよ」「一緒にがんばろう」と励ましてください。
************************強迫性障害
●特徴
手を洗う、鍵を閉めるなど、ひとつの行動に気を奪われ、それをしないと不安でたまらず、落ち着いて生活できない状態。
・何度も手を洗わないと、次の行動に移れない(亡叔父がそうだったらしい
・電柱を見ると、必ず周りを1回転する。
・ドアの鍵を閉めたか、何度も確認する
例:不安で眠れない→手を洗うと落ち着く→変なくせだからやめたいが、止められない。
×注意して止めさせようとする。
○緊張させない。ムリに止めず、自由にさせてあげる。
落ち着かない気持ちをしずめているので、ムリにやめさせると、不安でたまらず、もっと手を洗いたくなる。
よくないクセだと思い、隠れて手を洗うこともある。緊張させず、見て見ぬフリをしてあげる。
「強迫観念」自分の意思に反して、繰り返し頭に浮かぶこと。
「強迫行動」自分の意思に反して、繰り返してしまう行動。
・外出すると、自分は汚れたと思い込む。
・洗ってもバイキンが残っているのでは?と不安が湧き、2時間くらい洗わないと気が済まない。
・外出すると、車に轢かれそうな気がする→外出できなくなる。
・友だちを叩いてしまうような気がする。
例:体中バイキンだらけになったようだ→そう考えたくないけど、考えてしまう→早く帰って洗い流したい。
×「そんなことはない」と否定する。
○しきたり、こだわりを認める。
クスリを使って治療する場合がある。環境を変える、行動パターンを変えることでよくなることもある。
注意:「妄想」の場合は、「強迫観念」と違って、自分の考えを変だとは思っていない(後述
************************恐怖症
●特徴
特定のものを極端に怖がる症状。高所、閉所など。
「広場恐怖症」人混み、電車など、逃げられない場所を怖がる(パニ障とも関係あり
・エレベーター、高いところ、動物などを怖がる。
例:人が多いなあ→火事や地震が起きたら、すぐ逃げられない→人混みには行きたくない。
×ガマンさせて連れ回す。
○不安が薄れるまで待つ。「楽しいよ」と決めつけず、ムリそうなら休みながら、そのコの気持ちを聞く。
怖くて仕方ないという不安な気持ちを、まずはしっかり受け止めてあげましょう。
自分の気持ちを分かってくれる人がそばにいると思えば、不安も少しずつ減っていきます。
家族と近所に出てみる、次はもっと遠くに行ってみる、というように少しずつやってみる。「認知行動療法」
************************思春期妄想症
●特徴
自分の目つき、顔、ニオイが人を不快にさせていると思い込む症状。思春期に多い。
・ブスだから人に嫌われると思う。
・人が自分をジロジロ見ていると思う
・本当に怖いのは、友だちに嫌われること。
例:私の鼻の形はみっともない→みんなもそう思っているに違いない→人前に出るのが怖い。
×「考えすぎだよ」と悩みにとりあわない(そう言った覚えがあるな/謝
○「気にならないよ」「私はそうは思わないよ」と何度も伝える。ジロジロ見ない。内緒話をしない。
整形手術をしても、また他に気になるところが出てきます。
ありのままの自分を受け入れ、友だちと素直に付き合うことが大切。
Q:「ひきこもり」や「ニート」(通学、仕事もせず、ふらふらしていること)もココロの病気?
