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ドラマ『震える牛』(2013)

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ドラマ『震える牛』(2013)
原作:相場英雄 監督:鈴木浩介、権野元
出演:三上博史、吹石一恵、小林薫、平山浩行、木村文乃、温水洋一、遠藤要、
田中幸太朗、白石美帆、竜雷太、羽場裕一、小野寺昭、佐野史郎、古田新太 ほか

 

好きな俳優の一人、小林薫さんが出演する社会派ドラマってことで観てみた。
テーマは「食品偽装問題」、そしてチェーン店の薄利多売、大手スーパーの拡大・進出の裏で消えてゆく商店街と地域の人々。
これはさすがにコメディ要素などまったくいれずに終始ストイックに描いている。
重いテーマの内容のあとに、サラ・ブライトマンの美しく荘厳な歌声がさらに際立って聴こえた


【内容抜粋メモ(ネタバレ注意)】



●第1話
警視庁捜査一課継続捜査班・田川信一は“殺人事件の時効廃止”による継続捜査をしている。
「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」で殺された2人、獣医師・赤間+暴力団員・西野には接点が見当たらず、
「金目当ての不良外国人」が犯人とされていたが、杜撰な捜査の背景には、同時期に起きた政治家が襲われた事件があり、
その恩恵で現在の矢島理事官の地位がある。矢島は田川に対して捜査妨害する。

食品偽装を追う記者・鶴田のもとに、食品加工業者・元ミートボックス社員の小松から「内部告発」メールが届く
ミートボックス社長・八田は、「老廃牛(乳が出なくなった牛)」のほか、馬肉、ウサギ、食品用ネズミ
その他、大量の添加物を加えて、文字通り「水増し」して「牛肉100%」として売っているという衝撃の情報を提供/怖×5000



「食品衛生法上は、最終的に商品を加工した日が“製造日”。
 だから1年前に作って冷凍したとしても、解凍した日が“製造日”と言える」ってホント

巨大スーパー「OXマート」社長・柏木友久は、仕事熱心だった長女に跡を継がせるつもりが交通事故で急死してしまったため、
映画監督を目指していた長男・信友に跡を任せることにして、現在、信友は本部長となっているが経営は下向き。
実質、経営を支えているのは企画部長・滝沢。

イギリスでは、かつて日本を震撼させた「BSE」で再び死者が出ていた。


●第2話
滝沢はこれ以上危ない橋は渡れないと八田に「ミートボックスとは契約を打ち切る」と伝える。
そもそも、3年前に長野に進出する際、地元の反対にあい、八田が脅迫まがいなことをしたのが縁だった。

鶴田は、小松の証言をもとにOXマートでミートボックスの肉を買って検査してもらうと、
さまざまな肉のDNAが混入。中には「腐りかけの肉」も入っているという
しかし、それだけでは物証に欠けるため「原料投入簿」が必要。内部協力者を探す。

田川は、それぞれの関係者の接点を探し続け、赤間の婚約者だった女性教師を訪ねる。
同時に、事件当夜、目撃されたベンツが信友のものであると、恋人で女優の村上からも証言をとる。
すると、畜産農家の増渕という男で全員がつながった。柏木は彼の仕入れ担当で、赤間も担当医だった。



滝沢のもとに八田が来て、「西野は自分が信友に紹介した暴力団員だ。お世話になってる滝沢さんのためだった」と恩を着せて脅す。
新太さん怖すぎる・・・

「大手スーパーが地方を荒らして、儲からなくなるとすぐ撤退。そのせいで商店街は潰れ、町の人々は困るんだ」


●第3話
西野が会う約束をしていたのは、信友だった。西野は家畜を主に扱う「産廃業者」。
ワケありの牛は「化製場」に持ち込み、ペットフードなどになる(それも問題では?
獣医の赤間は、増渕の牧場でBSEに気づき、信友がオーナーをやっている焼肉店まで「肉を見せろ」と押しかけた。
増渕は、信友の恋人・村上の祖父だった。
(いろいろと捜査で分かっても、物的証拠がなければ出頭はさせられないんだね

小松は、協力者を連れてくるが
「家族を守りたい。この歳じゃ会社を辞めたら他に働き口が見つからない」と個人の理由で協力を断られる。
小松は不法侵入して、「原料投入簿」を持ち出すことに成功するが、八田に気づかれて拉致される。

私なら外で車で待って、すぐに連れてかくまうだろうな。
自分と自分の家族は愛していても、他の家族はどうでもいいってゆう愛はほんとうの愛とは言えない。

食品の生産・加工・流通などの仕組みがどんどん消費者から見えなくなっている昨今。
大量生産・大量消費の狭間には、いろんなお金がからんで、思わぬ歪みになっている可能性は大きいのでは。


