■地球ものがたり『インカの村に生きる』(ほるぷ出版)
関野吉晴/著
ヒトが豊かに生きる知恵とは?
著者は「グレートジャーニー」で世界中を旅した探検家・関野吉晴氏(見たことないけど
南米の旅を重ねる中で、医療の必要性を感じて医学部に入学、外科医として勤務しながら旅を続けた。
約5万3000kmを10年かけて自らの脚力、腕力だけで踏破した/驚
オフィはこちら。
豊かで単調な生活を送る私たちは、世界には実に様々な生活があるということをつい忘れてしまう。
そもそも何が幸せか?
私は、科学が正しく使われた未来が理想郷(自然と完璧に共存した)だと思っているけれども、それぞれの理想郷も違うんだ。
【内容抜粋メモ】
ヒトも動物です。言葉や、文化を作り、文明を生みました。
しかし、どの動物より愚かでもあります。
生み出した文明が、地球を壊しはじめています。
ヒトは、どんな厳しい環境でも「住みやすいところ」にしてしまったのです。
地球を壊さずに、ともに生き延びるためには、どんな生き方があるのでしょう。
マチュピチュ(父母がここまで行ったって、改めてすげえなあ! 高山病で眠れなかったらしい
この遺跡を作った「インカ帝国」は、素晴らしい織物や土器のほか、
ジャガイモ、カボチャ、トマトなども、ここから世界に広まりました。
****************************ケロ村〜野ウサギしか住まない荒地
ケロ村は、インカ帝国時代から今まで、ほぼ変わらぬ自給自足の暮らしをしてきました。
村は、富士山より高い、標高4300mのところにあります。
村には約100家族、500人が、6つに分かれて住んでいる。
深い谷間に架けられた、ワラで作った吊り橋は、2年に1度かけかえられる/怖×5000
・3000mの高度差を使って、3つに分かれて住む
●山の上:薪にする木が育たないため、石の家。家畜を飼う。アルパカ、リャマは高地の気候が合っている。
家畜の世話に手間がかかるため、人々はおもに高地に暮らしている。
アルパカ、リャマはおとなしいので、子どもたちが世話を任される。
家畜の糞は乾燥させて肥やしに使う。燃料としても貴重。
●中間:近くに木がある。ジャガイモを作る。
●山の下:木で作った家。トウモロコシを作る。
屋根ふき:材料は、どこにでも生えているイネの仲間の雑草。
****************************食べ物
・ジャガイモはアンデスで生まれた
アンデスのジャガイモの種類はとても多く、ケロ村だけで80種もあり、色、大きさ、味も違う。
村には、共同畑・各家族の畑がある。収穫時には「大地の神・パチャママ」に祈り、感謝する。
寒暖の差を利用してブヨブヨになったイモを踏んで水分を抜くと保存食の主食となる。
岩塩で味付けしたしたスープは、とろみがあってほんのり塩味。
・★x
運ぶのに軽くするため、畑に実らせたまま乾燥させる。
リャマは弱いので、疲れて座り込む。そんな時は、ヒトが背負う。
トウモロコシは神さまに捧げるお酒「チーチャ」にして、儀式に飲む。
****************************子どもは大切な働き手
親の仕事を手伝いながら、生きる知恵・技術を身につける。
子ブタを追う仕事をする2歳のファナチャ/5〜6歳になるとアルパカの世話をする
石を投げる道具「オンダ」を振り回して300頭のアルパカを追う7歳のイラリオ。
イラリオの夢は「トラックの運転手になること」。でも、クルマを一度も見たことがない。
貴重な燃料になる枯れ草を家に運ぶ/6〜7歳になると馬を扱えるようになる
サッカーは人気の遊び
****************************習慣・信仰
・髪を切る儀式
生まれてから一度も髪を切ったり、洗ったりせず、神さまに元気に育つよう祈ってから切る古い習慣がある。
切った髪はお札でくるむ。切り終わると新しい帽子をかぶせる。
・結婚
みんな村の中で相手を見つける。親を亡くした子どもは祖父母や親戚が引き取って育てる。
歳をとってからのことを心配するお年寄りはいない。
畑、家畜の仕事以外は、母は布を織るか、糸を紡いでいる
・11月1日の「全霊祭」
天にいる先祖の霊が帰ってくる、日本のお盆に似ている。
「山の神・アプ」と「大地の神・パチャママ」に祈る。
リャマにもチーチャを飲ませる繁殖儀礼(なんだか若干、無理矢理感が・・・
儀式には、必ずお酒とコカが出て、祈りながら歌い、楽器を奏でる。
アルパカの毛は、町から来た商人に売り、岩塩などを買う
・6月上旬の「巡礼祭」
インカ帝国時代は、太陽、月、大地、山などの自然が神さまだったが、
今では、キリスト教と自然の神さまの両方を信仰している。
標高4800mにある礼拝堂に、3万人以上が集まる/驚