A:その背景には、ココロの病気が関係していることがある。不安障害もそのひとつ。
●回復には時間がかかることも多い
ひきこもりが長くなると、一気に回復することは期待できない。
ココロの病気が背景にあるなら、病院に行くことも考えて、焦らず、諦めず、長い目で見守る姿勢が大切。
************************うつ病
●特徴
感情を調節する「セロトニン」という脳内物質が少なくなる病気。
気分がふさいで、気力がなくなる。
苦手なことだけでなく、大好きな趣味にもヤル気を持てなくなる。気分障害のひとつ。
ココロが疲れてしまった人の病気。なにかしようとしても体が動かない状態が長く続く。
なにより大切なのは、頑張るのを止めて、ゆっくり休むこと。
休養しながら、ココロの疲れを招くストレスはないか考えていく。
人によっては、クスリを飲んで、脳のはたらきを調整する必要がある。
・何事にも興味が湧かない。
・いつも疲れて、集中力がない。
・帰宅するとすぐに寝てしまう。
×本人の責任だと放っておく。
○励ましすぎない。
●子どものうつ病
気分の変調に気づかず、体のさまざまな症状が出てから初めて気づく。
・食欲が湧かない。気持ち悪くて吐きそうな感じがする。
・なんとなく頭が痛い。
・便秘、下痢がつづく。
×プレッシャーをかける。
○そのコのペースに合わせる。食事の量を少なめにしたり、食べる時間をのばしたりする。不調が続くなら病院に行く。
真面目、几帳面、責任感が強い、そんな「いい子」ほど、心身がヘトヘトになり、うつになりやすい。
うつ病は、頑張れないからこそ苦しんでいる。むやみに励ますのは追い詰める。
自分の気持ちを安心して話せる相手が必要。じっくり話を聞くことを心がける。
カンペキを目指すのを止めて、いろんなやり方を試すのをすすめてみる。
************************そううつ病
●特徴
気分が良い時と、暗くふさぎこむ時が、交互に極端に現れる病気。
気分が安定しないために付き合いにくい。
・ある日は喋り続け、ある日は話しかけても聞いていない。
例:なにもかも楽しくて幸せ!→なにもかもうまくいかない、私はダメな子だ。
×「この前は、こう言った」と責める。「いいかげんにして!」と怒ると傷つけてしまう。
○「明日また考えよう」と、ひとまず保留する。そのコの気分に振り回されず、感情的にならないよう注意する。
************************うつ病の二次症状
●特徴
イライラ、無力感、自殺願望、ひきこもりなど、うつ病の影響で生活がうまくいかなくなる二次的な症状。
うつ病というと、気分が落ち込んで暗くなるというイメージがあるけれども、
同じ「うつ病」でも、イライラ感、焦り、体調不良を訴えるなど、人によって違う。
・人生に絶望してしまう。
・食べすぎ、眠り過ぎる、体を動かさない。
×「Aくんは変わった」と言って付き合いを止める。
○普段通りに接する。ゆっくり休ませることが必要。
「自殺願望」
自殺したいという気持ち。自分の体を傷つけることもある。
ココロが疲れきっている状態では、毎日生きていくだけでも大変で、この先の人生に希望が持てなくなる。
・「死にたい」と言って、周りを振り回す。
・自分の手や首をカッターなどで傷つける。「リストカット」
例:自分はなんてダメな人間なんだ→この先も良いことなど何もない→死んでしまいたい。
×言葉を本気にせず放っておく。
○話を真剣に聞く。どうしてそう思うか聞いてあげる。
助言をしようとせず、何が辛いのか、気持ちをじっくり聞くだけでも、冷静さを取り戻すことができる。
相談されたら、「Aくんがいないと悲しいよ」など、メール1通でもいいから返事をしてあげる。
励ますより、見守る姿勢で
子どものうつ病は、気分の変化ではなく、行動の変化や体の症状として現れる。
とくに小さな子どもは、憂鬱な状態を言葉で伝えるのは難しい。
口数が減る、登校を嫌がる、食事量が減る、イライラする、不眠に悩むなどの変化がサイン
普通の落ち込み
・じきに軽くなる。
・趣味で気が紛れる。
・キッカケがはっきりしている。
・自殺しようとは思わない。
うつ病かどうかは医師にしか分からないので、専門家に相談しましょう。
自殺願望は、リストカットなどの「自傷行為」にもつながる深刻な事態にもなりえるため、早めの対応が必要。
●Q&A
Q:気の持ちようでは?
A:脳のトラブルで、自分ではどうにもできないから病気なのです。
ただ、考え方を変えて、物事の捉え方を直すことが治療法のひとつにはなります。
Q:なぜ、こんな弱い子になったの?
