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難病の子どもを知る本5 『ぜんそく・アトピーの子どもたち』(大月書店)

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難病の子どもを知る本5 『ぜんそく・アトピーの子どもたち』(大月書店)
山城雄一郎、茂木俊彦/監修 稲沢潤子/文 田村 孝+オノビン/絵 難病のこども支援全国ネットワーク/編

「難病の子どもを知る本」シリーズ全8冊中の第5巻。
アトピーの人は、これまで職場にも何人かいたけれども、ぜんそくの人はテレビや映画でしか見たことがない。
同じアレルギー体質を持つ者として、名前はよく聞くけど、どうゆう病気なのか知りたくなって借りてみた。

【ブログ内関連記事】
イラスト版 健康ライブラリー『子どものアレルギーのすべてがわかる本』(講談社)
本書とかぶる内容は、若干メモをはぶいてみた。


【内容抜粋メモ】

アレルギー性の病気でよく知られているのは「気管支ぜんそく」。
患者数は、1960〜1990年代までに約5倍に増加した。
アトピー性皮膚炎も増え、小中学生の40%はアレルギー性の病気があると言われる。

その他、「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」「アレルギー性胃腸炎」など。

 
子どもの頃から、皮膚の乾燥、疲れやすさが目立つのが気になる
それに「背中ぐにゃ」って何だろう?怖→here

アレルギー性の原因は、親から受け継いだ体質。でも、必ず症状が出るわけではない(兄は違うもんなぁ・・・
増えた原因は、運動の少なさ、周りが清潔になりすぎたこと、アレルゲンが増加した環境が考えられる。


**************************アレルギーの原因としくみ

●住環境
昔の日本家屋は、風通しの良い「木造建築」だったが、最近は、コンクリート、アルミサッシ、カーテン、絨毯が多い。
壁紙やベニヤ板の接着剤には、刺激の強い化学物質が含まれる
エアコン、絨毯は、チリ、ダニ、カビ発生の原因にもなる。

●食生活の変化
和食に代わって、卵、牛乳等、アレルゲンになりやすい食べ物が増え、
インスタント食品等に食品添加物が使用されるのも原因と考えられる。

●しくみ
アレルギーの語源は、ギリシア語の「アロス エルゴン」=変わったはたらき。
その後の研究で、「免疫反応」によるものと分かった。

「免疫反応」
外からの異物に対する武器(抗体)を作って戦う抗体は異物を記憶し再度入った時に備える。
アレルギー体質の人は、「IgE抗体」を必要以上につくり、ヒスタミン等をたくさん出して症状を起こす。

 

 




**************************食物アレルギー

食べてすぐならアレルゲンが何か予測できるが、1日以上経ってから出ることもあり、検査法も複雑になる。

5大アレルゲン
3大アレルゲンの卵・牛乳・大豆+米、小麦(本によって若干違う???
例:牛乳の場合、アイスクリーム、パン、クリームコロッケなどが食べられない。

そば、えび、ピーナッツは、成人してからも続く場合がある。
食物アレルギーの子の一部は、やがて「気管支ぜんそく」になる場合もある


**************************検査法

最初の検査は血液検査
1.血液中の抗体を調べる。
2.アレルギー体質と分かれば、アレルゲンを調べる。

主なものは「CAP RAST法(血液検査)」と「皮膚テスト」

「CAP RAST法(血液検査)」

「皮膚テスト(スクラッチ法)」
針で皮膚にひっかき傷をつけ、アレルゲンの液を垂らす。1度で10〜20種類のアレルゲンが調べられる。

「皮膚テスト(皮内注射)」
薄めたアレルゲン液を少量、皮内注射する。1度で5〜10種類のアレルゲンが調べられる。

「パッチテスト」


**************************アトピー性皮膚炎



 
アトピー性皮膚炎が出やすい場所(年齢別)

●治療法:塗り薬&清潔にすること
髪がおでこや首にかからないことも重要。


**************************ぜんそくのしくみ

ぜんそくとは、呼吸する時に気管支がゼーゼーして(喘鳴)、呼吸が困難になる病気。


呼吸のメカニズム

気管支をとりまく「平滑筋」の内側は、湿ったやわらかい膜で、
入ってくる空気の温度調節、適当に湿り気を与えたり、
ホコリや細菌をとらえて、痰として取り除くはたらきがある。

