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妖怪って?人間って? 水木しげるが残したもの@週刊ニュース深読み(2015.12.12)

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妖怪って?人間って? 水木しげるが残したもの@週刊ニュース深読み(2015.12.12)

またやってしまった。。。
毎週、予録している番組だけど、微妙な時間帯から見始めたら、
見ている間も録画してくれていると思いきや、同時にはしてくれないの?!
後で見返そうと思ったら、最初の3分間だけだった
デジタル、、、くぅううう。。。

で、またオンデマンドで見た。

「作家別」カテゴリー参照




亡くなってから、特番をやってくれないかとずっと思っていた。
『ゲゲゲの女房』あたりから、朝ドラを頻繁に見るようになったかも。

今回は、スタジオ内が墓場のようなセットで、おどろおどろしい小野文惠アナの紹介で始まったw
追悼番組なのに、ほんわかして、笑いがおきてしまうのは、水木サンの人徳だなあ!

水木サンとともに海外を旅した大泉実成さん(ノンフィクションライター)は、冒頭から涙、涙。


 
「自由な気持ちになれるんじゃないんですか。妖怪とつきあっていれば」


水木サンが生涯描いた妖怪は約2000種類!
世界各地の伝説や言い伝えから描いたもの、創作したものも含めて。


生涯~「目に見えないモノ」
 

大正11年鳥取県境港生まれ。
家にお手伝いに来ていた“のんのんばあ”のおかげで「目に見えないモノ」について興味を持ち始め、
動物の骨を集めたり、お墓で遊んだりしていた。

妖怪その1:おとろし

少年時代、近所のお社の中に何もないのになぜ拝んだりするのかと聞くと、
「そんなことを言うと、おとろしが出るぞ」と言って「目に見えないモノ」の存在を教えたのんのんばあ。

 


一生つきまとった戦争体験
 

昭和19年、22歳で徴兵されて、激戦区パプアニューギニアに行く。
仲間は全員戦死し、ジャングルを彷徨っていると、それ以上先に行けない、なにか目に見えない壁にぶつかった。
翌朝、見てみると、その先は断崖絶壁。「目に見えないモノ」に命を救われた体験だった=「ぬりかべ」




戦後、好きだった絵の仕事で生きると決める


紙芝居から始めて、『少年マガジン』に「墓場の鬼太郎」が掲載された。
スタジオに持って来たのは、昭和34年発行。
「天才バカボン」や「巨人の星」なども一緒に連載されている貴重な資料!(当時60円


昭和43年(当時46歳)、テレビアニメ化されて妖怪が大ブームに!



水木サンが一番好きなキャラクターは「ねずみ男」


お金に汚く、すぐ裏切るが、ストーリー中では重要な役割。
「日本人の8割はねずみ男だ」とも語っていた。
欲得でもってきた仕事が、正義の味方・鬼太郎によって解決される、プロダクション的な存在、媒介者。マネージャー。


キャラクターは時代に合っていた
妖怪その2:土ころび

かつてはヒトだったが、森で工業排水ばかり飲んでいたら妖怪になってしまってヒトを襲うようになった(ゴジラみたい

妖怪その3:めんこ天狗

子どもをめんこにしてしまう。理由は、子どもにゆとりを与えるため。すでに“詰め込み教育”を風刺していた

 


仕事が激増した「バブル期」
「夜が電気で明るくなりすぎて、妖怪の住む場所が減ってしまった。妖怪が住む場を探したい」


海外に妖怪探しの旅へ
自然、先住民の文化が残っている場所ばかり100ケ所以上訪ねた。
そこで聞いた話から生まれた妖怪も多い。



妖怪その4:チャネケ(とんでもない所に連れていかれ、身ぐるみ剥がされてしまう
妖怪その5:ムリームリー(アボリジニーの伝説から。カンガルーの袋に棲んでいる?!