A:「弱い子」と責めるのは的外れ。うつ病は、真面目に頑張りすぎてストレスを抱え込んだ時に引き起こされることが多い。
Q:ココロの病気の治し方は、大人と子どもとで違う?
A:子どもは不調になっても「ココロの病気」だと自覚することはほとんどないため、周りの協力が必要。
************************統合失調症
うつ病と同様、脳機能に異常が起きる病気。原因は、体質、ストレスなどさまざま。
大人では、100人に1人はかかる。けっして稀ではない。
●特徴
「幻聴」
本人にしか聞こえない物音や声が症状のひとつ。周囲にはウソのように感じられても、本人にとっては現実。
・何も言っていないのに「悪口を言った」と怒る
・独り言をよく言う。
・自分の考えが、周りに漏れていると言い出す。
・どうしても人を信じられず、人間関係がうまくいかない。
例:みんなが僕の悪口を言っている気がする→みんな僕が嫌いなんだ→「何も言っていない」と言うけど、だまされないぞ。
×「考え方がおかしい」とバカにする。
○話の内容はひとまずおいて、不安や疑いを理解してみる。「僕には分からないけど、それじゃ怖くてしょうがないね」
「妄想」
本人だけが本当のことだと思っている、現実離れした思いつき。
自分の世界が変わって不安になった理由を探しているうちに、こじつけの考え方をしてしまう。
例:周囲の世界が今までと違う気がする→変な声が聞こえる→そうか、僕は宇宙人だったんだ。だからみんなと話が合わないんだ。
(宇宙人説は、単純に否定はできないなぁ。未来になったら、現代のいろんな突飛な考えも科学的に証明できるかも
×いい加減に「そうだね」と、思い込みを強めることを言う。
○ひとまず話を聞く。肯定も否定もしなくてよい。
ストレス等で脳内物質の量が変わり、脳のはたらきが混乱している。治療は医師に任せる。
「意欲・関心の低下」
妄想、幻聴等の興奮状態の後に現れる症状。緊張が続いて、ココロがスタミナ切れの状態
・汚れた服を着たまま、フラフラしている。
・感情表現が減り、口数が少なくなり、家族、友人とも関わろうとしない。
・ぼんやりして、眠ってばかりいる。
例:変な声がしなくなってラクになった→今度は何もする気がしない→お風呂に入るのも面倒だ。早く寝たい。
×「勉強してるの?」などと焦らせる。注意はもちろん、心配されすぎるのも重荷。
○できる範囲でペースに合わせ、友だち付き合いしていく。会って話すのが難しいならメールでもよい。
「急性期」幻聴・妄想が目立つのは、発病直後の最初のうち。
「慢性期」疲れきって、無気力、無関心になり、よく眠る。
「生活への影響」まるで別人になったように見え、友だちが減ったり、不登校になったりする。
早く対処すれば、その後の回復もスムーズなことが多い。
とはいえ、完治までには、だいたい数年かかる。調子が良くなっても焦らない。体質はカンタンには変わりません。
●Q&A
Q:こういう子が事件を起こすのでは?
A:幻聴・妄想がひどい時は、自分を守ろうとして暴力をふるうことがありますが、
統合失調症だから事件を起こしやすいというのは、まったくの誤解です
Q:話が全然通じないの?
A:妄想にとらわれている時期は、通じない時もありますが、一時的で、知能が低下したわけではない。
Q:ウチの子もよくウソをつくのですが?
A:妄想とウソは違います。本人は心底信じて、不安を感じています。そうでなければ統合失調症の可能性は低いでしょう。
************************境界性パーソナリティ障害
●特徴
友だちに見捨てられるのではないかと不安を感じて、気分が激しく変わる病気。
「パーソナリティ」
クセ、自分らしさのこと。経験の積み重ねでできあがってゆく。
クセが極端で生活が辛くなる場合をパーソナリティ障害という。
高校生くらいにならないと、障害かどうか分からない。
・人を頼るか、嫌うか、極端な付き合い方をする。
・言うことがコロコロ変わる。
・日によって性格が違う。
・友だちの仲を引き裂こうとする。
・友だちが離れるのを怖がって、他の子の悪口を言って、気を引こうとする。
例:友だちに絶対見捨てられたくない→私を大切に思ってくれてるなら、いつでも相談に乗ってくれるはず→話を聞かないなんて裏切り者!
