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『セバスチャンおじさんから子どもたちへ 放射線からいのちを守る』

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『セバスチャンおじさんから子どもたちへ 放射線からいのちを守る』(岐阜環境医学研究所)
セバスチャン・プフルークバイル/著

【内容抜粋メモ】


チェルノブイリ原発事故が起きた時、ドイツも大きな被害を受けましたが、
セバスチャンおじさんは、より強い放射線を浴びたベラルーシやウクライナの子どものために救援活動を続けた。

2011年3月、福島第一原発事故が起きた時、その経験を生かして福島の子どもたちに手紙を書いた。それが本書。

 
福島第一原発から漏れた放射能の広がり/2011.3-6の放射線物質の都道府県別月間降下量と汚染(2011.12現在)


そんな危険な物質を出す原子力発電所を、なぜ動かすのか?
答えはわりと簡単です。
それでとてもとてもたくさんのお金を儲けることができるからです。

だから原子力発電所は、電気がなければ私たちはまたく生活できない、と私たちに説明するのです。


でも、私たちが毎日必要とする電気を作る、他のたくさんのやり方があるのです。
日本ではそうしたやり方は特にうまくいくでしょう。
逆に原子力発電は日本では特に危険です。
原子力発電所は地震に弱いし、ほとんど全部が水辺に建っていて、そこには津波が来る可能性があるのです


私たちはあの時の怒りを少し忘れかけていました。ところが福島の事故がすべてを呼び覚ましたのです。
ドイツや他の国々で、たくさんの人々が抗議をしました。


政治権力は、いつでも、何とか長く政権の座にとどまろうとします。
しかし、どんな政権も、市民の意思に反して長い間支配を続けることはできません。

誰にも君たちにウソをつくのを許さないで、
君たちの頭を使って考え、真理を探究してください。
そしてそれは、君たち自身の力で行ってほしいのです。



このロゴによるバッヂは、各国語に訳され、世界中で反核運動のシンボルマークとなっている。


【あとがき】
ベルリンの壁が壊れ、東ドイツで大きなウラン鉱の存在が明るみに出ました。
野積みになって、人々と自然を蝕む、放射性廃棄物の巨大な山。
そして、チェルノブイリの事故が起きたのです。

イラク戦争がはじまり、核のゴミから作られた「劣化ウラン弾」が使われました。風は放射性物質を運んだのです。

チェルノブイリ大惨事による被災者たちが背負った「低線量放射線内部被爆」。
その調査・研究をもとに福島第一原発がもたらす健康影響はどうなのかを考えました。
2012年6月、市民科学者国際会議は、再び福島県猪苗代で開かれたのです。そこでセバスチャンの手紙が生まれました。


【有馬克子さんのメッセージ】(福島県民として 一人の母として 一人の人間として)

地球には 数えきれないほど災害や過ちはありました。
でも もう 過ちは繰り返してはならないのです。
私たちは本当に大切なことに気づかせられました。

愛しいあなたがたを健やかにはぐくみ
市民も科学者も みんなみんな力を合わせて
あらゆることと調和した すばらしい未来を
創造していかねばならないのです。



【丸森あや】(市民科学者国際会議実行委員・市民放射能測定所)
与えられた情報を鵜呑みにせずに、思考することが智慧である。
その力と、智慧と、希望を見つける勇気を、皆が持っていると信じている。


【日本における放射線リスク最小化のための提言】ドイツ放射線防護協会(2011.3.20)

1.汚染の可能性のあるサラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。

2.乳児、子ども、青少年に対しては1kgあたり4ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。
  成人は、1kgあたり8ベクレル以上のセシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨される。


長期的に特に注意を要するのは、
セシウム134(半減期2.06年)
セシウム137(半減期30.2年)、
ストロンチウム90(半減期28.9年)
プルトニウム239(半減期2万4,400年)
といった、長期間残存する放射性物質である。


国際放射線防護委員会(ICRP)は、そのような被爆を年間0.3mSv受けた場合、後年、
10万人につき1〜2人が毎年がんで死亡すると算出している。

チェルノブイリ原発事故後の経験に基づいてなされた本提言の厳しい内容と比べると、
日本政府によって出されている様々な指針・見解は、いかに放射線リスクを過小評価したものかが際立ちます。



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