[FAX]



風刺作家だった水木サン
「自分は妖怪世界の広告マンだ」と語っていた。
死後も存在すると考えることで、この世もあの世も(!)幸せになると考えた。

他にも妖怪マンガはあるけれども、身近にいること、存在の理由がとくにないのが特徴(w

妖怪その6:小豆はかり

「なぜ小豆なんか蒔くの?」と聞かれると「オレにも分からん。そう決まっているんだ」と答えるw

因果から解放されている存在として描かれている。
「自分は妖怪に絵を描かされている」と言っていた。


これほど受け入れられた理由~日本の“やおろずの神”
日本人は、「天災は神の怒りだ」と言ったり、「やおろずの神」がいたりという土壌があり、
それに水木サンの世界がうまくマッチングした。


異常に緻密に描かれた背景画
 

何気ないシーンでも、キャラクターより背景のほうがもの凄い緻密に描かれている。
これほど背景を緻密に描く漫画家は希少。
水木プロダクションは分業制で、背景の点々をずっと描いていて、ノイローゼになったアシスタントもいるそう

高度経済成長で「近代化」「西洋化」がよしとされていた時代に、敢えて「原風景」にこだわっていた。
現代になって、その日本人が忘れかけた原風景がまた求められている。


その後、何度も繰り返しやってくる妖怪ブーム
これだけリバイバルされるマンガも珍しい。
「私自身は全然変わっていない。好きなことをしているだけだが、ブームが勝手にやってくる」


体制、システムが大嫌い
小学校も1年落第した水木サンは、世の中のエリート志向などについていけず、
偏差値や、一番を目指したりする生活ができなかった。

戦争で片腕をなくし、マラリアで生死を彷徨った体験から、宗教などとは別に、死後の世界に興味を持った。
死後も安心して暮らしたいという思いを活力に描いていたのでは?
「死んだらどうなるんだろう?」という思いが常にあった。


息苦しい今の世界
今は、災難的なトラブルもすべて「自己責任」「努力が足りない」として問われる時代。
妖怪の世界には「自己責任」などない。

スリランカに、ある登校拒否の女の子がいて、悪魔祓いをしてもらったら「もう大丈夫」といって、学校に行けるようになった。
その子のせいにしない。日本ではそうはいかない。妖怪の世界のほうが優しい



FAX:妖怪ばかりでなく「戦記マンガ」もぜひ取り上げてください!(私も同感。そっちが本質だと思う

「死んでも帰れぬニューギニア」~死を強要される理不尽さ
戦時中、命を大切にすることは「卑怯者」だと思われた。

 

部隊から1人生きて戻って、上官から誉められるかと思ったら「敗残兵」と言われて殴られた。

「お前はなぜ国のために死ななかったのか!?」


上官が「玉砕せよ」(死ぬ覚悟で突っ込め)と言い、「命を大切にしてください」と頼んだ軍医。
誰にも相手にされず、翌日自決した。唯一できる意思表明だった。



水木「戦記マンガを描いていると、ワケの分からない怒りがこみ上げてくる。戦死者の霊がそうさせるのかもしれない」


国民でできている巨人~“国家”という妖怪
 

「国家とは、便利なようで不便なものであり、大昔、これがまだ成長しない時、
 人類はまだおおらかだったという人もいるが、いずれにしても、長生きしたいという人類の意思を無視して、
 大量殺人兵器を造ったり、お互いに殺し合いをさせたりするのも、この妖怪である。
 1人1人の国民は人間なんだが、その集合体はもう妖怪なんだな」

戦争の愚かさを、戦争を知らない世代に、マンガという形でユーモラスに描いたことで、分かりやすく伝えたのは大きな功績。


自分の欲求に対して正直だった
戦時中、見張りをしていた時も「ジャングルってキレイだなあ」と見とれていた。

「トライ族」


現地民との交流を禁じられたにも関わらず、先住民「トライ族」との交流を続け、畑まで作ってもらうほど仲良くなった。
マラリアになって生死を彷徨った時は、パパイヤなどもらって命拾いした。

「トライ族」は1日2時間しか働かない。
イモ、果実は気候で勝手に実るし、狩猟で肉を調達する。
そんな生活がとても幸せに見えた水木サン(幸せだよなあ! エコだしv


「国家主義」
ヒトは集団になると苦しくなる。
死ぬまで働かせる企業、点数で評価する教育など。「やればやるほど苦しくなる」「国家主義は戦後もある」。

でも、「説教臭くない」ところが水木サン流。
実際、水木サンは「仕事人間」だったため、自戒をこめて「国家妖怪」を描いた。


水木流「幸福論」


専門家:
いち生活者としての視点から描いているため、戦地を描いても、
現地の湿度などまで、五感・生理的に「戦争はイヤだな」と伝わってくる。



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