ぜんそくの発作は、平滑筋が痙攣して縮むため、気管支をしめつけ、気道が狭くなり、ヒューヒュー音がする。
酷くなると、粘膜が腫れ、ベトベトした痰が出て、言葉もひと言いうのがやっとという状態になる。
息を吸うより、吐く時のほうが苦しく、肺に空気がたまってとても辛い。


ぜんそくを起こすアレルゲン
ダニ、ホコリ、犬や猫の毛、タバコの煙、花粉、低気圧や気温の変化、風邪、睡眠不足や疲れなど。

「チリダニ」
ヒトの肌は刺さない。布地の厚いカーテン、絨毯、布団、枕、マットレス等に集まる。
1週間に1回は干して、掃除機をかけると、かなり退治できる。


再発

一度治ってから20〜30年ほどたって再発した人は15〜20%いる。
きっかけは、改善したから、掃除や布団の手入れをせず、ダニが増える生活をしたり、喫煙、不規則な生活、ペットを飼うなど。


治療
発作の時:早く対処する。ガマンせず、すぐ休む 冷たい水を飲んで、腹式呼吸をする。


**************************予防

予防薬
「気管支拡張剤」が中心。飲み薬、吸入薬など。重い時は、薬を静脈注射、点滴。

「スペーサー」吸入器のいろいろ。薬を霧のようにして、直接気管支に送る。


「インヘラー」押すと霧が出て、吸うスプレー式もある。
便利だからといって使い過ぎると、心臓等に副作用が出ることがある。

軽い発作だと油断していると、平滑筋が戻らず、気道が狭くなることも分かってきた。
予防薬をうまく使うことで、最近は重症のケースが少なくなった。

「ピークフローメーター」で毎日測って、日記に記録するのも有効


皮膚を丈夫にする
・厚着をしない
・乾布摩擦 など

スポーツ
重症の人に水泳は最適。

腹式呼吸の練習をする。


**************************入院しながら学ぶ子どもたち

横浜市アレルギーセンター
ほとんどが重症のぜんそく患者。校舎は、カーテンや絨毯をなくした広々とした建物。

 
少人数で丁寧に教えてもらえる/病室

水泳は有効とされているので、6月からほぼ毎日、屋上プールで泳ぐ
授業が終わると、センターの自分の部屋に帰る。2〜4人部屋。
バスケット、サッカーなど運動クラブもあり、運動療法に参加している。

土曜日は、もといた学校に登校する子もいるし、自宅に帰る子もいる。
ぜんそくの辛さを理解してもらえず、寂しい思いをしてきた子どもたちは、この学校の温かさをかけがえのないものに思っている。


**************************先生に知ってほしいこと

発作がない時は元気な子と同じ
ぜんそくは、ほとんど夜から明け方におき、次第におさまるので、睡眠不足になりがち
「運動誘発ぜんそく」は、激しい運動をした直後から10分くらいで発作が出る。重症患者、コントロールされてない人に起きがちな発作。

その他、
掃除中はマスクをする
動物の飼育係は避ける
日帰りの遠足、修学旅行も医師と相談して参加する など

本人は頑張りたくて、つい皆と同じようにやっていまいがちだが、クラスの皆に説明して、理解してもらうことが大切。
校外学習も制限されることはあるが、一緒に行ってこそ楽しい思い出になる。


**************************友だちに知ってほしいこと

病気も辛いが、いちばん辛いのは、アレルギーの病気のことを友達に理解してもらえないこと。
保健室で休むと「怠けている」と言われたり、掃除を休むと「さぼってる」と言われて、
ついムリをして発作を大きくする人もたくさんいる。

「湿疹が感染る」と言って、手をつないでもらえなかったり、仲間はずれにされるのは辛いこと。
アレルギーは、体質なので、うつることは絶対にない。



食物アレルギーの子に、食べられないものを鼻先につきつけられてからかわれた悲しい経験を持つ子もたくさんいる。
「可哀相」と思われて、誕生パーティに誘われず、寂しい思いをした子もいる。
もし誘ってくれたら、食べられるものを持って参加することもできる。

