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Channel: メランコリア
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「心の中のベストフィルム〜『愛人 ラ・マン』(1992)」

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『愛人 ラ・マン』(1992)
原作:マルグリット・デュラス 監督:ジャン=ジャック・アノー ナレーション:ジャンヌ・モロー
出演:ジェーン・マーチ、レオン・カーフェイ ほか

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感想メモは「notes and movies」カテゴリーからの抜粋です。


 

純粋にボーイ・ミーツ・ガールのシンプルな素材なのに、
インドシナというエスニックな舞台、32歳の中国人男性と17歳のフランス人の少女という
差別的関係、貧富の差の激しい男女の組み合わせ、
そしてなにより、原作者がその少女自身であるというセンセーショナルさ。

「わたしは18歳で老けてしまった」

というセリフの宣伝文句に、もっとエロティックなものを想像していたけれども、
かなり直接的な性描写なのに、なぜかとても自然で真実味のあるドラマを
当時、その場で透明人間となって傍観しているような感じがしていた。

著者によく似た、新人ジェーン・マーチの体当たり的演技も新鮮だが、
あらゆる難関を乗り越えて、深い愛を教えたショロン役にカーフェイを起用したのはとてもイイ。
“働かず、愛だけに生きる男”なんて興味深い。

作者はこの黄色い大地と、黄色く流れる川のある町で起きた家族とのことや、
別れてしまった愛人の話を未練たっぷりに話しているというより、
むしろ、私たちそれぞれの“人を愛する形の多様さ”を問いているのではないだろうか?
でも、実際の物語りはもっとずっとドラマティックだったろうな。

この時のカーフェイにヤラれて、主演作を漁った記憶がある。


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