×そのコの言うことを信じて、他のコを疑う。
○何を言われても冷静に自分の考えを伝える。大切に思っていることを伝える。ほどよい距離で付き合うのがポイント。
************************自己愛性パーソナリティ障害
●特徴
理想の自分のイメージにとらわれて、周りとうまく付き合えない障害。小さな失敗を気にする。
・自分は特別だと思っている。一番になりたがる。
・失敗するとキレる
・人にバカにされないよう、すごく気にする。
・「自分は人とは違う」と、みんなを見下している。
・良い点をとっても、理想通りじゃないと落ち込む。
例:僕は特別に頭がいい→必死に勉強するなんてバカみたい→僕は勉強なんかしなくてもいい。
×おだてる。失敗した時に笑う。腹をたててケンカをする。
○良いところに目を向ける。
失敗を絶対許さない家族だったら、子どもも失敗を恐れるようになる。
考え方を変えるためには、家族もいっしょに変わる必要がある。
ありのままの自分を受け入れることが必要。
************************回避性パーソナリティ障害
●特徴
失敗を強く恐れて、行動したり、考えを言うのを避ける障害。
・失敗が怖くて何もしない。そんな自分が嫌い。
・自分で決められない。
・小さいミスでひどく落ち込む。
・バカにされると思い、いつもできるだけ目立たないようにしている。
・やりたいことがあっても、最初から諦めて、挑戦しない。
例:僕の考えなんてバカにされる→黙っていれば、恥をかかずに済む。
×代わりにあれこれ決めてしまう。発言をすぐに否定する。
○話したくなるまで待つ。何か発言したら、話をじっくり聞いて、受け止める。
親、先生、友だちの言う通りにすることに慣れているコは、自信がなく、こうした問題になりがち。
************************妄想性パーソナリティ障害
●特徴
人の発言、行動に裏があると疑い、警戒心が強く、人付き合いがうまくいかない障害。
・人をすぐに疑う。信用していない。騙そうとしている、利用しようとしていると感じる。
・恨みを抱きやすい。
・普通の会話を悪口と感じる。
例:なんで家に呼んだんだろう→部屋をみせびらかして、私をバカにしたいんだ→その手にはのらない!
×ヒソヒソ話はしない。説得や反論しようとすると、余計疑いを深めるおそれがある。
○約束を必ず守る。誤解をとく(それが一番難しいんだよね
本人は病気・問題があるとは思っていない
うつ病のような脳のはたらきの病気ではなく、あくまでも本人の感じ方の偏り。
本人も受け入れてもらえない淋しさ、何をやってもうまくいかない無力感に苦しんでいる。
まず本人と周囲が考え方を変える
周囲に受け入れてもらうことで、自信がもて、人を疑うのが減る。
●Q&A
Q:性格の問題では?
A:パーソナリティは、生まれ持った気質+成長する中での経験の両方でつくられる。
Q:人格障害って怖い病気でしょう?
A:パーソナリティ障害は、「人格障害」とも呼ばれていた。人間性の否定のように感じるが、そうではない
Q:こういう子が事件を起こすのでは?
A:違います。考えや行動に偏りがあるため、トラブルが多いのは事実ですが、
周囲がきちんと対応すれば、犯罪に結びつくようなことにはなりません。
【パーソナリティ障害のタイプ】
「妄想タイプ」思い込みが激しい。妄想性パーソナリティ障害など。
「演技タイプ」大げさな行動で人を戸惑わせる。境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害など。
「不安タイプ」不安が強すぎて、変わった考え方・行動をする。回避性パーソナリティ障害など。