社会に出れば、性格も、育った環境も違う、さまざまな人に出会うのだから、
学校生活の時も、一人ひとりの違いが分かる友人関係でありたいもの。


**************************体験談

●拓実くん
 

アレルギー症状が現れたのは2歳の頃。アトピーと診断された。
3歳の時、風邪をひいて、ぜんそくにもなった。

食事は卵、油、肉、大豆、牛乳が禁止され、血液検査をするたび増えて、お米もダメに
主食はヒエ、アワ、キビ(究極の健康食なんだね)、それも食べられなくなり、カボチャとイモだけの食事になった。

全身が掻き傷だらけで、普通のお風呂ではしみて入れない。
プールくらいの低温にして、1ミリずつ入っても、体中を針で刺される痛みが走り、毎晩泣き叫ぶ声が響いた。

小学校3年生の時、横浜市アレルギーセンターに1年間入院してから改善。
高校生の今は何でも食べられるが、ぜんそくの注意は怠らない。

苦しい夜を過ごすたび「自分はどうしてこんなに苦しむのだろう」と思い、
病気の辛さが分かる人になるための試練かもしれないと考え、医学部への進学を目標に頑張っている。


●ひとみちゃん
 

2歳半くらいでぜんそくを発症。週に1度は発作を起こし、月1回は入院していた。
酷い発作で窒息死しそうになったこともある。

高校卒業後から少しずつ改善し、短大に入学、就職して6年半働いた後、結婚。
妊娠中は、医師と相談して薬の処方をしてもらったが、妊娠中のほうが体調がよかった。
今は、2人目の赤ちゃんがお腹にいる。
(なぜ、男子はキャリアで、女子は結婚話なんだろうね・・・


●美希子さん
1歳の時にぜんそくを発症。小学生の頃、咳き込む私のそばにいると、風邪が感染るのではと思って、友だちがそばに寄ってこなくなった。
学級会でグループ分けをする時も「私も入れて」と頼んでも、どこにも入れてもらえず寂しい思いをした。
いつも一人ぼっちだったような気がした。
その苦しさを親に話したくても、いつも迷惑をかけているという思いがあったため、何も相談できなかった。

喘鳴がして保健室で休み、授業に戻ると「仮病だ」と思われたこともよくあった。

振り返ってみると、ぜんそくの子には何かしら精神的な圧迫があるような気がする。
親には申し訳ないという気持ち、感謝の気持ちはあるが、自分の意思が言えなくなってしまう。

中学では、主治医のすすめもあり、吹奏楽部に入ってクラリネットを始めた。
腹式呼吸なので、練習の甲斐あって、肺活量も上がった。

高校では自分の体調に合わせて体育もでき、たくさんの友だちに恵まれて、毎日が充実している。


3泊4日のぜんそく児キャンプ@神奈川県立こども医療センター主催
キャンプには40人近い小学生、医師、看護婦、栄養士、養護学校の先生、医学生、看護学生、ボランティアを含めると100人近くが参加する。
楽しく遊び、体を鍛え、ぜんそくの勉強をするのが目標。

毎日の海水浴、野外でカレーを作ったり、肝試し、最後の夜は煙の出ないキャンドルファイアーで最高に盛り上がる。

 
キャンドルファイアー/みんなで薬の吸入

普段、「どうして自分だけが病気なんだろう」と思っている子どもたちも、
ここでたくさんの友だちに出会って、経験談を聞いて勇気づけられる。
こうした活動は、地域の保健所、大きな病院でも行われている。


**************************ぜんそくを乗り越えて活躍する人たち

●清水宏保さん


1998年、長野の冬季オリンピック、スピードスケートで、日本のスケート界始まって以来の金メダルを獲得
子どもの時からぜんそくで、スピードスケートを始めたのは3歳。体質改善が目的だった。
「止めてしまえば、ぜんそくでいるよりほかない。続けていくことで体質が変わるんだ」と思い、辛い練習を続けた。

大学の体育学科に進学し、だんだん発作が起きる前は「来そうだな」と分かるようになり、予防薬を飲んで練習した。


●福嶋晃子さん(プロゴルファー)


アレルギー体質で、ぜんそく、「寒冷じんましん」に悩んだ。
ゴルフは小学校4年の時から始めた。毎日決まった分量の練習をムリせず、途中で休みながら続けた。
試合中に発作が出ることもあるため、バッグに吸入器を入れて備えている。


世界中には、バスケットボール、水泳、陸上、マラソンなど、激しいスポーツでのオリンピック金メダリストが何人もいる。
ぜんそく治療計画が、これらの人々を金メダルに導いた。


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