進行役&警官役のウククと呼ばれる人々が、重い十字架を氷河の上まで担いで歩く。
この役目は一生に一度あるかないかの名誉ある役割。
十字架は、4日間氷河の上に立てられる。
十字架を下げるため、巡礼の最後は、30kmを寝ないで歩く。
氷河からより大きな氷の固まりを運んだほうが幸運がくると言われる。
****************************ともに生きる知恵
「アイユー」
インカ時代以前からある協同作業の習慣。餅つき、田植え、稲刈り、葬式、道の整備など。
日本にも「結い」という助け合いの習慣があった。
先進国では、機械で仕事をすることが増え、助け合うことが少なくなった。
大きな石を運ぶ時、足(!)やテコを使う/リャマが通る橋は村の男全員が協力する
大事なことを決めるのは男たち。休む時はいつもコカの葉を噛む(それで大事なことを決めて大丈夫かな
村人は自給自足。外から入手しなければならないのは、鉄のナイフ、農具、灯油ランプの燃料、岩塩など。
最近は、ラジオ、懐中電灯を欲しがる人も増え、外に出て働く人も増えた。
私たちの国では、科学で自然をコントロールしようとしてうまくいっていません。
ケロの人々は自然とともに生き延びてきました。
私たちも、自然の有り難さに感謝して生き抜いていきたいものです。
****************************「解説」抜粋メモ
ほとんどの古代文明では、貴族は贅沢をし、庶民は貧しい生活をしていたが、
インカ帝国では、みんな等しく、生活レベルは、他の文明よりずっと高いものだった。
収穫期には、「牧畜民」が山から下りてきて、収穫した野菜をリャマの背に乗せて家まで運ぶ。
農民は運ぶ手間が省け、牧畜民は10袋運ぶと農作物を1袋もらえる(こうゆう交換がいいよねv お金じゃなくて
家畜は大切な財産なので、めったに殺さないが、祭りの時は、肉をスープに入れる(食事のシンプルさもイイ
学校
教師はクスコから来る。小学校の1年生のみで終わり。アルファベットの読み書きを覚える間に1年が過ぎてしまう。
(教育の場が少なくて、子どもの労働はちょっと複雑な思いがする。たとえ誇りをもって働いているとしても。
ケロ村の子どもたちは、みんな親と同じ生活をするから、「大きくなったら何になりたい?」という質問に答えられないとう。
【ブログ内関連記事】
・『児童労働 働かされる子どもたち』(リブリオ出版)
関野吉晴/著
ヒトが豊かに生きる知恵とは?
著者は「グレートジャーニー」で世界中を旅した探検家・関野吉晴氏(見たことないけど
南米の旅を重ねる中で、医療の必要性を感じて医学部に入学、外科医として勤務しながら旅を続けた。
約5万3000kmを10年かけて自らの脚力、腕力だけで踏破した/驚
オフィはこちら。
豊かで単調な生活を送る私たちは、世界には実に様々な生活があるということをつい忘れてしまう。
そもそも何が幸せか?
私は、科学が正しく使われた未来が理想郷(自然と完璧に共存した)だと思っているけれども、それぞれの理想郷も違うんだ。
【内容抜粋メモ】
ヒトも動物です。言葉や、文化を作り、文明を生みました。
しかし、どの動物より愚かでもあります。
生み出した文明が、地球を壊しはじめています。
ヒトは、どんな厳しい環境でも「住みやすいところ」にしてしまったのです。
地球を壊さずに、ともに生き延びるためには、どんな生き方があるのでしょう。
マチュピチュ(父母がここまで行ったって、改めてすげえなあ! 高山病で眠れなかったらしい
この遺跡を作った「インカ帝国」は、素晴らしい織物や土器のほか、
ジャガイモ、カボチャ、トマトなども、ここから世界に広まりました。
****************************ケロ村〜野ウサギしか住まない荒地
ケロ村は、インカ帝国時代から今まで、ほぼ変わらぬ自給自足の暮らしをしてきました。
村は、富士山より高い、標高4300mのところにあります。
村には約100家族、500人が、6つに分かれて住んでいる。
深い谷間に架けられた、ワラで作った吊り橋は、2年に1度かけかえられる/怖×5000
・3000mの高度差を使って、3つに分かれて住む
●山の上:薪にする木が育たないため、石の家。家畜を飼う。アルパカ、リャマは高地の気候が合っている。
家畜の世話に手間がかかるため、人々はおもに高地に暮らしている。
アルパカ、リャマはおとなしいので、子どもたちが世話を任される。
家畜の糞は乾燥させて肥やしに使う。燃料としても貴重。
●中間:近くに木がある。ジャガイモを作る。
●山の下:木で作った家。トウモロコシを作る。
屋根ふき:材料は、どこにでも生えているイネの仲間の雑草。
****************************食べ物
・ジャガイモはアンデスで生まれた