●第4話
滝沢に詰め寄られ、とうとう事情を話す信友。
自分が生肉業界でやっていける基礎を教えてくれた増渕さんの牛からBSEが出たと知り、
八田がよこした西野から「OXマートで破棄する牛を処分させてくれ」と言われて依頼したところ脅迫された。
赤間からは「データを公表する」と言われていたため、2人を呼び出して殺した。
滝沢は「会社を潰す気ですか!?」と信友の自首を止め、やむなく八田との来年度契約を更新する。

田川は、改めてBSEについて調べる。
発端は「肉骨粉」を飼料に使ったこと。「肉骨粉」の中に脳細胞が混ざっていたことで発症した問題だった。
だが今はほぼ収束した。2001年「肉骨粉」は禁止され、2009年の1頭以外もう市場に出回っていない(みんな殺しちゃったの?
今では31ヶ月以内の子牛はすべて「全頭検査」するため、危険性はない(では、なぜ漏れた?
田川は赤間の盗まれた2台のPCにすべてのデータが入っているのだろうと推測する。

社長自らの「牛の解体ショー」って。肉業界は生々しすぎる・・・
その時、ナイフが「逆手持ち」だと気づく。軍隊でなくても、生肉業界では通常の持ち方と分かる。
西野の捨てた牛の骨のDNA鑑定があれば動かぬ物証となる。
廃棄されたのは採石場の跡地(そんなところに、いろんなモノが捨てられているんだ
物証が揃うタイミングで任意逮捕に踏み切ろうとして、シンガポールに研修と偽って高飛びしようとしたところを押さえる。

しかし、これまで協力してくれた宮田課長から「痴情のもつれにしろ」と命令される。
「ここでまたBSEとなれば、マスコミが押し寄せ、関係のない畜産農家まで“風評被害”をこうむる」と言うが、
実は、滝沢と通じていたのは課長だった(なんか怪しかったんだよね、佐野さん

矢島が恐れる「防犯協会」とは?
警察内部でも足を引っ張り合い、マスコミが乗り出すことで余計に被害が広まる、、、なんだかうまくいかない世の中だねぇ。


●第5話
滝沢と宮田課長は20年来の付き合いだった。長野店を出す時に暴力団とモメて、宮田がとりなしてから。
滝沢は増渕の自供も止める。「信友さんの行為をムダにするつもりですか」(良心に訴えて、事実を歪めるってわけか

滝沢は“内部監査”によって知った食品偽装を公表すると、八田に契約打ち切りを伝えると、
八田は「盗聴していた内容を公表する」と逆に脅してきた(そんなに長期間、盗聴できる機械があるのか?
それにしても、八田はよく自分の狂ったレシピで作ったハンバーグの試食なんて出来るな

信友の送致が早まり、今度は逆に矢島を説得する田川。矢島は「強制捜査」命令を出す。
(組織のシステムに逆らえなくても、組織を構成している“個人”のココロに訴えることは可能だ
DNA鑑定結果は、組織の劣化が酷くてデータは取れなかった。

田川の娘の恋人で滝沢の部下・加藤から「強制捜査の情報は、前日にもう漏れています」と伝えられる田川。
社員には事実を伏せて「在庫撤去」を命じた滝沢を泣き落としにかかる。

田川「大手スーパーが出来て、商店街が潰れるのは、時代の流れだからしょうがないと父に言ってきたけれども、
   本当にしょうがないのでしょうか?」
滝沢「商売は自由競争という名の殺し合いですよ。我々は生き残っていかなきゃならない」
田川「誰のために生き残るんですか? 今となっては肝心のお客が取り残されている」
(相手と腹を割ってじっくり話し合うことは、いつでもココロを動かすものなんだな

翌日の強制捜査でなかなか証拠が掴めずにいると、滝沢が鍵を渡す。
「私のしてきたことは、社長をずっと裏切ってきたんですね」
(強制捜査って時間制限があるのかな?

「一体いつからだろう。経済が一人歩きして、消費者が忘れ去られていったのは?
 大きな商業施設にいって豊かなつもりでいた。
 でもそれによってヒトとヒトとの触れ合いが薄れているのではないか?」

ヒトとヒトのつながりか。
事件が明るみになっても「OXマートは辞めない」と言った娘の決心もスゴイな。

「安くて、美味い」の影にどんなシステムがあるのか。
大量消費社会を鋭く切り取った素晴らしい作品だった。



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