アンデスのジャガイモの種類はとても多く、ケロ村だけで80種もあり、色、大きさ、味も違う。
村には、共同畑・各家族の畑がある。収穫時には「大地の神・パチャママ」に祈り、感謝する。
寒暖の差を利用してブヨブヨになったイモを踏んで水分を抜くと保存食の主食となる。
岩塩で味付けしたしたスープは、とろみがあってほんのり塩味。
・★x
運ぶのに軽くするため、畑に実らせたまま乾燥させる。
リャマは弱いので、疲れて座り込む。そんな時は、ヒトが背負う。
トウモロコシは神さまに捧げるお酒「チーチャ」にして、儀式に飲む。
****************************子どもは大切な働き手
親の仕事を手伝いながら、生きる知恵・技術を身につける。
子ブタを追う仕事をする2歳のファナチャ/5〜6歳になるとアルパカの世話をする
石を投げる道具「オンダ」を振り回して300頭のアルパカを追う7歳のイラリオ。
イラリオの夢は「トラックの運転手になること」。でも、クルマを一度も見たことがない。
貴重な燃料になる枯れ草を家に運ぶ/6〜7歳になると馬を扱えるようになる
サッカーは人気の遊び
****************************習慣・信仰
・髪を切る儀式
生まれてから一度も髪を切ったり、洗ったりせず、神さまに元気に育つよう祈ってから切る古い習慣がある。
切った髪はお札でくるむ。切り終わると新しい帽子をかぶせる。
・結婚
みんな村の中で相手を見つける。親を亡くした子どもは祖父母や親戚が引き取って育てる。
歳をとってからのことを心配するお年寄りはいない。
畑、家畜の仕事以外は、母は布を織るか、糸を紡いでいる
・11月1日の「全霊祭」
天にいる先祖の霊が帰ってくる、日本のお盆に似ている。
「山の神・アプ」と「大地の神・パチャママ」に祈る。
リャマにもチーチャを飲ませる繁殖儀礼(なんだか若干、無理矢理感が・・・
儀式には、必ずお酒とコカが出て、祈りながら歌い、楽器を奏でる。
アルパカの毛は、町から来た商人に売り、岩塩などを買う
・6月上旬の「巡礼祭」
インカ帝国時代は、太陽、月、大地、山などの自然が神さまだったが、
今では、キリスト教と自然の神さまの両方を信仰している。
標高4800mにある礼拝堂に、3万人以上が集まる/驚
進行役&警官役のウククと呼ばれる人々が、重い十字架を氷河の上まで担いで歩く。
この役目は一生に一度あるかないかの名誉ある役割。
十字架は、4日間氷河の上に立てられる。
十字架を下げるため、巡礼の最後は、30kmを寝ないで歩く。
氷河からより大きな氷の固まりを運んだほうが幸運がくると言われる。
****************************ともに生きる知恵
「アイユー」
インカ時代以前からある協同作業の習慣。餅つき、田植え、稲刈り、葬式、道の整備など。
日本にも「結い」という助け合いの習慣があった。
先進国では、機械で仕事をすることが増え、助け合うことが少なくなった。
大きな石を運ぶ時、足(!)やテコを使う/リャマが通る橋は村の男全員が協力する
大事なことを決めるのは男たち。休む時はいつもコカの葉を噛む(それで大事なことを決めて大丈夫かな
村人は自給自足。外から入手しなければならないのは、鉄のナイフ、農具、灯油ランプの燃料、岩塩など。
最近は、ラジオ、懐中電灯を欲しがる人も増え、外に出て働く人も増えた。
私たちの国では、科学で自然をコントロールしようとしてうまくいっていません。
ケロの人々は自然とともに生き延びてきました。
私たちも、自然の有り難さに感謝して生き抜いていきたいものです。
****************************「解説」抜粋メモ
ほとんどの古代文明では、貴族は贅沢をし、庶民は貧しい生活をしていたが、
インカ帝国では、みんな等しく、生活レベルは、他の文明よりずっと高いものだった。
収穫期には、「牧畜民」が山から下りてきて、収穫した野菜をリャマの背に乗せて家まで運ぶ。
農民は運ぶ手間が省け、牧畜民は10袋運ぶと農作物を1袋もらえる(こうゆう交換がいいよねv お金じゃなくて
家畜は大切な財産なので、めったに殺さないが、祭りの時は、肉をスープに入れる(食事のシンプルさもイイ
学校
教師はクスコから来る。小学校の1年生のみで終わり。アルファベットの読み書きを覚える間に1年が過ぎてしまう。
(教育の場が少なくて、子どもの労働はちょっと複雑な思いがする。たとえ誇りをもって働いているとしても。
ケロ村の子どもたちは、みんな親と同じ生活をするから、「大きくなったら何になりたい?」という質問に答えられないとう。
【ブログ内関連記事】
・『児童労働 働かされる子どもたち』(リブリオ出版)